第66話 世界樹の国へ

皆様こんにちは

11歳に成りました。

アルドです。


まだ、エルフ国…ではなく

ハイエルフが治める「エルフ達の」国のアメリス地方になる予定の、街にいます。


王国の解体のゴタゴタで、帰るタイミングを逃したのもあり、ユリアーナさんが心配するかも?

という理由から、ゴタゴタが落ち着くまで残る事に成った。


時間が有るからと、ゴーレムチームにお使いをお願いをして、


この街から東に一月程の位置に妖精族の里があるらしく、


妖精族を俺がまだ見たことが無いのは、魔力の濃い場所を好む、恥ずかしがり屋さんな種族だから街などに住むことは稀だからだそうだ。


ハイエルフが治める世界樹の国には少し住んでいるとユリアーナさんに教えてもらったのだか…


〈ユリアーナさんは妖精さんを見たことがあるみたいだ。〉


まぁ、そんなわけで、ゴーレムチームには、


「精霊結晶」を、妖精族の里の近くの泉まで、取りに行ってもらった。



俺は、エルフの街に残る事になり、


何故かその後、ハイエルフの都にユリアーナさん一家と宰相さん、それに元エルフの王国の貴族さんや有力者の方々で大移動です。


愛妻号はゴーレムチームがお使いに使用しているので、久々の腰にダメージがかかる馬車旅だった。


一週間が…とても長く感じた…


「なんで、俺までハイエルフの都までいくことに?」


と、ユリアーナパパに聞くと、


「使徒様の事をユリアーナに聞いたが、使徒様に関係が有ることだから。」


とだけで、詳しくは教えてくれない。


まぁ、腰がボロボロになり何とかたどり着いたハイエルフの都で、理由はすぐに判明しました。


ハイエルフ国は皇族が議長となり各地方の代表が議員を務める議会が国を動かしている…


その議長、つまりエルフのトップが、


俺の愛するシルフィーちゃんのお兄ちゃんでした。


〈うん、確かに関係が有った。〉


エルフの王国の解体と、ハイエルフの「世界樹の国」への帰属の手続きを無事終えて、他の「世界樹の国」の地方議員さん方々とのパーティーに参加することになる、


俺は、パーティーの良い酒の肴にされていた。


なんせ、こんな子供が議長の妹さんと〈婚約〉したのだから…



世界樹の国はイメージと違い多民族国家だった。


ハイエルフはとてもとても長寿なためハイエルフ同士の結婚はラブラブが千年続くなら構わないが、大概


「子供も育って300年経ったし、もう、いいんじゃね?…旅に出て世界見てくるわ。」


みたいになり円満離婚…


その後の旅先で数百年振りのロマンス!


そして、生まれたハーフハイエルフ…


他種族の妻や、夫と死別し子供達をつれて里に帰ってくる。


この一連の流れで多民族国家の出来上がりとなる。


なかには純血主義者もいるが、その思想が色濃いエルフの王国が亡くなったため、少し歯車が進んだかもしれない。


と語るシルフィーちゃんのお兄ちゃんこと、


イグドラシニス・ハイ・ド・エルフリアさん


略して、イグニスお兄様は


「アホ程長生きなんて良いことないよ。

全部の種族混ざって皆〈ちょこっと長生き〉になったら良いのに…。」


と、酔っ払って何度も言っていた。


〈長生きには長生きの苦悩があるみたいだね。〉


因みに、

俺の大事なシルフィーちゃんも本名は長いらしい、


シルフィレーネ・ハイ・ド・エルフリア


略して、シルフィーちゃん!


補足だが、「ハイ・ド」は、「ハイエルフ・の」の意味で、ユリアーナさんにもある「エルフリア」は「族長」の意味らしい。



翌日、二日酔い気味のイグニスお兄様は、ヤンチャそうな笑顔で、


「アルド君、シルフィーから手紙で色々、それはもう、色々読ませて貰ったよ。


気に食わない見合いばかりで、結婚相手ぐらい自分で探すと出て行ったが…


結婚もせずに孤児を育て、商会を立ち上げ、


あぁ、妹は旦那以外を沢山手に入れてしまって、千年以上ある人生を嫁にも行かずに過ごすのかと心配していたんだよ…」


と、話してくれた。


「何を手紙で書いていたか気になるけれど、聞くのが怖いです。」


と、俺が言うと、


イグニスお兄様は、


「心配しなくても良いぞ!」


と言われて少しホッとした俺に


「隠す事無く、全部書かれていたぞ。


それこそ幼少期のアイテムボックスの独自の練習から全部だ、全部!


