第48話 強くなる仲間達
〈急がば回れ〉や、
〈好奇心は猫をも殺す〉という言葉を噛みしめながら、
水龍を倒してクタクタのまま、とりあえず下り階段手前の陸地を目指し、水上歩行でテクテク歩く…
陸地に到着し、
「ふぅ~」っとため息をもらし、
ゴーレムチームをアイテムボックスからだして、
「こんなんでした。」
と、現場を見せ説明すると、
ミレディさんが、
「マスター、ナイスな判断だったのデス。」
と誉めてくれた。
もう、すぐにでも休みたいのを我慢して階段を下ると、薄暗い建物の中の様な場所に出た。
マップで確認すると、50階層となっている。
ボスフロアだった…
〈連続はキツイよ〉
と思いながら部屋の奥にある鎧に鑑定をかけると、
「ヘルアーマーナイト レベル 95」
「大剣」「ドラゴン殺し」「神速」
俺は、思った。
弱い弱い、210の次に95って…。
対人戦闘用のボスが、龍族特攻スキルって、仕事する気があるの?
何ならさっきの戦闘で欲しかったよ…
と呆れながら俺は、ミレディに念話で、
「悪いが、早く休みたい。
すぐに終わらせるから皆は見てて。」
と言うとミレディがコクリと頷く。
俺は、特大の濾過ポイをだす
濾過膜A 指定枠 1 「魔石」
濾過膜B 指定枠 2 「スキル」「MP」
パッケージ あり
発動するやいなや、鎧野郎に叩きつけた。
〈パッシュん〉
…あっという間出来事だった。
〈役不足…〉
もしも、このダンジョンの設計をしているヤツが最下層に居るのなら、見つけ次第に、きっちり説教をしてやると心に誓い、転移陣の部屋に移動する。
宝箱がある。
大丈夫とは思うが…。
鑑定
『ダンジョンの宝箱』
〈罠なし〉
〈鍵不要〉
と出たのでそのまま開けた。
ミスリルのインゴットが、
出てきた。
「お前も!!」
と、思わず声をだす俺…
〈いや、有り難いのよ、
有り難いんだけど、もう、ミスリルはお腹いっぱいなのよ…〉
仲間のミスリル率が高い今は、弱いのよねぇ…
ボヤきながらも転移陣の登録をすませ、
セーフティーエリアで、ミレディさんの手料理を食べて寝た。
ー 翌日 ー
ぐっすりと寝て頭も冴えたので、一旦、本日はお休みとして、
水龍戦で傷んだ俺の防具の修理式と、
ステータスチェックを行う事にした。
尻尾で貫かれた背中部分をミスリルで修復する。火を起こさないからすぐに終わった。
そしてステータスカード
出てきたカードを見てギョッとした。
小さい字でスキルの欄がびっしりなのだ。
簡単にまとめる
アルド 男 10歳
レベル 209
称号
アルフとルルドの子供
勇者の協力者
神々の使徒(主神・学神・技能神)
格上殺し(レベル上位者戦に身体強化発動)
鍛治士 レベル MAX
ドラゴンキラー(対ドラゴンにダメージ追加)
HP 3519 / 3519
MP 5381 / 5382
(神木の首飾りで、5920)
固さ 1699
魔力 2003
腕力 1467
速さ 802
運気 221
スキル
濾過EX (万物を濾しとれる)
パッケージ(故意にしか壊せない梱包)
神々の知恵(万能サーチ・検索)
鑑定・マップ・記録・探索・索敵の複合スキル
武家百般 レベル 1
全ての武器の複合スキル
開拓者の夢
穴掘り・罠師・枝払い・採掘の複合スキル
土魔法 レベル4
アースニードル・アースウォール・ピットホール・ストーンフォール(岩を落とす)
火魔法 レベル2
ファイアボール・ファイアアロー
水魔法 レベル1
ウォーターバレット
風魔法 レベル1
ウィンドカッター
素手技 もぎ取り
気配消し
不意打ち
電撃
電気無効
放電
ウォーターカッター
水上歩行
水龍撃(水属性の突き 威力大)
龍の守り(対物、対魔結界・回復効果 微)
龍の牙(水属性の斬撃 威力大)
スカイウォーク(空中歩行)
治癒魔法 レベル1
(リトルライフヒール)
加護
運気向上
読むのも大変だな。
経験の加護が外れている。
あぁ、レベルが200を越えたからか…。
納得して、指輪を外す。
敵がゴーレムチームのレベルを越えてきたので、俺は、スキルの掃除がてら皆にスキルを渡す事にした。
〈俺は、濾過が有れば何とか成るし、獲得してみた水龍のスキルを使えば皆も強くなるかな〉
と考えて、
まず、ミレディさん〈本人〉の〈剣〉と〈盾〉のスキルを
濾過ポイ
〈汚れ〉からの
〈剣スキル〉〈盾スキル〉パッケージ あり
で濾しとり、付与スキルで、〈武芸百般〉を渡してみた。
使用スキルスロットが1枠で済み、
まだ空いている2つのスロットに〈水龍撃〉と〈治癒魔法 レベル1〉付与する。
これでミレディさんはどんな武器でも扱える必殺技持ちの回復要員に昇格できた。
「うんバッチリだ。」と、満足して、
次にキバさん本体には、
まだ空きスキルスロットが2有ったので、
〈龍の牙〉〈ウォーターカッター〉を付与してみた。
牙系の技だったので、考えなしに決めたのと、
遠距離攻撃がキバに無かったので渡してみたのだ。
続いてキッド君は、
マップと索敵が〈鷹の目〉になり枠がひとつ空いているので〈龍の守り〉を付与した。
