第44話 新たな試みと新たな仲間
じぃじ師匠に弟子入りしたのですが…
ややこしい事態になっております。
「頼む、アルド、いや師匠!
是非私に刀の製法をお教え下さい。」
〈いやいや、じぃじ師匠、が俺に弟子入りしたらややこしいでしょ?
あと、ドルル叔父さんは、五体投地止めよっか?〉
と困惑しつつ、
「何なの?急に…」
と、質問する俺に、叔父さんが、
「アルド君の刀の切れ味、美しさ、荒削りな作品だったが、素晴らしい逸品だった。
出来れば、自分の技術の全てをかけてあの〈刀〉と云う芸術品を打ってみたい…頼みます。」
と頭を下げる。
そして、じぃじ師匠も、
「ワシも頼むこの通りだぁ」
と…
〈だから、二人して五体投地すなや!〉
とツッコミながらも、
「別にいいですよ。」
と答える俺に、
「そこをなんとか!」
と食い下がる二人…
〈いやいや…人の話しは、ちゃんと聞いてよ…。〉
と呆れて見ていると、
〈はて?〉と考えている二人…
そして、
「えー、今、なんと?」
と、再度聞いてくる。
俺は、ため息まじりに、
「だから、別にいいですけど、ミスリルの加工方法を早く教えて欲しいんですけど…作りたい物があるから…」
と、いうと、じぃじ師匠が、
「アドルは、ナニを作りたいんじゃ?」
と聞くので、
「ゴーレムだよ。
この国のメインダンジョンの宝箱からゴーレムハートって云うゴーレムを作るアイテムを手に入れたから」
と伝えると、
うーん。悩むじぃじ師匠…
〈何かマズい事を言ったかな?〉
と思っていると、叔父さんが、
「アルド君、ミスリル加工の指導とゴーレム作成のお手伝いをまず私が請け負うので、親父に刀の作成方法を授けて欲しい。
親父が刀が打てる様になったら、俺は、アルド君か親父から教わる。これで、時間短縮にならないかな。」
と…
〈なんだよ、ゴーレム作ってたら時間がかかるから悩んでたのかよ…〉
と少し呆れるが、
俺は、了承し前世のテレビで培った「刀」の製法等の知識を記録スキルを使い二人に、
〈ナイショだよ〉と前置きしたうえで、俺の身の上も合わせてすべて伝えた。
この世界の技術や素材の知識はなく、〈あくまでも他の世界の知識〉だから、〈上手くミスティルの技術と混ぜ合わせて欲しい〉と付け加えて…
翌日から、俺と叔父さんはミスリル加工の練習から開始し
じぃじ師匠は自分の工房に籠って刀の制作を始める。
朝がきて離れの工房に叔父さんがやって来て、
「では、アルド君ミスリルの加工をしてみよう
と、言っても手順は、簡単なんだ。」
と言い、叔父さんはバケツに入ったミスリルを渡してきた。
そのバケツの水に浸されたミスリルは粘土のようだった。
「アルド君は魔竹ってしってるかな?」
と、聞いてくる叔父さんに、
俺は、ただ頷き答えた。
「あの魔竹みたいな性質がミスリルにも有る。
魔竹は魔力を流すと固くなるが、ミスリルは魔力を完全に抜くと粘土の様な性質になるんだ。」
えっ、魔力抜くだけならアイテムボックスの中のミスリルゴーレムって、パッケージ外したら、ぐにゃぐにゃになってるのかな?…
と思いつつ、叔父さんの話しが続く、
「このバケツには魔力を対象から抜く液体とミスリルが入っている。
要は、このミスリルを予定の形に成形して魔力を流すだけだ。」
と教えてくれた。
〈あら、簡単だし俺向き〉
叔父さんに、
〈ミスリルの加工は理解したから、ゴーレムの制作を手伝って欲しい〉と告げて、
簡単な図面を見せて叔父さんの意見を聞くと、
叔父さんの意見としてはゴーレムハートを一度試して欲しいだとた。
それもそうなので、二人でミスリルを捏ねて、
小型犬サイズの馬のゴーレムボディーを作り、
魔力を流し硬くした。
パーツごとバラバラな状態から仮組して馬の形にし、
ゴーレムハートに魔力を込めて起動させてみた。
「ボディーを指定してください」
ゴーレムハートから電子音の様な声が流れる。
ミスリルの馬を指定すると、ゴーレムハートから糸状の金属が伸び神経の様にミスリルの馬に潜っていく。
