第77話 人の噂とお留守番

やることいっぱいで、

余計な事を考えない様にしている、

アルドです。


あー忙しい、忙しい、

街でまたに「アノル伯爵よ」とか「本物だわ」とか噂をされていますが聞こえない聞こえない「今日、耳、日曜」です。


ミーチェさん、手をふってはダメですよ。



そんな、煩わしい事もシルフィー商会の工房チームで作業をしている間は忘れられる。


女将さん率いる裁縫、革細工チームに魔物素材を渡し、ミレディさんが監修のもと「天使の下着」というミレディさん専用装備が完成した。


四色のヒドラのゴム皮をメインに使い、物理耐性に優れた無駄に胸と、お尻の弾力性や揺れにこだわったレオタード状のスーツである。


ミレディさんはそのスーツを着てからメイド服を着て、本日も楽しくお仕事の合間に俺に胸を押し付けてくるのがブームのようだ。


偽物と解っているのに…


〈くっ、殺せ…〉


ミレディさんの邪魔に会うたびに、工房のクオリティの高さを実感する日々…


そんな邪魔に耐えつつ俺は、オリハルコン製の粉砕機を作り、黒龍の鱗を粉にしています。


〈何に使うかはまだ秘密だよ。〉


さて、キバさんのとシルバーさんのボディーと飛行タイプのゴーレムユニットにとりかかるのだが、


親方衆に参考資料としてパトラッシュのアニメを見せたが、


「アルドさん、言葉が解らないから通訳してくれ話が気になる」


と映画は映像としてギリギリ楽しめるが、アニメは物語が知りたくなる、

もう、ゴーレムチームで実証済みだ。


俺は、すでにアイテムボックスにしまってある、あらすじを渡し「記憶の水晶」で名場面を流した。


そして、一時間後工房は、おっさん達の嗚咽が木霊する地獄と化していた。


しかし、それからのおっさん達は凄かった。


「パトラッシュよ、今生き返らしてやるからな!」


とオリハルコンを鍛える親方衆。


3日後にはオリハルコン制のベルギーの大型犬風のゴーレムボディーが仕上がっていた。


シルバーさんの参考にサラブレッドが見せたくて競馬のG1レースを見せたのだが、

「これは儲かるぞ!」

と、動きだしたシルフィー商会が王国を巻き込み、ミスティルに、新たな娯楽を生み出したのはまた別の話しである。



今は、シルバーさんのオリハルコン製のゴーレムボディーを生み出して欲しいのに…


俺がせっせと鍛治仕事をしている間に、俺の周辺で変化があった。


一足先に装備が仕上がったミレディさんとシルフィーちゃんが主体で、屋敷の女性チーム…自称〈嫁候補チーム〉がマルゲルさん(元禿げの現コーバ冒険者ギルドマスター)に頼んで冒険者登録をし、レベリングとB級冒険者を目指して冒険に出かけました。


まぁ、俺より高レベルのシロちゃんも居るから大丈夫だろうし、シルフィーちゃんもレベル160代だから問題ないかな。


俺は俺の仕事に打ち込みます。


キバさんのオリハルコンボディー


と、キバさん用の荷車


シルバーさんのオリハルコンボディー


改良型馬鎧と改良戦車


そして


巨大ドラゴン型ゴーレムユニット

「ドラン」


が2ヶ月かかって完成した。


中々帰って来ないゴーレムチームと〈女性〉チームは


何処に行ったのだか?


