第81話 別行動と納品依頼
仲間が有能で、ほとんど出番が無かった。
アルドです…
ウレロさんとマウカルさんが仲間になってくれた。
ただ…
〈俺の〉ではなく〈シルフィちゃん〉経由での仲間っポイ気がするのだが…
「お母様の件も協力します。」
とついで感覚にお願いされた二人に、
〈これだけはお願い!〉
と無理を言って、店の名前を商売の神様の眷属…つまりあの土下座猫にあやかった「クロネコ屋」から「ダンジョンショップ 大地の女神」に改名してもらった。
〈アイツでは…なんかミスを犯して倒産しそうだからね…〉
大体の予定が決まり、
あまり遅くなると、受付嬢が泣きわめくので、皆で踏破報告に向かう事にした。
俺の腕輪に踏破の証と100階層の転移陣を登録して、一路地上へ転移すると、
転移陣の真ん前に椅子を置き、目の下にクマを作った受付嬢が出迎えてくれた。
彼女は一睡もせずに、それこそ寝食もトイレまで我慢して転移陣を睨んでいたらしい…
〈いくら誰も来ないダンジョンと言えど、仕事をしなくていいの?〉
と、思わなくもないが、
受付嬢は、
「やったぁー!帰ってきてくれたぁー!!」
と俺に抱きついてきた。
ミレディに引き剥がされて、ようやく落ち着き、
「踏破は?」
と聞いてきたので、腕輪の証が増えたのを見せたら、
「有り難うございます!!愛してる!!!」
と、また俺にしがみついてきて、
今度は、ミレディは勿論、シロちゃん達も参加して引き剥がされることになっていた…
〈懲りないね…〉
と感心していると、
受付嬢は髪も乱れた状態のまま、
「コッホん…では、討伐報告をお願いします。」
と仕事を始めたので、真面目に報告していたが、
「ムフフフフ、アルドさんどうしましょう。
嬉しくて、手が震えます。」
と笑いだす受付嬢…
〈って、知らんがな…〉
と、呆れながらも、
俺達が、ついでに、今後の仕様の変更についても報告をすると、
受付嬢は、
「こんな重大な報告あげたら報奨金も出ちゃう!
私、おかしく成っちゃうよぉぉぉぉぉっ!」
と、顔面から色んな液体を流している…
〈もう、彼女の精神が心配だよ…〉
彼女は、出して良いのか解らない
各種〈汁〉をタレ流しながら、「ぐへ、ぐへへ」と気持ち悪い笑みを浮かべてヘタリ込む…
シルフィーちゃんが、俺に、
「見ちゃダメ、〈めっ!〉です。」
と目隠しをされた。
そんな、一幕があったが、
無事に報告を済ませた俺達は、ダンジョンの近くにキャンプの準備をして今後の話をしていた。
まず、ウレロさんからの注文品である〈売店ゴーレム〉のボディーの作成。
髪型と髪色の違う看板娘タイプのミスリルゴーレムボディーを四体と本店のマウカルさんのお手伝いにアダマンタイトフレームのオリハルコンゴーレムボディーを作成する。
一人で作るので数ヶ月程かかる予定なので、
「待っていても仕方ないから。」
とゴーレムチームとシロちゃんが、
「精霊結晶を取りに行った時に妖精の里のメインダンジョンがあったデスので、攻略してきマス」
と、愛妻号で空を飛んで南の空に消えていった。
新生ゴーレムチームとユリアーナさん・ステラさん・ミーチェさんは一足先に実装されたメダルシステムのテストプレイも兼ねて、レベル上げも兼ねて、このダンジョンに潜る事になった。
シルフィーちゃんは地上で街を作る為の調査や大体の構想をねる作業に入り、
ユリアーナさんとステラさんとミーチェさんが、
「チャンスですね。」
「チャンスですわ。」
「逃しませんわ。」
と話し合い、レベル上げは3日経ったら1日休みで地上にもどり、ローテーションで三人のうち一人が留守番で俺の世話に残ってくれるらしい。
地上でキャンプする事1ヶ月、メインダンジョンにシルフィー商会の土木チームが到着し、シルフィーちゃんの指揮の元で、
町が作られはじめた…
受付嬢が半月前に交代で来た職員さんに代わって王都の冒険者ギルドに帰って行ったので、
王都に報告が入り、近々冒険者達が来るかもしれない。
急ピッチで町の水路や区画整理が進み、一段落つく頃には、
俺もゴーレムボディーを完成させる事が出来た。
この2ヶ月で、新・ゴーレムチームは順調にレベルを上げ、
ユリアーナさん達も、一流の冒険者の様に頼もしく成った。
ミレディの定期報告から、攻略組も順調そうだし…
〈まぁ、シロちゃんが居れば大概の敵は何とかなるだろう…〉
そんなことがありながら、
来日も、来日も鍛治仕事に明け暮れた俺は、
完成したゴーレムボディーをアイテムボックスにしまい、
