第72話 寒暖差にご注意を
25階層の下のセーフティーエリアのキャンプ地で目覚める…
なんだかこのダンジョンは気疲れします。
前半戦は飛べるから良く成ったが、まともに攻略するなら時間がかかりすぎるし、
後半戦はレベル差が有るからまだいいが、連携攻撃がえげつない…
そしてボス部屋に他の冒険者がわんさかいる。
まぁ、スキルカードに旨味がある程度で、なんだか性格が合わないダンジョンだ。
自分のルールを崩さない感じがする気難しいダンジョンだから、ダンジョンマスターもこんな感じの気難しい人ならどうしようかな?
と、心配になってしまう。
そんな事を考えながら階段を下り、
26階層に出た。
「さっむぅぅぅぅい!!」
めちゃくちゃ寒い、膝下まで雪の積もった雪原エリアだった。
魔石カイロを魔石式の簡易風呂にしたのが悔やまれる…
「キッド君 サーチお願い」
ガタガタ震える俺は、アイテムボックスから何か使える物を探す。
「無いよりマシかな。」
とある物を装備する
「真っ赤なマント」そう、これのみで裸で過ごしていたオークエリート「露出卿」のマントを羽織ったのだ。
少しマシに成ったがまだ寒い。
「ご主人様、敵の反応多数です。
戦闘の用意をお願いします。」
と、報告を受けて、俺も索敵で確認するとぐるり囲まれていた。
「ファルさん、キッド君とリンクして敵の鑑定ヨロシク!」
と叫ぶ
「応!」
と返事しシルバーさんの背中から飛び立つファルさん
暫くして、
アルド様!
「スノーウルフ レベル68」
「氷の牙 レベル MAX」「耐寒 レベル
MAX」「氷のの爪 レベル 3」
です。
とファルさんから報告がはいる
なに、その「耐寒」ってスキル
〈メチャクチャ欲しいんですけどぉ!〉
俺はゴーレムチームに
「ごめん、スキル濾しとって来ます。
追い込み等サポート宜しく。」
とゴーレムチームに指示を出したあと、
濾過
サイズ 1.5 メートル
継続時間 3 時間
濾過膜A 指定枠 1 「固さ」
濾過膜B 指定枠 2 「スキル」「MP」
パッケージ あり
発動
と、濾過ポイを握りしめ雪をかき分け進むと、真っ白なモコモコ狼が群れで取り囲む。
「おら、来いよ!」
と叫び濾過ポイを構え、
「ワォ~ン」
とリーダーっぽいヤツが遠吠えすると、開戦の合図だ。
血気盛んなヤツから飛び掛かって来る。
濾過ポイで返り討ちにしながら、
「アースウォール」
「アースウォール」
「アースウォール」
俺は背後と左右に壁を出す。
「ピットホール」
開いている真正面に入り口いっぱいに、三メートル幅の落とし穴を作った。
ダーツキツツキの時の「穴熊戦法」で、穴を飛び越えてきたモコモコ狼を空中で濾しとり穴に落とす設計だ。
索敵を使い残りの狼を確認しながら濾しとりを開始する。
〈ガウっ〉と飛びかかっては、空中でポイの輪くぐりをしては気を失い落ちていく…
徐々に穴一杯になる気絶狼、
すると、リーダー格の一匹が落ちた仲間を足場に不意に斜め下から噛みついてきた。
右腕を鎧の上から噛まれ皮膚に牙は届いていないはずだが、腕から体温が抜けていく。
「あつい!?」
左手で一回り大きなリーダー狼を殴り飛ばし壁に叩きつけた。
「パッシュん」
本気パンチで倒したあと、アイテムボックスから熱々のお茶のヤカンを取り出して、足元の雪をブチコミ温度を風呂程度にして、右腕にかけてゆく。
「じわぁー」っと温もりが戻ると同時に痛みが走る、
恐る恐る右手の鎧を外すと火傷のようになっていた。
〈凍傷か…〉
かなりの深手をくらい迷わずフルポーションを飲むと、みるみる傷は癒えていくが、レベル半分以下の敵に一撃で深手を負わされたショックが癒えない。
ミレディさんに念話で、
「キバさんを助っ人に回して下さい。あとの群れは皆でヨロシク!」と告げる。
すると、
あっと言う間にキバさんが駆け付けて来てくれ、
「悪いけど、穴の中のモコモコを パッシュん して、魔石こっちに投げてくれる?」
と俺が穴の向こう岸のキバさんに頼むと、尻尾を振り回し「コクン」と頷いて穴に飛び込む。
「パッシュん」しては「ポーイ」と魔石を咥え俺の方に放り投げるを繰り返す。
俺はアイテムボックスにしまって、
全ての狼を片付けると、「跳躍」スキルで穴の底からピょ~ンとジャンプして俺の元にやって来たキバさんを「ヨォーシヨシヨシ」と撫で撫ですると尻尾をブンブンさせていた。
〈少し癒された。〉
「耐寒」のスキルカードを5枚使いレベルMAXにし、完全に寒く無くなるころ、
ミレディさんから「終了デスわ。」と、連絡が入りキバさんに乗り穴を飛び越え
下り階段を目指す。
ミレディさん達から「モコモコの毛皮が沢山手に入った」と念話が来たので、
キバさんに、「毛皮…でた?」と聞くと首を横に振った。
俺の運の悪いのは周りに伝染するのか?
