第73話 やる気スイッチの威力
皆さんこんにちは、
空中散歩中のアルドです。
もう、アスレチックスエリアなガン無視することに決めました。
正直、迷路プラスアホみたいな罠の数に、
〈そりゃ生きて帰ったヤツが皆無なのも解る…〉
しかし、32階層に隠し通路を発見したと、キッド君から報告がはいるが、
多分トラップエリアに入り口のある隠し通路は、このダンジョンの性質上きっとトラップだろう…
「皆さん、無視しますよぉ。」
と、宣言して先に進み、
35階層下のセーフティーエリアまで到着し、飛行チームに「MP」カードを渡し回復してもらった。
「皆さんどうします?進みますか?」
と意見を求める俺に、
ボス戦もしていないから、暴れ足りないゴーレムチームが、
「このまま下の階層に乗り込み、広いセーフティーエリアで休みたいデス。」
と主に「記憶の水晶」でテレビタイムをしたいから頑張るそうだ。
そのまま36階層に降りて進む
すると、秋の森のようなエリアに出た。
キノコ類や木の実等を拾いながら進む。
敵は、「角ムササビ」
「滑空」「跳躍」「貫通」
と言う特攻隊が樹上に潜んでいる。
下に来た人間に飛びかかり角を突き立てようとするが、索敵のおかげで、丸わかりで濾過ポイで返り討ちにしていく。
飛行系のスキルが思いの外手に入ったな…と考えていると、念話でキバさんが、
「ご主じぃーん、僕も飛べるようにしてぇ~。」
とおねだりしてきた。
うーん、アクセサリーを着けたら飛べるかもしれないかなぁ?
と考えていたら。
「ご主じぃん、キッドみたいに強くなりたい!今度はおっきな犬にして!
パトラッシュみたいなのが良い!」
とお願いされた。
〈確かに、キバさんの中身はジャーマンシェパードの見た目より、パトラッシュみたいな方がマッチしていそうだが…〉
「よし、このダンジョン踏破したら、次は中央国のダンジョンだから、屋敷に戻ったら作ってあげる。」
と約束をしたら、キバさんの後ろにシルバーさんが並んでいた。
「主よ、我も強化をお願いする。」
と、念話でお願いしてきた。
勿論OKするが、なぜ、ファルさんまで並んでいるの?
「アルド様、私には飛行タイプのユニットの制作を希望します。」
とお願いされた。
俺は、
「了解、そうと決まれば採掘頑張ろう!」
ついでに、この会話を全部聞いていた盗聴娘にも、
「ミレディさんは強化する?」
と聞くと、
「ダーリンが愛してくれるこのままの姿が良いデス。
強いておねだりするなら、愛が詰まった指輪が欲しいデス!
あと、ついでにポヨンポヨンの胸も、ぷりんぷりんのお尻も欲しいデス。」
と…
〈欲望ダラケじゃねーか!〉
俺は、少し呆れながら、
「工房の女将さん方が裁縫得意だから柔らかい魔物素材のアンダースーツでもお願いしようか?」
と聞けば
「はいデス!」
とご機嫌になった。
最後に「キッド君は?」
と聞いたら、
「ぼくは、もうワガママを聞いてもらいましたから。」
と、遠慮した。
〈エェ子やなぁ、よし!おっちゃんが帰ったら凄い装備を造ったるさかいなぁ!!〉
そうと決まれば、
薬草やキノコを採取し、鉱物や宝石類を採掘しながら40階層のボス部屋まで来た。
広い空間にこん棒を持ったデカいゴリラがいた。
「ここのボスはゴリラか?」
と呟くと
「うほ、ここのボスはゴリラうほ。」
と俺の声で真似した。
急いで鑑定をかける。
『サウンドコング レベル 75 』
「音魔法 レベル 4」「豪腕」「体術 レベル MAX」
〈音魔法持ちだ絶対濾しとってやる!〉
「皆、スキルが欲しいから任せて。」と、ゴーレムチームにお願いして単騎で挑む。
でもその前に、
俺は、試しに「イイオトコ!!」と叫んでみた。
するとサウンドコングは、
「うほっ!イイオトコ!!」
と叫んでいる。
うん、満足である。
俺の声でなければ尚良いけど…。
濾過
サイズ 10メートル
継続時間 1 時間
濾過膜A 指定枠 1 「固さ」
濾過膜B 指定枠 2 「MP」「スキル」
パッケージ あり
発動
デカい濾過ポイを握りしめ、戦いを挑む俺に、サウンドコングが地面を掴み口を開けた。
すぅーっと息を吸い、
「うほっ。いぃい!おぉぉとぉごぉぉおぉぉぉぉぉ!!」
と叫ぶと俺は音の塊に吹き飛ばされた。
「うっさいわ!」
耳から血を流し立ち上がった俺は、ハイポーションをのみながら考えた。
どうやって近付こうかな?