女性チームに留守番をお願いして納品の為に、新・ゴーレムチームと最下層にむかう…
最下層に出ると、店の看板が「ダンジョンショップ 大地の女神」に代わっていた。
のだが…
マウカルさんがウレロさんと手を握り見つめ合っている最中だった。
「御主人様、日を改めますか?」
と、気遣いが出来るバトラーが提案してくれた。
…少し見ていたい気もするが、
バトラーが、思い出した様に、
「御主人様、MPカードの在庫が乏しくなっております。」
と言っていたので、仕方ないからカード狩りに向かう事にした。
気配を消してコソコソと階段を上がり、ボスラッシュエリアを逆走して95階層下のセーフティーエリアで一休みする。
〈MPカード〉を集めるついでのボスラッシュだけで、百枚近くのメダルが集まった。
〈これぐらい有れば、何と交換出来るかな?〉
と、俺が喜んでいると、
「御主人様、こちら女性陣の〈お三方〉からです。」
と、袋にドサッと入ったメダルの山を渡してきた。
「うわぁ、凄い量だね。」
と、俺が驚いていると、バトラーが、
「御主人様、ユリアーナ様達から、
〈この2ヶ月頑張りましたので、ご褒美を期待しています。〉
と伝言を預かっております。」
と、言ってきた。
これだけのメダルがあれば凄いものが手に入っただろうに…。
〈これは、ご褒美を頑張らねばならないな…〉
と考えながらも、
敵を倒しては、キャンプで休み、リポップしたであろう頃合いで出発し、
ボスラッシュをこなして最下層に戻ってきた。
マウカルさんが俺達を見つけて、
「アルドさん、お待ちしておりました。」
と手を振り走ってきたのだが、
振ってる左手の薬指にキラリと光るリングがみえた。
〈以前は指輪はしていなかったはずだが…〉
昨日のはマウカルさんが勇気を出した現場だったのかも知れない。
俺は、カマをかけて、
「マウカルさん、結婚おめでとう。」
と言うと、ビクッとして立ち止まり
「なんでそれを…」
と、口をパクパクさせているマウカルさんに、
おれは、〈見てました〉とは言わずに、
「指輪…前はしてなかったでしょ?」
というと、
真っ赤になるマウカルさんが、
「店が軌道にのるまでは、と我慢してたので…」
と…
〈何千年我慢してたの?…マウカルさん…〉
と、聞きたい気持ちを押さえつつ、
マウカルさんと話していたら、話し声が聞こえたのか、店の奥から真っ赤っかに成っているウレロさんが、注文しておいたゴーレムハートとスキルカードを手にして現れた。
俺は、あまり冷やかさずに、ウレロさんにも、
「おめでとうございます。
良かったですね。」
とだけ伝えたが、
「きゃー」と顔を押さえて再び店の奥に消えた…
既に魔力が満たされたゴーレムハート (スーパーレア) をゴーレムボディーに近付けて融合させていく。
生を受けた五体がウレロさんの元に向かい挨拶をした。
ウレロさんとマウカルさんは五体のゴーレム娘に「お父様」「お母様」と呼ばせて名前をつけている。
俺は名前の付いたゴーレム娘に
「アイテムボックス レベルMAX」
「念話 レベル3」
「自然修復」
「魔力自然回復」
「体術 レベルMAX」
「神速」
「頑強」
を付与する。
最初に俺のアイテムボックスの中身を全部バトラーに渡して空にしてから、
長女のオリハルコン娘に付与
自然修復はクールタイムが終わればすぐに、適当な武器に付与して濾しとりカードにしてあるので、カードを割ってとりこめばクールタイムが終わり、使用可能となるので連続使用可能だ
因みに念話がレベル3なので、
「一人だけレベルが違うのは可哀想だ」
と、レベルMAXでなく、わざわざダンジョンポイントでレベル3のスキルカードをウレロさんが用意したのだ。
五人娘全員に付与が終了し、俺もアイテムボックス レベルMAXと念話 レベル3と神速と頑強も取得した。
ウレロさんとマウカルさんにお礼を言われて、「ダンジョンショップ」の本格始動となった。
ウレロさんに持ち場と最下層を行き来出来る腕輪のをもらい、商品をアイテムボックスにつめて娘達は持ち場の売店へと転移していった。
店番は、ファルさんと同じスペックのゴーレムハートだから「演算」などの固有スキルもあるから大丈夫だろうし、
ダンジョンポイントが貯まればゴーレムフレームも購入予定らしい。
〈なんだ…ダンジョンに来た冒険者を皆殺しにするつもりか?!〉
と心配したが、
〈娘の護身用〉らしい。
なんと過保護な…
俺の注文品の納入も無事に終了し、
ここからが本番!