はたまた不幸領域か何かの使い手なのか?
と不安になりながら皆と合流して下層を目指す。
次の27階層は火山のエリア…
〈気温差で体調を崩しそう…〉
ファイアバードから「耐熱 レベル1」と「炎の翼 レベル1」を濾しとった。
勿論、〈耐熱スキル〉もMAXにした。
28階層は砂漠で、デッカい蟻地獄がいた。
気色悪いからキッド君に鑑定を任せると、
ご主人様
『じゃいアント・キラー』
「待ち伏せ」「流砂」「大顎」
です。
と報告があり、
「スキルいらないから倒して。」
とゴーレムチームに丸投げした。
デカい虫はキモいのよ!
二十九階層は泉のエリアで、五つある泉の底に一つづつ宝箱が沈んでおり、体長三メートル以上の亀が潜んでいた。
ファルグランさんに宝箱と亀の回収を頼み、持ち上げられ水上に出た亀を鑑定した。
『キーパータートル』
「潜水 レベル MAX」「水中移動 レベル MAX」「眠り噛みつき レベル MAX」
って、えげつない!
水中に潜み宝箱目指して来たヤツを噛んで眠らせ溺れさせる…。
怖い怖い亀だった。
サイズ 5メートル
継続時間 3時間
「固さ」を取り除き、
「スキル」と「MP」を濾しとるための、濾過ポイを具現化し、シルバーさんに乗り空中で待機する。
ファルグランさんに亀をそのままダンクシュートをしてもらい、気絶亀をキッド君達残りのゴーレムチームでボコボコして 〈パッシュん 〉させるのを繰り返す。
敵もいなくなりスキルカードを回収した俺はミレディさんの「オリハルコンのブーツ」にアダマンタイトの金槌を取り出し「水上歩行」を付与したのち、
俺は、「潜水」と「水中移動」をレベルMAXで取得した。
嬉しかったのか泉の水面でくるくると踊る
キッド君達と宝箱チェックを済ませる。
全部鍵付き、罠付きの「あり、あり」の宝箱だった。
「天使だなんて、恥ずかしいデス。」
とくねくねしているのを無視して、罠を外し開けていく
『オリハルコンインゴット』
『魔剣 ウェポンブレイカー』
『魔槌 メイルブレイカー』
が当たり枠
後の2つは
『万能薬 ×3』
『フルポーション ×2』
だった…どちらも在庫多数ありな品だ。
ブレイカーシリーズはミレディさんに渡し、オリハルコンは俺、ポーション類はキッド君に渡し、それぞれのアイテムボックスにしまい、
いよいよ30階層のボス部屋に入ると、
冒険者が、「やったぞ耐熱のスキルカードだ。」と喜んでいる最中だった。
そして、俺達に気がつき、
「すまねぇな、先に倒してしまったから、ボスを倒したかったら後二組だから半日くらいゆっくり待ってくれや。」
とリーダー風のムッキムキのおっさんが言う。
「いえ、先を急ぎますので」
と、先に進もうとすると、
「止めときな、この下の中層からのアスレチックスエリアは誰も抜けた事がない、その若さで死にたくないだろ?」
と止めてきた。
「ご心配ありがとう御座います。
我々はどうしても先に進まなければいけませので…」
とお礼を言って転移陣の部屋へ向かった。
後ろから「リーダー、これでリザードマンの町に加勢に行けますね。」
と話しているのが聞こえた。
〈彼らに頑張って欲しい〉と思いつつ転移陣の登録を済ませて下に向かう。
待合室組に、「気の毒に…」「止めとけ」と口々に言われたが、
「ありがとう御座います」「行ってきます」と会釈をしつつ階段へ
「気を付けろよ、死ぬな!」
の声を背中で聞いて下って行く。
中層 31階層 迷路エリアのようだ。
簡易罠サーチをつかいサブマップを確認する。
罠ダラケだ、罠を示す黄色い点が、サブマップに無数に散らばる…
「バカ野郎、ドット柄じゃねーか!草間作品かよ!!」
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます