第60話 強く成るのも骨が折れる
マップと鑑定とアイテムボックスと索敵がレベルが1になり、暇を見つけては簡易サーチや物の出し入れ、ゴーレムチームが戦っている最中索敵と、スキルのレベル上げをしながら、
あぁ、俺、要らないんじゃないかと悩んでいるアルドです…
〈でも、キッド君を成長させて正解でした。〉
俺より〈しっかり者〉だしファルさんとの連携で索敵や探索の精度が上がり、ダンジョン攻略も鉱石採掘もサクサクです。
少々俺の鑑定等のスキルがアホ性能でも問題ない…
ミレディさんを「鑑定!」
「ゴーレム」
「食べられない」
……うん、…問題ない…はず…。
俺は、不安を振り払うかの様に、
濾過ポイを振り回しスキルを刈り取る鬼と化して進む。
53階層にて、会議案件が浮上した。
「マスター、キッドから連絡デス」
とミレディさんが教えてくれた、俺は、ミレディさん経由先行しているキッド君と念話で報告を受ける。
「キッド君どうしたの?」
「ご主人様、隠し通路があります。
ファルさんに確かめて貰いましたが、ボス経由のショートカットが出来るみたいです。
いかが致しましょうか?」
俺的には、苦い思い出が多いので、尻込みしてしまうが、ゴーレムチームは今、調子が良い状態なので水を差したくない。
「任せる!」
というとチャレンジする事に決定し、入口を探すと、岩場の洞窟の奥に下り階段があった。
かなり下って広い場所にでると、
火山地帯で溶岩の川が流れる灼熱の大地だった。
「溶岩の中から何が来ます!」
と、キッド君が叫ぶ…
しかし、隠れる場所もない…遠距離攻撃タイプの敵なら不利だ!
と、焦りながら、
「アースウォール」「アースウォール」「アースウォール」と、連発し壁を乱立させる。
俺は、
「皆影に入れ!ミレディさんは盾、キッド君は水龍の守りを準備しつつ敵の姿が見えたら鑑定頼む!」
「キバさんはウォーターカッターとシルバーさんは水魔法」
「ファルさんは上空から敵を追跡して、行けそうならグランユニットをミレディに出してもらって。」
と、ゴーレムチームに指示をだし、
深呼吸をしてから、
「じゃあ行くよ!」
アースウォールの影から敵の出方を探る…
溶岩が盛り上がり、下で何かが蠢き、
そして、
「ザッパァァァン」
と、溶岩から赤いマグマのカエルが出てきた。
「キッド君!」
と叫ぶと、
『マグマフロッグ レベル160』
「熱光線」「火無効」「溶岩弾」です。
と即座に報告が入る。
溶岩系の魔物らしいアツアツスキルだ…
「キバさん、シルバーさん、ミレディさんは、水属性攻撃を!」
「キッド君は封入の矢の水龍撃でヤツの手足を狙って」
と指示を出し、攻撃が開始される。
皆の攻撃を受けたカエルの手足の溶岩が冷え動きが鈍る。
そして、この隙に、
「ミレディさん。グランユニットを」
と指示を出すと、
「了解デス」
と、ミレディさんがアイテムボックスからグランユニットを配置する。
「うおぉぉぉぉっ!
機動巨人・ファルグラン参上!」
と、カエルの前に立ちはだかる金属の巨人
「水属性だ!」
と指示を出すと、
ファルグランさんの両手が仄かに青く光り、
「アクアラッシュ!」
水属性の連打を放つファルグランさん。
完全に固まったカエルにヒビが走り、ガラガラと崩れ、
〈パッシュん〉した…
「アルド様、殺りました。
他敵影なしです。」
とキッド君からの報告が入り、
「うん、ファルグランさんも、皆もお疲れ様。」
と労うが…
〈俺、指示以外…何かしたかな?〉
と、少し不完全燃焼気味な気分を残して先に進む。
階段を下りた先には60階層のボス部屋は岩場の広い空間…
ズシンズシンと巨体を揺らし一匹の魔物が近付く。
『地竜 レベル100』
「硬化」「風魔法 レベルMAX」「土魔法 レベルMAX」です。
キッド君から報告が入る。
「皆は休んでて、俺が殺るから。」
と言い、走りだし地竜の前に出る。
アイテムボックスからアルドはんどあっくすを出して構える。
マジックバリアを左手側で展開し地竜に切り込む…
しかし、ガキンと金属の様な音がし、手がビリビリした。
「硬化」のスキルだろうか?