耳がサヨナラしてるのは最後に直すとして…
一撃入れば勝ちなのだが、入れれる距離まで「ボイスミサイル」で近付けない…
〈とりあえずゴリ押しで、〉
と何度かチャレンジするが「うほっいい男ミサイル」にはね飛ばされハイポーションをのむはめになる。
〈助けて阿部さん…。〉
との、俺の心の叫びを聞きつけやって来たのは、キッド君だった。
「ご主人様、加勢宜しいでしょうか?」
と…
〈援護射撃っすか?…助かります。〉
と思ったが、キッド君は弓を持たずに手を相手にかざして、
「今ですご主人様!」
と言った。
俺は、なんだか解らないが、キッド君を信じてサウンドコングに駆け寄る。
ヤツが「ボイスミサイル」の構えに入るが俺は構わず突き進む。
そして、
普通なら吹っ飛ばされるはずが、何も起こらずにヤツを濾しとる事に成功した…
キッド君に「さっきの何?」と聞いたら、
「音魔法 レベル MAX」の「無音」です。
と答えてくれた。
イビキをかき、前のめりで尻を突き出し気絶しているサウンドコングに、
「そんな格好でいたら色々と大変な事になるよ。」
と呟きゴーレムチームに任せ、カードを回収した。
〈パッシュん〉
と乾いた音がなり、
ボス部屋は、やっと、静かになった。
〈フルポーション飲んで休もう…〉
翌朝、セーフティーエリアで目覚めた俺は、
ゴーレムチームのやる気が凄くて、ちょっと引いている。
バージョンアップに追加装備やポヨンポヨンを手に入れる為に
〈マッハでこのメインダンジョンを踏破してしまおう〉
とゴーレムチームが一致団結して40階層をスタートしたが、あっと言う間にアスレチックスエリアを抜け46階層へやってきた。
「ご主人様、あの猪は〈加速〉〈硬化〉〈風の牙〉です。必要でしょうか?」
と、キッド君が聞いてきて
「五匹くらい欲しいかな?」
と俺が答えるとミレディさんが、
「キバ、五匹デス!」
と指示をだしキバさんが五匹を麻痺らせてシルバーに乗ったミレディさんが獲物にロープをかけて引きずって俺に届ける。
スキルを濾しとる間に残りをファルグランさんが殲滅していく。
ライン作業のようなダンジョン攻略が進み50階層のボス部屋に到着したが、
「ご主人様、デカいモグラ
〈あなほり〉〈腕力〉〈土魔法〉です。必要でしょうか?」
とキッド君が聞く
「別にいらない」
と、答えると、
ミレディさんが合図をだし、
総攻撃をゴーレムチームが仕掛けあっと言う間に魔石となんとも良い手触りの毛皮がドロップしていた。
ミレディさんが
「さぁ、次の階層に行くデス!」
と、休む選択肢は無い様子。
宝箱を確認したキッド君が、
「レア宝箱 、無し・無し」です
と報告してくれて宝箱をあける。
「結界レベル MAX」スキルカード
を手に入れた。
「やった!MAXレベルのスキルカードだ。」
と喜んでいたら、
「マスター、行くデス!」
と、ビジネスモードのミレディさんに冷たく注意された。
転移陣の登録を済ませて階段を下りる。
51階層からダンジョンの雰囲気が変わった。
罠の見本市のようなアスレチックスエリアがない…
というか、罠自体ないただの草原エリア、
実にダンジョンらしいダンジョンになっていた。
キッド君が
「ご主人様、
〈モンスターハウス内に宝箱 1〉〈隠し通路 〉〈宝箱 2〉です。」
と、報告してくれ、
「敵は今までの階層の魔物と同じ種類が複合している模様です」
とファルさんとキッド君のサーチ組が階層の状況を教えてくれたが、どうやら今までが基本ダンジョンで、ここからが実戦形式の応用編らしい。
「なら、スキルカードは別にいらないから殲滅でいこう、
宝箱は回収して…モンスターハウスはどうしよう?」
と俺が悩んでいると、
ミレディさんが、
「では、賛成多数でモンスターハウスからの隠し通路で決定デス。
移動しながら殲滅を開始しマス!」
と、勝手に多数決で決めてしまった。
「ミレディさん?」
と俺が言うと、
「ポヨンポヨンのぷりんぷりんが、待っているのデスよ!」
と聞いてくれない。
悲しい…。
チームワーク抜群のゴーレム達は次々にパッシュん させていく、
そこで違和感に気づいた。
〈素材のドロップが異常に多い〉
ダンジョンのフロア内のドロップ率の調整も可能なのだろうか?
