第70話 決意と共に動き出す人々

皆様おはようございます。

あまり寝れませんでしたが、

頑張ります…


昨夜の手紙の束を持ちミレディさんに、

シルフィーさんとジーク様に念話をとばして、


〈会議を開きたい〉と連絡してもらう。


愛妻号にミーチェさんもユリアーナさんも乗ってもらい全員で一路シルフィーさんの元へ、


ホントなら昨日のうちに会いに来たがったが…。


貴族になる事や家をもらった事を報告し、


「シルフィーさんの部屋もあるから一緒に住もう」


というと、喜んでくれた。


しかし、昨夜の速達便の手紙を見せて、シルフィーさんに時間が無いことを告げシルフィー商会にも協力をお願いする。


まずは、大地の女神像をアサダの町と果ての村に商会のキャラバンで届けて欲しいと依頼した。


シルフィーさんも馬車に乗ってもらいジーク様のもとに向かう。


バタバタしたが、第一回アルド家会議をジーク様立ち会いのもとで始まった。



ジーク様が、


「朝から婚約者を連れてきてどうしたのだ?」


と、聞いたので、昨夜の神々の速達便を見せた。


読み終えたジーク様が、


「主神様は何とも…」


と考え込むジーク様に


「ジーク様、今回で主神の性格が解ったと思います。


主神の腹いせで大きく残り時間がなくなりダンジョン踏破のみに集中しなければ間に合わなくなってしまいました。


やはり神様達の夫婦問題は主神が小者な事が原因だと俺は思っています。


なので、ジーク様とシルフィー商会で、〈大地の女神像〉の配置をお願いしたい。」


俺の頼みにジーク様は


「うむ、引き受けた。


国の内外に呼び掛け女神像の精霊結晶に〈祈り〉を蓄えるのだな。」


文官を呼び書類を作りはじめるジーク様に、


「頂いた屋敷はメイド達に任せますが、出来れば信頼のおける人物を数名紹介して頂きたいです。」


と俺が頼むと、


「それも任せてくれ」


と書類を指示しながら答えるジーク様…


〈仕事ができる男は頼りになる。〉


そしてジーク様は


「私は、今怒りを覚えている。

自分の思い通りにならなければ、ただでさえ厳しい試練を与えた子供にも容赦ない仕打ちをする。


こんな大人げない者が主神とは情けない国中に真実を知らせ教会の主神像を大地の女神像にすげ替えてくれるわ!


アルドよ婚約者の事や家の事は全て私に任せておけ。


ダンジョンを踏破し、嫁さんの前に、こんな小者な神など引きずり出してやれ!」


と、お怒りだ。


俺は、


「宜しくお願いします。

メインダンジョンを踏破しリザードマンの国が落とされる前に援軍に向かいます。」


と頭をさげた。


するとシルフィーさんが、


「発言よろしいでしょうか?」


と言って、ジーク様が頷く


シルフィーさんは厳しい表情で、


「中央国の東の端、いまは亡国となった帝国に面した砦をシルフィー商会…いえ、アルド様の私財で要塞としたいと存じます。


〈果ての村〉で改良された竜種の魔物すら貫くバリスタや、アルド様が持ち帰った封入の矢等の魔石技術を使った最新鋭の要塞をです。」


と、提案する。


ジーク様が


「うむ、了解した。


あの一帯を好きにして構わん。


息子も持て余しておるはずだし、


なにせ、アルド君にはいずれ領地を与える予定だったからな…


フッフッフ、我らを馬鹿にし、嫁と息子すら大事に出来ない主神の好きさせてたまるか!


私はやるぞ、勇者が来る前に全て片付けるぞ、アルド君!!」


と…


あーあ、主神は怒らしちゃ駄目な人を怒らせたよね…



この日の会議で、

後方部隊が団結したので、心配することが無くなった。


〈これでダンジョン踏破に集中できる!〉


まずは、装備を整えるためにシルフィー工房の親方衆も参加して新兵器を開発する。


初めに

シルバーチャリオットの改良を行う

シルバーさんにスカイウォークがあるが、戦車モードでは空を飛べないので、

オリハルコンで馬鎧と戦車を作り、ライブバードから濾しとった「飛行」をベースにアイテムボックスに、あるスキルを、厳選し付与した。


「オリハルコンの馬鎧 タイプペガサス」

「飛行」・「神速」・「物理耐性」・「魔力自然回復」

空きスキルスロット 2



「オリハルコンのチャリオット」

三人乗りのチャリオット

「飛行」・「自然修復」・

空きスキルスロット 3



次にミレディさんの装備のを作る


「オリハルコンの兜 タイプ座天使」

「衝撃吸収」

空きスキルスロット 4



「オリハルコンの鎧 タイプ座天使」

「飛行」・「鉄壁」

空きスキルスロット 3



「オリハルコンブーツ タイプ座天使」

「跳躍レベルMAX」

空きスキルスロット 4


ミレディさんに、


「オリハルコンボディーに変えるか?」


と聞くと、


「重くなるから嫌デス!」


と言ったので、〈装備の一新〉に成った…しかも飛べるタイプにしたのだが…


〈ゴーレム娘も体重を気にするんだね…


ダイエットとか言って体にヤスリがけしないように注意して見ておこう…〉



工房がフル稼働で仕上げてくれた装備が完成し、


早速次のメインダンジョンへと旅立つことにした。




中央国から西に馬車で1ヶ月の、獣人族の合衆国 レトリバー に到着した。


途中、試しに空を飛んで移動してみよう!