俺は店の前に立ち、
「くっださぁーいなっ!」
と、中央国のメインダンジョンの最下層にある、「ダンジョンショップ 大地の女神」本店にて買い物を始める俺、
いそいそと、マウカルさんがゴーレム姉妹の長女と接客をしてくれる。
「本日は何をお探しでしょうか?」
と、マウカルさんが千年以上ぶりの接客にうるうるしている。
「どんな物を扱っていますか?」
と俺が問いかけると、マウカルさんは、
「ダンジョンで手に入るアイテムやスキルカード、珍しい物をだとゴーレムハートなどのアーティファクトなんかも、ご要望があれば取り寄せます。」
と、流れるように説明してくれた。
〈うん、久しぶりらしいけど、バッチリ接客出来てるね。〉
と感心していると、
「お客様失礼いたします。
こちら、お取り寄せ可能な商品と必要なメダルのカタログでございます。」
と、ゴーレム姉妹の長女がカタログを持ってきて、店内の商談スペースに案内してくれる。
俺は、席に座りペラペラとカタログをめくる。
〈フルポーション〉 メダル100枚
まぁ、そんなもんか…
他には、
「ゴーレムハート (コモン)」 メダル200枚
「ゴーレムハート (レア)」 メダル500枚
「ゴーレムハート (スーパーレア)」 メダル1000枚
なかなかだな、いまの手持ちで各種一個交換出来るけど…
ほかには、
「聖剣 デュランダル メダル百万枚」
…ないなこれは…
「アイテムボックスのスキルカード メダル200枚」
※レベルが1上がる毎に必要メダルが倍額される。
レベル2 = 400枚
レベル3 = 600枚
レベル4 = 800枚
レベルMAX = 1000枚
となります。
と書かれている。
〈仕方ないところかな?〉
などと、カタログを眺めているが…
〈いやー楽しい、ずっとこのダンジョンでレベル上げしてたい。
一万匹ほど敵を倒してメダルを集めたら凄いスキル持ちになれそうだな。
このダンジョンは流行るぞぉ、絶対に。〉
と、確信し、
ペラペラめくるカタログに気になる物を見つけた。
「ジャイアントゴーレムハート (スーパーレア)」 メダル1600枚
手持ちのメダルで交換できるし、持っているジャイアントゴーレムハートの上位互換だ…欲しい…
よし、これにしよう!
「これ、くーださい。」
と、言ってメダルをドサリとテーブルに出す。
マウカルさんはニコニコして
「畏まりました。
サラ!会計をお願い。」
と、ゴーレム娘の長女を呼ぶ。
〈サラちゃんなんだね。〉
と思っていると、
「お客様、メダルの枚数を確認させて頂きます。」
と言って手早く数え、
「1633枚有りましたので、33枚のお返しです。」
と、手際良く対応してくれた後に店の奥に行く…
〈たぶん、ウレロさんがダンジョンポイントと交換しているのだろう。〉
数分後にトレーにバスケットボールぐらいのゴーレムハートを持ったサラさんが戻ってきて、
「こちらが商品になります。
お納め下さい。」
とサラさんが、商品を俺に渡した後で、
小声でマウカルさんに、
「お父様、私上手にできましたでしょうか?」
と聞くサラさんに
「あぁ、上手だったよ。」
とニコニコのマウカルさんが答える。
〈うん、仲良くやっていけそうだね。〉
と、安心した俺は、
「買い物も終了してやりたいことも終わったから帰りますか。」
と、席を立とうとする。
すると、ウレロさんが奥から現れて、
「アルド様、大口取引が有った場合はアルド様に一割還元する契約になっておりますので、こちらをお納め下さい」
と、トレーにメダルを160枚乗せてウレロさんが渡してきた。
「はい?」
と、困惑した俺はバトラーに、
「バトラー、シルフィーちゃんに外線お願い。」
と念話でシルフィーちゃんを呼んでもらった。
「どうしましたぁ?」
と聞こえるシルフィーちゃんの声に、
「シルフィー先生、質問です。」
と俺が言うと、
「はい。アルドくん」
と、シルフィ先生が指名してくれる。
「先生、最下層でお買い物したら一割還元されました。
どうしましょう?」
と俺が質問すると、
「はい、最下層の本店で大口取引が有った場合のみ一割アルドファミリーに還元される契約を結んでいますから、
気にせずに使っちゃってくださいねぇ。
では、早く帰ってきてねぇー。」
と、念話を終了し、
193枚のメダルが手元に残った。
俺はカタログをまためくりスキルのページから「魔力自然回復」 メダル95枚 を2つ交換した。
また一割還元かな?
と考えたが、何もなく終了する。
(1500枚以上が対象だとあとからシルフィーちゃんから聞いた。)
面白そうな物も手に入りご機嫌で転移陣で地上に戻る…
見送りに来てくれたウレロさんが、
「サラ・シラ・スラ・セラ・ソラの制作費は、ダンジョンが軌道に乗って、ポイントが貯まりましたらご希望の商品と交換させて頂きますので、もうしばらくお待ち下さい。」
と、話していた…
〈待つのは構わないけど…
娘の名前のセンスぅ!
まぁ、よそ様の家庭の事なのでツッコまないけど…。〉
それより、
ジャイアントゴーレムハート…
買ったは良いけど、どこで使おう…?
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