こいつの眉間を貫いた、〈果ての村 〉のバリスタの威力がどれ程か…。
〈俺も欲しいよ…まったく…〉
と思いつつも、「やっぱり助けて」はカッコ悪いから頑張ろう…
と気合いを入れ、再度近付こうとする俺に地竜の魔法が襲いかかる。
俺の進行方向に先回りして生える岩壁、
アースウォールの林を抜けようとすれば壁と壁の間にアースニードル付きのピットホール、
迂回しようと横にそれたら狙い撃ちの風魔法、
アースウォールの影に隠れて作戦を練っていたら頭上から岩が降ってくる…
〈上手い!参考になる使い方だ。〉
しかし、食らう俺は、たまったモノでは無い…
俺は、短距離転移でかわしながら、地竜に近付き斧を構えて、
「チャージ!」
と唱えると、体の中に魔力が循環し始める。
もう一度、短距離転移で地竜の首もとに飛び、
「渾身撃!」
と叫び、斧スキル技でHPを半分使い攻撃力を上げた一撃が地竜の首に叩き込まれる…
音もなくスッと首がズレ地竜が大地に沈み
パッシュんする…
魔石と牙を残し地竜が消えた。
〈チャージ〉からの〈渾身撃〉という火力に極振りの大技だが、
やっぱり俺は、戦いの経験やテクニックがまだまだだな…かわされたら次の手が無い…
ハイポーションを飲みながら、反省する。
〈まともな戦闘はこんなにも手こずってしまうのか…〉
濾過ポイを使えば楽なのだが、それだけでは駄目な気がするし…。
うーん、悩む
まぁ、悩んでも仕方ない気もするし…。
よし!セーフティーエリアでご飯食べて寝よう。
なに食べようかな?
と、いっぱい食べて、ぐっすり寝た翌朝…
なんだかモヤモヤしていましたが、
〈俺、理解してしまいました!〉
いやぁ、スッキリです。
キッド君が皆のために強く成りたい!
と云う心意気に打たれ、
複合スキル、神々の知恵と、
アイテムボックスを渡した結果…。
パーティーとしての性能は下がらず、むしろ上がりました…
が、しかし!
俺のパーティー内での個性が消えてしまいました。
そう、ゴーレムチームのみで完結してしまっている…。
後悔は有りませんが、早急に役に立つポジションを見つけなければ、
ハートが持ちません…
現在の休憩も俺以外必要としておらず、
〈あれ?俺、足引っ張ってんじゃね?〉
感が拭えません…トホホ…
〈よし、頑張って役に立つポジションをさがすぞ!〉
…頑張る、頑張るから…。
ミレディさん…念話盗聴を一旦切るか、
もしくは、俺の頭を撫で撫でするのを止めませんか?
〈泣くぞ?泣いてしまうぞ!!〉
という朝の一幕がありましたが、
よし!
気を取り直してダンジョン攻略だ!
61階層は、いきなり雰囲気が変わった。
魔法を使う魔物ではなくて、何かしらの魔法で生まれた様な魔物が蠢いていた。
「鑑定」
「骨の魔物」
「そのままでは食べられません。」
うん、スケルトンだね
ピロリン
お、久々のお知らせだ。
頼む、「鑑定」
『スケルトンナイト』
「出汁なら取れるが食用に向かない。」
うん、知ってた、未だ使えないのは…知ってた。
気を取り直して、だだっ広い古戦場の様なフロアを警戒しながら進む。
索敵にも活動前は引っ掛からず、
土の中から「ガバッ」と、いきなり飛び出す心臓に悪いフロアだ。
次の階層に下りるのも一苦労だった。
62階層も古戦場だった。
このフロアには、剣や槍または斧をもった〈スケルトンナイト〉だけでは無かった。
魔法を操る〈ワイト〉が紛れていた。
そして、このワイトはスケルトンナイトと違い、バラバラにされても パッシュん しなかった。
砕かれたあともう一撃必要とする。
「キッド君!」
とだけ言うと、阿吽の呼吸で鑑定結果が届く。
『ワイト レベル90』
「火魔法」「再生」「魔力自然回復」
です。
楽しそうなスキルがある。
「皆、ワイトのスキルが欲しいから俺に回してくれ!」
と念話で連絡したのち
「濾過」
大きさ1.5メートル
持続時間5時間
濾過膜A 指定枠 1 「魔石」
濾過膜B 指定枠 2 「スキル」「MP」
パッケージ あり
発動!