今までのボス部屋も1/3でスキルカードをドロップだったし…。
〈今度イゴールさん達に聞いてみよう。〉
などとボーッとしてたら
「殲滅完了デス!」
と念話が入った。
「モンスターハウスの入り口を見つけました。」
とキッドの報告も続けて入る。
〈モンスターハウスの入り口って見つけるの大変なのに、あっさりとまぁ…。
エコーロケーションと神々の知恵の効果だろうね。〉
と感心してたら、
ドシンドシンと走ってきたファルグランさんにヒョイと持ち上げられ、モンスターハウス前にお届けされた。
「この洞窟の奥がモンスターハウスです。」
と報告をキッド君から受け、ファルはグランユニットから分離してミレディさんが、グランユニットをアイテムボックスにしまい、ゴーレムチームに「MP」カードを配り回復したのちに突入となった。
〈もう、俺要らないんじゃない?〉
と思いつつ、やる気満々で突き進む皆の後を追う。
洞窟の突き当たりに着くと、強制転移のように体育館程度の閉鎖空間にいた。
〈また、終わるまで出られないヤツだな。〉
と思ったが、このモンスターハウス三ヶ所の魔法陣から上の階層のボス意外が一匹づつ出てくる仕様だった為に、
右はファルグランさん、
中はミレディさん & シルバーさん、
左はキバさん & キッド君
が陣取り餅つきの様に、出たらパッシュん、出たらパッシュん とやっつける。
俺はファルグランの側でドロップ品収納要員をしている。
やはり魔物素材が多いが…
〈入ってみたけど、俺要るかな?
自信なくしそう…〉
30分ほど餅つき討伐をしていたら真ん中の魔法陣の奥の壁が開き金色の宝箱が出てきた。
鑑定をしてみたところ、
「ゴールデンミミック」
「鉄壁」「逃走」「擬態」
念話で「スキル刈り取りまーす。」
と報告して、
濾過
サイズ 1.5 メートル
継続時間 10分
濾過膜A 指定枠 1 「固さ」
濾過膜B 指定枠 2 「スキル」「MP」
パッケージ あり
発動
具現化とともに虫取りのようにパサリとかぶせて濾しとる。
濾過ポイを消してカードをアイテムボックスにしまい後をまかせた。
俺の出番これだけかぁ…
と思いながら、ミレディさんが魔鎚でゴールデンミミックをひしゃげさせていくのを眺めているとすぐに、
パッシュんと音が鳴る。
〈コロン〉転がる魔石と、
「オリハルコン」
「アダマンタイト」
「ミスリル」
「金」
のインゴットが大量に出てきた。
喜ぶゴーレムチームとは対照的に
俺は、魔石を手に
「ごめんよぉ!ミミック君…。」
と、初めてミミック君を殺してしまった罪悪感と戦っていた。
洞窟内に戻されて今度は隠し通路を探し、
すぐに草むらの中に下り階段を見つける。
小さい入り口の為シルバーさんをアイテムボックスに避難してもらいファルさんとキッド君先行で進む。
長い下り階段を抜けると真っ暗な空間に出た。
ダンジョンは地下だが明るい場所がつづいたが、この空間は真っ暗だった。
シルバーさんに登場してもらい、
俺はライトの魔法を打ち上げた。
あまり広くない空間に膝くらいまでの草むらが続き入り口の反対側に真っ黒い猫科の魔物がいた。
鑑定
『シャドウパンサー レベル 120』
「影潜りレベル MAX」「不意打ち」「影渡りレベルMAX」
スキル図鑑で見たことがある一流暗殺者が所持したがる幻のスキル
影に溶け込み近くの影に移動していくスキル「影潜り」「影渡り」これに「急所突き」を合わせれば上位複合スキル「飛び影」になると図鑑に書いてあった。
「絶対欲しいスキルです…サポートよろしく!