となり、シルバーさんに〈ペガサスタイプ馬鎧〉を装備してもらい、


「話し合い」と言うミレディさんの一方的な指示のもと、「キッド君」「キバさん」「ファルさん」がミレディさんのアイテムボックスに入って、


「さぁ、ダーリン空の旅に出発デス。」


とシルバーさんに乗る俺の後ろに飛び乗りしがみつくミレディさん…


本人は胸でも押し付けているつもりだろうが、フルメタルボディーなので、固くて冷たいだけだ。


「誰が冷たい女デスか?!」


と、心の声盗聴犯が何か言ってるがスルーする。


「ハイヨォー。シルバー!!」


と、言ってみたかったセリフを発して、


シルバーさんは空に駆け上がり「加速」と「神速」のスキルを使いグングンとスピードを増す。


天馬は風に乗り、雲を突き抜け!


凄いスピードで…俺の体温を奪い去る。


「寒い、寒い、寒い!」


と騒ぐ俺に、


「大丈夫デス。ギュッとして暖めてあげるデス。」


と冷えたメタルボディーで密着してくるミレディに危うく止めを刺されるところだった…


「主よ、魔力補給の為に降ります。」


とシルバーさんからの念話が入り、


極寒地獄から解放され、地上に降りてすぐに、


「今日は、ここでキャンプです!」


と宣言し、急いで焚き火を用意する。


身体が暖まる間にシルバーさんにMPカードをあげて、パリパリして回復してもらう。


焚き火に当たりながらマップで確認すると、1日で一週間ぶん位進んでいた。


〈寒くなければ最高の移動手段なのだか…。〉



そんなことをしながら獣人族の国 レトリバーに到着した。


レトリバーは元々部族ごとに別れて暮らしていた小さな国々が集まってできている。


首都ラブラ 意外では、犬っぽい方々の国や、猫っぽい方々の国のようにざっくりと別れていているらしい。


首都ラブラは色々な小国の民が集まって出来た都市なので様々なタイプの獣人族が住んでいる。


他の町と違い肉を提供する店や露店が立ち並び、安い価格でボリューム感も凄い、別名 「狩人の都」「肉料理の聖地」と呼ばれているだけはある。


ミレディさんが「認識阻害の指輪」を装備し、獣人に化けて、キッド君たちは門の外で待機してもらい

首都ラブラの大統領に会いにいく。


中央国カイル国王陛下の書簡を渡す為だ、


普通に馬車郵便でも良いのだが、使徒のお披露目も兼ねている。


流石は「王家の紋章」のある書簡だ、スムーズに大統領に会える事になる。


応接室に通されて待つこと数分、


「お待たせしてすまぬ、中央国からの使者殿。」


と左目に眼帯の犬耳おじさんが入ってきた。


「私はこの国の大統領をしているラドルだ。宜しく頼む。」


と、握手をする


すると、


「そちらの無臭の女性は?」


と聞かれ、


〈嗅覚も凄いんだね…〉


と、驚きながらも俺は、


「ここまでの道のり目立つので変装させていました。」


と、ミレディさんに指輪の機能をオフにするように念話でお願いをする。


シュンと元に戻るのを確認し


「ほぉ?!」と感心しているラドルさんに


「改めてまして、私はアルドと申します。

こちらは…」


と言いかけたところで、


「婚約者候補…実質〈女房〉のミレディと申しマス。」


と、自己紹介をした…


〈アホか…〉


しっかり、「仲間のゴーレムのチームリーダーです。」と俺から紹介し直し、


ラドルさんは二人を見回したあと、


「アドルさんと言ったかな、


このお嬢さんからは逃げられないぞ。

ハンターの感がそう言っている。」


と、冗談っぽく茶化しながら笑っていたが、


俺が書簡を渡すと、


スッと真剣な顔になり


「拝見する。」


といって、書簡を読む。


暫く静かな時間がながれ、


「うむ、片目を失いハンターとしては力に成れぬが、国の長として協力させて頂きます使徒様」


と、頭を下げるラドルさんに


「こちらこそ」


と俺も頭を下げた。


そして、アイテムボックスから小瓶を出して、


「狩神様も今回の世界の危機にあまりかかわれないのを悔やまれておられました。(手紙で)


ラドル様にこれを飲んで頂き、獣人族の…いや世界の狩人達のリーダーとして、皆を導いて下さる事を願います。」


と伝えると、


ラドルさんは、何の躊躇もなく液体を飲み干した。



その日、眼帯は捨てられ、狩人の英雄が復活した…


そして、同時に神々の使徒の信者が生まれたのだった。

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