遠距離攻撃と、防御が心配なくなったので、単独行動出来る〈狙撃手〉と成ってくれるはずだ。
最後にシルバーさんは
疾風突きを濾しとり、
空いたスキルスロットに〈スカイウォーク〉を付与し、
〈疾風突き〉はシルバーさん戦車に付与しなおす。
これで、〈空駆ける馬〉の完成である。
〈後で俺が乗っても飛べるかテストだな…〉
そして、
だいぶスキル欄がスッキリした俺は、アイテムボックスから斧スキルを五枚だして「斧スキル レベルMAX」を取得する。
「薪割り撃」
「大旋風」(周囲の敵を攻撃)
「チャージ」(次の攻撃の威力上昇)
「大切断」(部位破壊や武器破壊の効果)
「渾身撃」(HPを使い威力上昇)
を手に入れた。
疲れて横になる俺の上を
シルバーさんに乗ったミレディさんが、
「キャッキャ」
と楽しげに飛んでいる。
〈テスト…俺がやりたかったな…
でも、シルバーさんのMPが勿体ないから、ホドホドにねぇ~〉
と考えていたら。
「マスター、すぐに降りマス!」
とミレディさんが叫んだ。
〈…念話スキルか…面倒だから濾しとろっかな?〉
などと考えたら、益々ミレディさんがオロオロして。
「嫌デス。マスターと心が繋がってるみたいで嬉しかったのデス。
今後は必要な時以外スキルを切っておきマス。
だから、許して欲しいのデス。」
と懇願するミレディさん…
〈いや、オン・オフ出来るのかよ!!〉
と、驚いていると、
「主よ。我も空を走れて浮かれすぎました。謝罪します。」
と聞こえる…
〈どちらさん?〉
知らない声が聞こえてキョロキョロする俺に、
ミレディが、
「皆も登録してみたのデス。」
と、報告してくれた。
どうも、「念話」スキルのレベルが上がって、登録枠が増えたからゴーレムチームを登録したらしい。
〈さっきのダンディな声がシルバーか?!〉
と、考えていると、
キッド君が駆け寄り、
〈御主人様。装備品のチェックが終わりました。〉
と、念話で報告してきた。
〈真面目そうな声だな…〉
と考えていると、
報告が済んでも見つめてくるキッド君…
〈どうしたんだろう?〉
と思っていると、
〈主よ、撫でてやって下さい。〉
と、再びダンディーな声でシルバーさんが言ってきた。
「うん、ご苦労様、キッドくん」
と頭を撫で撫ですると、
〈えへへへへっ〉
と嬉しそうな声がする。
〈心がだだ漏れは嫌だけど、喋れるのいいな。〉
と、嬉しそうなキッド君で和んでいると、
「ごっ主じぃ~ん!撫でてぇ~。」
と、「撫でる」というキーワードで、欲望のままおねだりしてくるキバさん…
〈こんなご陽気キャラクターなんだ…警察犬みたいなゴーレムなのに…〉
と少し驚く…
なんか、ミレディさん経由でゴーレムチームとお話が出来る様に成ったのは良いが、
皆さん意味もなく撫で撫での順番待ちの列を作らないでください…
ー 翌日 ー
さあ、最初ダンジョンのいよいよ後半戦に突入し、あと5つ手付かずのメインダンジョンが残っていますが、いまは考えない事にして出発です。
五十一階層は迷路のフロアで、
各種サーチをしてから探索スタートです。
このフロアに宝箱が2つとオリハルコンやアダマンタイトがとれる採掘ポイントが数ヶ所あった。
索敵担当はキバに乗っているキッド君、
迎撃はミレディさんが担当
俺は、シルバーさんの上でマップスキルで道案内と後ろの警戒をしている。
凄い楽です。
出来るチームメイトと念話スキル
「突き当たりの右に二体います。」
とキッド君の念話が入れば、
「右デスね、行きます。」
とミレディさんが走り出す。
「いつでも加勢に入れるよぉ~」
と、キバが、あの精悍な顔からは想像出来ないユルユル口調で応える。
無口なシルバーさんが「ウム!」とだけ返事をするみたいな感じである。
なぜ、本日ミレディさんが迎撃担当かというと、
出発前、もう加護が発動しなくなった経験の指輪をミレディさんに
「つけて。」
と渡したら、
「これが、噂に聞く婚約者に渡す指輪デス…か?」
と盛大な勘違いをし「不束者デスが…」とモジモジだす。
〈誰に教えられたんだか?〉
と頭を抱えてたら。
「女将さん達デスよ?」と…
〈念話スキルのオン・オフわい!?〉
と思いながら彼女を見ると、
ミレディさんは「あちゃー。」みたいな仕草でコツんとゲンコツを頭に乗せる。
ドドル工房の女性陣は要らぬことばかりをミレディさんに吹き込む…
料理をしながら俺の事を「アナタ」と呼び、「お食事にします?それとも…」などと、
まぁ、殺伐としたダンジョン生活の良い気分転換になる茶番劇なのだが…。
まぁ、そんな事がありミレディさんがレベル100以上を目指して奮闘中です。
順調に進み宝箱回収や採掘を済ませ、やって来た五十五階層に久しぶりの「宝箱付きのモンスターハウス」があった。
会議するまでもなく
「行く!」
とゴーレムチームが騒ぐ、
特にミレディさんがヤル気満々だ。
迷路の突き当たりのドアを開けると体育館くらいの広さの空間に一面の砂地がひろがる…
全員が砂場に入ると、入り口が消えた。
どちらか全滅するまで方式が採用されているらしい。
〈厄介な仕様を毎度、毎度…〉
と、呆れていると、
砂の中から無数の腕が!