まぁ、時間も有るから、腕を食べられてボロボロに成った俺の装備も新調した。


もう、鍛治仕事でアダマンタイトとオリハルコンはほとんど使ってしまい、

武器までは回りきらなかったが防具はバッチリである、


あとは、スキルカード整理をして、使えるスキルを探す事にする。


アイテムボックスのリストをチェックしながら〈とある物〉の存在を思い出した。


「知識のグリモア」


詳しく知っているスキルを三つ生み出せる魔本


複合スキルでも可能ならば、


「濾過EX」

「神々の知恵」


あと一つは…


やっぱり、貴重な「濾過EX」


で、魔力を流してみる…


魔本が眩しく光り、


体から魔力がごっそり持っていかれた。


俺は久しぶりの魔力不足で床の上で、

深い眠りに着いてしまった…


工房の隅で開けたままの本を握り眠っている中学生くらいの年の男の子を見つけたシルフィー工房の掃除担当のおばさまが、


「あらあら、奥様達がそろってお出かけだから寂しかったのね。


ふふふっ、若いから…」


と、とんでもない勘違いをされ生暖かい目で見られていたのを後日知ることになった。


〈その事〉を工房の親方達から聞かされた時は…


もう…恥ずか死にそうになった…


弁明しても親方達は、


「俺らも若い時はそんなもんよ!」


と、取り合ってくれない…


皆さん早く帰って来て!街を出たい案件が発生しました…




工房の片隅で〈寂しくて自分を慰めていた〉疑いをかけられたまま、

誕生日を迎えてしまい12歳になりました。


アルドです…



鍛治仕事もやりとげ、皆の帰りを待つだけなのももったいないので、


シルフィー商会で馬を借りてパカポコと、王都まで買い出しにきました。


ちなみにですが、〈ポチとタマ〉の二頭は現在シルフィー商会の輸送部門に復帰し、元気に働いてくれています。


さて、あまり人が多い所は、〈演劇〉の関係から出たくないが、


工房の皆の生暖かい視線は、もっと辛い…


街をぶらついていると、


スキルカードショップが以前より賑わっている。


ダンジョンでカードがよく出たりして流通が増えたようだ。


〈掘り出し物を探すか…〉


と、スキルカードショップの中を一巡りする…剣のウェポンスキルから、なんとアイテムボックス等の便利スキルまでいろいろある…


そして、


〈見つけた!〉


俺は、魔法の棚に有った「音魔法」を即買いした。


他の掘り出し物を探して「念話」を二つとアイテムボックスを二つ購入する。


〈良い買い物でした。〉


次に向かったのはアーティファクトなども出回る蚤の市を回る。


目利き眼鏡をかけてぶらぶら見て回っていると、そこで、とある物を見つけた


「ゴーレムハート (コモン)」×3


多分マイステアのメインダンジョンの宝箱産の物ではないだろうか?


勿論購入だが、店の主人が、


「兄さん〈ゴーレムハート〉のコレクターさんならこんなのどうだい?」


と、バスケットボールサイズのゴーレムハートを二つ出してきた。


正直誰も買わないわ、かさばるわで…

安くするぜどうだい?」


と、勧められる。


うーんと悩むふりで鑑定をかける。


『ジャイアントゴーレムハート(アンコモン)』


砦や塔または城壁などを材料に巨大ゴーレムを生成するが、起動に大量の魔力を必要とする。


と…


〈はい購入です。〉


しかし、がっついて足元を見られるのは嫌なので、


「仕方ないからそれも貰うよ。」


と俺がいうと、


「兄さんちょっと待っててくれ。」


と言って何処かに走っていった。


数分後に帰ってきた店主は、他の店の店主を引き連れていた。


「兄さんのコレクター魂をくすぐる逸品のはず、こいつらの売れ残りも頼むよ。」


と言って連れて来た二人の店主は、「ジャイアントゴーレムハート」を二つと、「ゴーレムハート(レア)」を持ってハァハァと走ってやつて来た。


必死だな。


「そんなに走ってまでおすすめされたら買わない訳にはいかないな。


でも、オマケしてくださいね。」


と、〈仕方がない感〉をかもし出しつつ〈めっちゃ欲しい〉ゴーレムハートを買いしめた。


アイテムボックスにゴーレムハートをしまい少し急ぎ足でその場を離れる…


悪いことはしていないのになんか後ろめたい気分をあじわいつつ一旦屋敷の工房に帰った。


実は、俺の屋敷はジーク様の後押しや演劇の効果もあり、凄く良い人材がメイドと執事として来てくれている。


おかげで、主力メイドが旅に出ていても屋敷で快適に過ごせる。


メンバーは、


まず、執事のダンディーなおじさまはジーク様のお屋敷の元執事さんの〈ダニエルさん〉、息子に後を譲り隠居中なのに無理を言ってカムバックしていただきました。


次にメイドの〈ヒラリーさん〉元ミーチェさん付きのメイドさん、心配で追いかけてきたそうだ。


最後になぜ居るの枠…


同じ村出身、ターニャちゃんのおままごとフレンド、犬耳少女の「フレアちゃん」。

出稼ぎに、コーバの街に来て、住み込みのナイスな職場が演劇の題材で有名なウチだったらしい。


この三人のおかげで屋敷で安心して引きこも…いや作業に没頭できる…


さて、ゴーレムハートが有るので、ゴーレムを作りたいですが…


オリハルコンとアダマンタイトは、ほとんど品切れなのでミスリル主体になるが、ただのミスリルゴーレムでは芸がないよね…?


アイテムボックスを探すと、「水龍 グランサーペント」が丸々入っていた。


おっ、使えるかも。


俺は屋敷の庭に行きグランサーペントをアイテムボックスから出して、斧を手にして鱗と角や牙それに爪を剥ぎ取り残りは再びアイテムボックスにしまう


そして、それぞれを粉砕機でごりごりと粉にする。


〈ブラックドラゴンの鱗を粉砕する為に作ったが、粉砕機…作っておいて良かったよ。〉


魔力を抜いて粘土状になったミスリルに混ぜて、四種のミスリルの塊を作り 、


そして、追加でシルフィー工房に宝石類の加工を、頼む


出来た材料は、


角をまぜた黒色ミスリル


牙をまぜた白色ミスリル


鱗をまぜた青色ミスリル


爪をまぜた黄色ミスリル


金をまぜたミスリル金


何もまぜないミスリル


工房に依頼した魔水晶の義眼である。



そして俺は、

屋敷の工房で、時間をかけて凝りに凝ったミスリルゴーレムを作った。



『ミスリルゴーレム (タイプ バトラー)』

〈ゴーレムハート(レア) レベル80〉

「ゴーレム間の意志疎通能力」(固有)