と、俺は斧から濾過ポイに持ち替えワイトを〈パッシュん 〉させていく。
そして現在、65階層と66階層の中間のセーフティーエリアでキャンプをしている。
ここまで、〈スケルトンホース〉に乗った、〈スケルトンジェネラル〉や〈スケルトンアーチャー〉に〈スケルトンドック〉の骨猟師ペア等、手強い敵はいたものの、
レベル差が有るので問題なく来れた。
そして、次の階層は、
5階層ぶち抜きのボス部屋だった。
部屋というか、円錐形に徐々に広がる空間の壁際に、車道程の緩やかなスロープが延々70階層迄続いており、
ソコには、荒れた大地が広がり、
なぜか、
美しい城がそびえ立つていた。
俺達は、その空間の天井間際からスタートして、城を落とさなければ先に行けないシステムみたいだ。
俺達はまず、封入の矢をだし、
シルバーさんに火魔法の最大魔法〈フレアバースト〉を十本と水魔法の最大魔法〈アクアミサイル〉も十本封入する。
シルバーさんに〈MP」カード〉をモリモリ食べて満タンに回復してもらい、
俺も〈放電〉を十本追加しておいた。
俺も回復をしてる間に、キッド君はアイテムボックスからシルバーさんの戦車を取り出し装着させていく。
シルバーさん戦車モード「シルバーチャリオット」の完成である。
シルバーチャリオットに俺とミレディさんとファルが乗り込み
キバさんにキッド君が騎乗する
「キッド君とキバさんチームは遊撃を頼みます。どんなボスかも判らないので、初めは遠距離攻撃でキッド君をキバさんが守って下さい。」
と指示を出すと、頷く二人、
「ファルさんとミレディさんは一番大変な中間地点で踏ん張って貰います。ミレディさんはファルさんを守って中央付近でグランユニットを展開して、ファルグランさんと戦って下さい。ファルグランさんが参戦後は独自の判断で宜しく。」
と指示をすると、二人も頷く
「最後はシルバーさん
ミレディさん達を降ろしたあと、
俺と真っ先に城まで駆け抜けて下さい。
俺を降ろしたらミレディさんに合流し指示を受けて下さい。
俺は城を落とします。」
というと、シルバーさんが頷き、
皆が配置に着く。
「大丈夫とは思うけど危なく成ったら無理しないで逃げてね…
じゃあいくよ!」
と、長い坂道を下り始める俺達…
シルバーチャリオットの後ろをキバさんが追うかたちで、城のバルコニーの高さまでぐるぐる螺旋の下り坂を進むと、
敵城に動きがあった。
バルコニーにマントを羽織った骨がいた…
念話でキッド君に鑑定を依頼すると、
『ワイトキング』
「スケルトン統率」「スケルトン身体能力向上」「不死」「火魔法 レベルMAX」
えっ、不死身なの?