まずミレディさんは、風の魔法で右側一帯の草を刈って!
そのあとシルバーさんが火魔法で焼き払い更地にして、
キッド君はファルさんと協力して黒ヒョウを更地に追い込んで、
ファルさんはファルグランに合体ヨロシク
では作成開始!」
と指示を出し、
ゴーレムチームは頷き方々に散り作戦を進める。
俺は、
濾過
サイズ 3メートル
継続時間 三時間
濾過膜A 指定枠 1 「固さ」
濾過膜b 指定枠 2 「MP」「スキル」
パッケージ あり
発動
濾過ポイをかまえて黒ヒョウに向かう。
ファルグランさんが黒ヒョウを捕まえようと手を伸ばすと、
チャプン
と草の影に沈んだ
どこに行った?
とキョロキョロしていたら、
キッド君が、
「後ろです!」
と大声で知らせてくれた。
「短距離転移!」
と、俺がスキルで三メートルぐらい横に移動し、すぐに濾過ポイを元居た方に振り抜く、
しかし、あと少しのところで、
再び〈チャプン〉と、影に沈まれた。
火魔法の明かりが辺りを照らす。
ミレディさんが、
「準備完了デス!」
と叫んだのを聞いて、俺は辺り一面に幾つものライトの魔法を打ち上げた。
四方八方から光が照らし影を消す。
俺は更地に走り濾過ポイを構える
影が消えて動き難くなった黒ヒョウが影から現れた。
そこを狙いすましてキッド君が指示を出し、ファルグランさんが俺の方に黒ヒョウを殴り飛ばす。
飛んできた黒ヒョウを輪くぐりの様に濾しとると、
俺とすれ違いながら白目をむき、意識を飛ばす黒ヒョウが過ぎてゆく…
気絶した黒ヒョウをゴーレムチームで討伐してもらい、
俺は早速「影潜り」と「影渡り」最後にアイテムボックスから「急所突き」を取り出して取得した。
あとは、スキルのレベルアップと合体待ちである。
振り向くと黒ヒョウがパッシュンして魔石と毛皮と牙がドロップしていた。
ライトの魔法で明る過ぎるので足早に次の階層を目指して進むが、
やはり、出た階層はボス部屋の60階層だった。
〈やっぱり連戦か…殺意が高いな…〉
と嫌気がさすが、
部屋に入るや否や襲いかかってくる赤いミノタウロス
鑑定
『レッドミノタウロス』
「突進」「角突き」「加速」
別にいらないスキルだな
「皆スキルいらないから殺っちゃうよ!」
と言って赤牛さんにむかう。
俺は、〈育てる〉目的もあり、早速例のスキルを使ってみる。
「影潜り!」
と、唱え〈チャプン〉と赤牛さんの影に潜ると、
「ぶもぉぉぉぉおぉぉぉ!」
と叫び、早くも〈パッシュん〉 させられた…
〈早いよ…〉
と呆れる俺は、
ゴロンとドロップアイテムの影から、
ぬぅーっと出てくる羽目になる…
「そこに居たんデスかぁ。」
とミレディさんがホッとしていた。
〈入ってみたけど…役に立たなかったな…俺…〉
少し、〈しょんぼり〉しながら転移陣部屋を目指した。
〈やる気のゴーレムチームの連携には勝てないよ…〉
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