読むのが大変だったぞ。

わっはっは」


とご機嫌なイグニスお兄様…


対して俺は、もう帰って布団に入りたい気分だった。


泣きたい…。


イグニスお兄様は


「妹が、


『アルド君が動けば世界が動くから、楽しみにして、』


と書いて有ったが…エルフの王国が解体するとは…正に世界が動いたな…」


と、言いながら水を飲み干した。


イグニスお兄様…二日酔いなのに時間取ってくれたんだね…ありがとう…


そして、イグニスお兄様は、


「エルフの国は他の諸国より遅れている分野が多い。


君に任せれば大丈夫だから任せてみろとあの妹が手紙に書ていた。


あれは、私より遥かに聡明だ…


私は妹に従い君に権限を与えるから、


諸々ヨロシク!!」


と、何かを〈ヨロシク〉された…


「えぇぇぇぇぇぇぇ!!」


っと驚く俺に。


「お兄ちゃんのお願い!」


と両手を合わせてウィンクしてきた。


可愛いお兄ちゃんだった。



ー 数日後 ー


イグニスお兄様にお願いされて、

世界樹の国の学力アップ・技術力アップを任されました。

アルド先生の誕生と成りましたが、


とりあえず、イグニスお兄様の依頼は、


ひとつ

国民の計算力アップをして欲しい。


ふたつ

長年ドワーフと仲がヨロシクなかったので、いざ、仲良くしたいと思っても、長年の悪感情はお互いまだ何処かにあり、

鍛治をするエルフも教えてくれるドワーフも少なく鍛治のレベルが低いので、何とかして欲しい。


みっつ

特産品の見直しや復活で国力をアップして欲しい。



の三点だが…


俺もやらなきゃいけない事があるので、ダラダラ教えてあげれないから、短期集中でやるために、イグニスお兄様に、俺の方からも幾つかお願いをした。


まず、勉強に興味とやる気のある人を老若男女とわず集めて欲しい。


この中から基礎学力が高い者に、

学神様の知恵 (九九) を授け、

理解し先に進める者には、その先にある様々な知恵を教え、

そして、十分知恵を身につけたら、次はその者が教師となり他の者を導く流れを作りたいので、〈選抜の学力テスト〉を国主体で行ってほしい。


つぎに、この国の技術者の中でも新たな技術に柔軟に対応できる者を各分野一人づつ集めて世界樹の国の技術会議を開く、

どんな技術があり、なにを欲しいと思っているかをまず知りたい。


最後に、知恵を求める者から最低一人、私の補佐を任命してほしい。


と、俺からの条件をだした。

イグニスお兄様は国が全面協力すると約束をしてくれた。



暫くは世界樹の国に住むことになったのだが…


ひとつ問題がある。


それは、旧王国組はハイエルフの都に館を与えられて共同で暮らしているのだが、


パパさんの両親も同じ館に住んでいるのだ。


〈気不味いったらありゃしない!〉


おばぁさまはやたら俺を構おうとするし、じいさんはもう、距離感も掴めず居づらそうにしている…


学神様の神託や王様の決断から非を認め、謝って仕切り直したいんだろうけどねぇ。


〈あの後じゃ気不味いよね…俺もだから…。〉


気不味いままどうすることも出来ずに、

一週間経ち、王国の学力テストが開催された。


約百人が参加し即日採点、即日発表し、

結果三名の者が試験時間を余らせたうえで満点を採った


一人目 国の財務担当者 パントンさん


二人目 商店の三男 ソロさん


三人目 イグニスお兄様の娘アーシェさん


の三名である。

一年ぐらい時間があれば30人くらい教えれるが、予定3ヶ月で十分な指導をしたいので三人にしぼった。


早速明日から午前中は授業を行い、

午後は技術会議と技術指導の予定で動くスケジュールだ。


鍛治は技術会議でニーズがあるものを重点的に教えることにする。


さぁ、忙しくなるぞ…

3ヶ月で、みっちりバッチリにしてやるんだ!!


今日は早く寝て明日から頑張るぞぃ!

と意気込んで部屋に帰ると、


…俺の部屋の前にじぃさんがいた。


しかも、部屋の前を行ったり来たりしている…


〈声を掛けるべきか?…無視するべきか?

それが問題だ。〉


どうしよう?と悩んでいると。


「あ、あ、アルド…殿…」


じぃさんの方から声を掛けてきた。


「そのぉ~。色々と謝りたいのだ。

許して貰えるかは解らぬが…いや、たとえ許されなくても謝らなければ私は先に進めないのだ。


本当にすまん事をした。

心から謝罪する…アルド殿。」


と…面倒臭いが仕方ない。柱の影からおばぁさまが心配して見てるもんね。


〈歩み寄ってやるか。〉


と覚悟を決めて、


「孫に〈殿〉はおかしいでしょ?

先日の俺をドワーフのガキと馬鹿にした件や、家族を蔑んだ件…

認めてくれと言ってもないのに〈孫と認めない!〉と偉そうに言った件…」


柱の影から

「アナタ、そんな事を?!」


と、聞こえてきたが、聞こえなかったふりをしてあげよう。


「あと、孫を高圧的に睨み付けた大人げない件も合わせて、


一旦、許しましょう…

ただ、父と母にした仕打ちは許しません!」


俺の「許す」の言葉に明るく成った顔が、「許さない」発言でイッキに暗くなる。


「まぁ、俺が生まれる前の話しに俺がどうこう言えないから、


その事については俺は知りません…


まぁ、〈果ての村 〉に出向いて、ウチのパパさんとママさんの前で、デコから血が出る程土下座でもして許してもらってよ…


じぃちゃん。」


と伝えると、


唖然とするじぃさん…


俺は柱の影に向かい、


「おばぁ様もそれでいい?」


と聞くと


「バレてたのね。」


と残念そうにでてきたおばぁ様を見て、驚くじぃちゃん。


〈えっ知らなかったの?〉


と、思いつつ、俺はじぃさんに


「〈果ての村 〉まで遠いよぉ~、


俺が、この国で揺れない馬車を、ドワーフのじぃちゃんから習った鍛治技術で作るから、


ばぁちゃんと二人で謝りに行くといいよ。


妹が居るんだ…逢ってあげてよ。」


と、言うと、


ばぁちゃんはじぃさんをサスサスしながら泣いていた。


そして、じぃさんは


「許しを乞うてすぐに厚かましい願いだが、


どうか私にフルポーションの製造方法を教えては頂けないだろうか!


どうか、お願いしますアルド先生!!」


と、土下座じぃさんと懇願おばぁさまが現れた。


〈アルドは逃げられない〉


…アルドは諦めて腹をくくった。


「良ぉぉぉし!


じぃさん、「鑑定」 は使えるかい?」


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