〈モンスターハウスだけにプレミア演出みたいだなぁ〉
と、馬鹿な事を考えていたら、
全身砂の細身の人?がウジャウジャ出てきた。
鑑定
『サンドマン レベル75』
〈HP 1,800 / MP 700〉
〈目潰し〉〈生き埋め〉〈魔力吸収〉
と、陰湿なスキルだなぁ…
と思っていたら、いきなりサンドマンが物凄い量の砂を投げてきた。
「うわぁー!目、目がぁ!!」
どこかの大佐のようなセリフを叫び、俺が騒いでいると、
「マスター大丈夫デスか?」
とミレディが念話で心配してくる。
「皆は大丈夫か?」
と俺が聞くと、「なにが?」みたいな反応…。
〈そうか眼球システムは俺だけだ。〉
と、納得しながら、久しぶりの水生成で目を洗い、ようやく周りが見えてきた。
ワラワラと集まるサンドマンにミレディが切り込み水龍撃を放つ、直撃したサンドマンはパッシュんとなるり、ついでに周りの奴らは水龍撃の水しぶきで濡れて動きが鈍くなる。
そこをシルバーは踏みつけ、キッド君は弓で狙い打つ、
だが、サンドマンは砂に溶け込みなかなか手こずっている様子。
その最中、キバはウォーターカッターでサンドマンをバッタバッタと切り裂いている。
俺も負けてはいられない。
濾過スキルで、
1メートル・1時間
濾過膜A 「魔石」
濾過膜B 「魔力吸収スキル」「MP」
パッケージ あり
の濾過ポイを作成し、サンドマンに挑む。なぜ魔力吸収スキルのみかというと、要らないでしょ?目潰しと生き埋め。
サンドマンに虫取りの容量で濾過ポイをかぶせるが、パッシュんしない…?
下の砂に溶け込む様だ。
それならと、斧を取り出しサンドマンの足首目掛け片手で斧を振り抜く。
足を切られサラァ~っと砂になり地面に逃げようとする塊を着地前に、もう一方の手の濾過ポイでスマッシュすると、
〈パッシュん〉と乾いた音がなる。
「やった。!」
と喜ぶ俺は、この方法で5匹程倒したが、また目潰しを食らい悶えているところ「生き埋めスキル」で、首まですっぽり埋められて離脱…
ミレディさん達が完全勝利するまで、目も洗えず涙を流していました。
〈役に立たなくてごめんね。〉
埋まってる俺をキバさんとキッド君が掘り掘りしてくれました。
〈はぁ~、情けない…穴が有ったら入りたいよ…。〉
と、落ち込んで居ると、
「マスターは、さっまで入っていたのデス。」
と…
ミレディさん…念話スキル切る気ないよね?
砂まみれで三角座りの俺の肩をシルバーさんが無言でトントンと前足で軽く叩き宝箱へと歩いて行った。
サンキューなシルバーさん…。
「ご主じぃ~ん、箱あけよぉうよぉ。」
と、既にキバが宝箱の周りを回っている。
〈どれどれ、〉と重い腰を上げて宝箱に向かった。
皆が注目する中、
〈鑑定先生!出番です。〉と鑑定をかけると、
『ダンジョンの宝箱』
〈毒ガスの罠〉
〈鍵不要〉
トラップ宝箱でした…
俺が「毒ガスの罠の宝箱だ!」と告げるとミレディさんは、
「そうデスか。」と言って普通に開けた…
「え、えぇ!毒ガスだよ」
と、驚きながらも俺はガスを吸わない様に距離をとる。
…もくもくとガスが立ち込める中、
「はい、ガスデスね。」 (ミレディ)
〈凄い勢いですね。〉 (キッド)
〈緑色だ〉 (シルバー)
〈ひゃはは、プッシュ~。〉 (キバ)
と、それぞれが呑気な反応だった。
〈ゴーレムに毒ガスは効かないのね…。〉
もう、俺自信失くしちゃうよ。
宝箱の中身は「ダンジョンの宝箱の鍵」でした。
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