黒髪オールバックとカイゼル髭の執事タイプのゴーレム


名前も「バトラー」さんに決定


「念話 レベル 1」

「体術 レベルMAX」

「忍の心得 レベルMAX」(隠密・忍び足・気配消し・不意打ち の複合スキル)

「自然修復」

「豪腕 レベル 1」

「魔力自然回復」

「アイテムボックス レベル 1」

空きスキルスロット なし


装備


戦闘執事服 (シルフィー工房作)

とても頑丈で、とってもフォーマル!

「神速」「魔法耐性」

空きスキルスロット なし


戦闘執事の安全革靴 (シルフィー工房作)

靴の先端にアダマンタイトを仕込んだ靴

「跳躍 レベル MAX」

空きスキルスロット なし



続いて

『ミスリルゴーレム (タイプ ブルーバード)』

〈ゴーレムハート (コモン) レベル50〉


青色の翼に、白色のボディーと、黄色のくちばしの鳥型ゴーレム


名前、「ピピン」


「飛行」

「自然修復」

「魔力自然回復」

「マップ レベル1」

「魔法耐性」

「索敵 レベル1」

「炎の翼 レベル1」

空きスキルスロット なし


装備


オリハルコンの足管(ピピンの名前入り)

「必中」

「追尾」

空きスキルスロット なし


ミスリルの手紙入れ

「加速」




『ミスリルゴーレム (タイプ グリフォン)』

〈ゴーレムハート(コモン) レベル50〉


黒と黄色がベースのグリフォン型のゴーレム


名前 「グリフ」


「飛行」

「スタミナ」

「重さ軽減」

「麻痺爪 レベル1」

「氷の爪 レベル1」

「自然修復」

「魔力自然回復」


装備

グリフォンの手綱

「加速」

空きスキルスロット なし


グリフォンの鞍

「滑空」

空きスキルスロット なし


青いミスリルの足輪 右

「魔力吸収」

「風魔法 レベル MAX」

「土魔法 レベル MAX」

空きスキルスロット なし


青いミスリルの足輪 左

「追尾」

「火魔法 レベル MAX」

「水魔法 レベル MAX」

空きスキルスロット なし


馬車「大地の女神号」〈シルフィー工房作〉

「耐寒 レベルMAX」

「耐熱 レベルMAX」

「自然修復」

「飛行」

「滑空」

「衝撃吸収」

空きスキルスロット なし




『ミスリルゴーレム (タイプ テディ)』

〈ゴーレムハート(コモン) レベル50〉


青い小熊型のゴーレム


名前 「テディ」


「忍の心得 レベルMAX」(隠密・忍び足・気配消し・不意打ち の複合スキル)

「魔力自然回復」

「自然修復」

「麻痺噛みつき レベル1」

「眠り噛みつき レベル1」

「鉄壁」

「氷の牙 レベル1」

空きスキルスロット なし


テディの首輪 (ミスリルネームプレート)

「潜伏」

「擬態」

「体術 レベル MAX」

空きスキルスロット なし



新生ゴーレムチーム、完成!!


いゃ~頑張った、頑張った…起動の儀式を終えて、


俺が、


「バトラーさん、宜しくね。」


と、挨拶をすると、


軽くお辞儀をして、


「ご主人様、執事に敬称は不要です。

是非、バトラーとお呼びください。」


と、答える。


〈おぉ、プロっぽい〉


と感心しながら俺は、


「解ったよ、バトラー、頼りしているよ。」


と言うと、


再びお辞儀をして「はっ。」と返事をするバトラー。


続いてはピピンちゃん、


「伝言や偵察をお願いします…よろしくね。」


と、ファルさん用の止まり木にいるピピンちゃんに伝えると、


パタパタと飛び回り俺の肩にとまる。


すると、


「〈マスター任せて〉と申しております。」


と、バトラーが通訳してくれた。


そして、俺は、グリフォンゴーレムに近寄り、


「グリフくん、君には移動を中心に頑張って貰いたい、宜しくお願いね。」


と撫でると、


くちばしを「かたかた」っと鳴らすグリフ君…


「〈おまかせ下さいお館様〉と申しております。」


とバトラーが教えてくれた。


最後は、クマのぬいぐるみ風のゴーレムに、


「テディちゃんには皆のお手伝いをして欲しい、大変だけど頑張ってほしい。」


と、頼むと、


テディちゃんが「ぽむん」とむねを叩いた。


「〈ウチに任しとき〉と申しております。」


と…通訳してくれて皆との挨拶が終わった。



皆、これからよろしくね。

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