骨の王は右手を天に突き出すと、
「ぶぉぉぉっ。ぶぉっ、ぶぉぉぉっ!」
と、角笛の音が鳴り響く。
すると、城壁にスケルトンアーチャーが並び矢を射かけてきた。
咄嗟の事だったが、キッド君達が弓で応戦してくれている間に、
シルバーチャリオットは先に進むべく坂を下る。
70階層では骨軍団が地面から這い出し陣形を組んで待ち構えていた。
しかし、止まる事無くシルバーチャリオットは真っ直ぐに陣営の真ん中に向かい進む…
余り役には立たないが鑑定をかけると、
前列
『スケルトンドック』骨の犬
『スケルとん』 骨のボア
『スケルトン』誰かの骨で戦う骨
中央
『ワイト』骨の魔法使い
『スケルトンアーチャー』骨の弓使い
後方
『スケルトンジェネラル』率いる『スケルトンナイト』軍団
が、ワラワラと犇めいている。
中央の遠距離攻撃組をなんとか出来れば、
後方まで楽々行けそうだな…
と考えた瞬間に
「了解です。」
と、キッド君からの念話があり、
封入の矢の雨が降る。
火柱が上がり焼け崩れる弓隊と、
水に押し潰されとどめに感電させられた魔法部隊が、
盛大に〈 パッシュん〉 している。
シルバーチャリオット組も風魔法と土魔法でワラワラいる前列を蹴散らして進み中央を陣取った。
ミレディさんとファルさんを降ろし後ろの雑魚を任せようかと思った。
その時
「ぶぉっ、ぶぉおぉぉぉっ!」
違うリズムの角笛が鳴った。
スケルトンジェネラル達が
「カタカタカタカタ」と顎を鳴らし、
笑っている?様子だった。
俺は、気づいてしまった。
「罠だ!」
と…
〈残存兵力が有るのに陣形を切り崩されてもまだ動かない…〉
完全に囮に引っ掛かっり中央に留められた!
「来ます!!」
と、キッド君からの念話と同時に大地が揺れる。
そして、
地面を突き破り産まれたのは、巨大な骨のドラゴンだった。
「ミレディさん!」
と指示を出すと、待ってましたとばかりに、
「来るデス!」
と吠えグランユニットを展開する。
「ファル準備OKデス。」
とのミレディさんの声に、
「応!!」と答え空中へ舞い上がるメタルボディーの隼…
そして、加速しながら舞い降り、
一人の闘士が戦場に立つ。
「うおぉぉぉぉっ!
機動巨人・ファルグラン!!
キサマは私が相手する。」
キマったね。カッコいいぞ。
「任せたよ。ファルグランさん!
ミレディさんは悪いけどもう少し付き合って。」
とシルバーチャリオットに乗り込んでもらう
「マスター、付き合うどころか〈女房〉なのデス。
こんな状況でもデートに誘うだなんて、どれだけアタシが好きなんデスか?」
と、くねくねして喜びながら、最大出力の風魔法〈カッターストーム〉で後列のスケルトンナイト達を パッシュん パッシュん している。
あくまでも、〈女房役…なのだが…〉しかし、こうなったミレディさんは無敵だ。
骨の騎士達を蹴散らし道を作り、
城の入り口に着いたシルバーチャリオットから俺は一人降りて、後方の指揮をミレディさんに任せる
「マスター気をつけて行くのデス。
晩御飯はママさん直伝の 〈美味しいヤツ〉 デスよ。」
ミレディさんはそう言って投げキッスを飛ばし
「早く帰って来るのデス!マスター」
と言い残しシルバーさんと戦場へ向かった。
少し緊張感が和らいだ俺は、
気合いを入れて城に向かう…
城の城門の中から、
〈ザックザック〉と行進でもしている様な音が外まで聞こえる。
〈ヤバい数の軍勢がまだ残っているようだ。〉
俺は、念話で皆の位置を確認し
安全と判断したので、
「大規模作戦に移る!」
と、宣言した。
城の形や大きさは、降りて来る最中に確認してある。
俺の魔力(一度に使える量)は2,000と少し。
十分だ!!
俺は天に向け手を伸ばし、
「濾過」
大きさに魔力1,500追加
継続時間追加無し(基本の10分のみ)
濾過膜A 指定枠 1 「魔石」
濾過膜B 指定枠 2 「スキル」「MP」
パッケージ あり
発動!
と、唱えると、150メートルの濾過ポイが具現化する。
俺はそれを城にむけて、思いっきり叩きつけた。
100メートル以上ある城壁もすっぽり収まり、
城壁の内部から
「ぶぁっしゅんっ!!」
と聞こえ
ピロリン
ピロリン
ピロリン
ピロリン…。
と、久しぶりのお知らせ連打が起こった。
振り向けば、ファルグランさんがアホみたいにデカい魔石を掲げ、その後ろで、ほねほねザウルスが バッシュん した。
〈絵になるな…ファルグランさんは…〉
と感心しながら、骨の軍勢を片付けた俺達は、70階層の転移陣を目指した…
「あのぉ~、キッド君。
階段どっちに有りますぅ~?」
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