ゴーレムハートごと馬のボディーに溶け込んだとたんに、ミスリルの馬に命が宿った。
「おぉ!」と驚く二人…
俺は、恐る恐る、
「少し走ってみて」と言うと、ミスリルの子馬はパカラッパカラッと走りまわる…
〈成功だ!〉
結果を見て叔父さんは大興奮し、
「もっとゴーレムハートがないか?」
と聞いてくる。
そして、俺はすべてのゴーレムハートを出して、叔父さんと趣味の世界に入って行くのであった…
一旦小型の馬からゴーレムハートを回収して、
叔父さんとパーツを作り続けること二週間…
今、俺の目の前には四体のゴーレムが居る。
ミスリルゴーレム
タイプレディ 女性型のゴーレム
ゴーレムハート (レア)
スキルスロット 8
魔鉱鉄のゴーレム(ミスリルコート)
タイプホース 馬型のゴーレム
ゴーレムハート (コモン)
スキルスロット 4
魔鉱鉄のゴーレム(ミスリルコート)
タイプボーイ 少年型のゴーレム
ゴーレムハート (コモン)
スキルスロット 4
ミスリルゴーレム(オリハルコンの牙)
タイプシェパード 犬型のゴーレム
ゴーレムハート (コモン)
スキルスロット 6
の四体だ
リーダーにあたるタイプレディの指揮下で連携可能
タイプレディは会話にて意思の疎通が可能
他の三体は意思の疎通は可能だか言語による意思の疎通は不可能、タイプレディを介せば会話も可能。
タイプシェパードの牙は叔父さんのこだわりの逸品である。
〈工房のヘソクリ的なオリハルコン製〉
この四体のゴーレムが完成し旅のお供になった。
完成を喜ぶ俺と叔父さんのもとに、
「師匠完成しました。」
と、じぃじ師匠が、走ってきた。
ややこしいから止めて欲しい〈師匠呼び〉をスルーして、
完成した刀を鑑定すると、
「大業物の刀」
「攻撃力 550 スキルスロット6」
「名工 ドドルの作」
〈すごいのが出来たね師匠…〉
流石は名工の実力である。
そして、
現在ドドル工房の裏庭で、会議中であります。
参加者は、
じぃじ師匠ことドドルお爺ちゃんに、
ドルル叔父さんは現在の工房長と、
ミスリルゴーレム〈リーダー〉
・女性型で話せる
ミスリルコート魔鉱鉄ゴーレム
・少年型
ミスリルコート魔鉱鉄ゴーレム
・馬型
ミスリルゴーレム
・シェパード型
そして、俺である。
「マスター、そろそろ止めさせていただきたいのデスが?」
とリーダーの女性型ゴーレムが抗議している…
なぜなら、制作に携われなかったじぃじ師匠が、
ゴーレム達をペタペタしながら
「えぇのぅ。すごいのぅ」
と舐め回すように、いや、もう実際に舐め回してると言っていい勢いでゴーレムを確認している。
俺が、
「じぃちゃん。嫌がってるからその辺にしてあげて。」
と注意すると、
じぃじ師匠はハッとし、
「す、スマン、ワシが刀を作る間に、こんなに面白いモンが出来ていたから…つい…。」
と、素直に止めてくれた。
ゴーレムのリーダーが、
「マスター、感謝いたしマス。」
と、礼を言う。
「良いから気にしないで、」
と言って、俺は、やっと本題に入れる空気になった事にホッとし、
「では、じぃじ師匠と叔父さんに相談というか、質問なんだけど、
付与ってどうやるの?何が付与できるの?」
と、質問する。
それをきいた じぃじ師匠が、
「アルドは、武器鑑定が出来るじゃろ?
あれで見れる空きスロットの数、付与が乗せられる。
鍛治レベル4では切れ味上昇や耐久力上昇等の上昇系
鍛治レベルMAXでは、自分のスキルを武器に移せる様にもなる。
勿論スキルレベルを上げてから付与すれば、それだけ強いスキルが付与できる。
が、ゴーレムはどうなんじゃろ?自分の意思でスキルを使うから付与した後でも育つかも知れんのぅ…スキルが…。」
と言うのだが…
〈うーん解らん…〉
スキルカードにすると強制的にレベル1になるのに
鍛冶スキルでは丸ごと移せるのか…。
と悩んでいると、
「実際見てみるかい。アルド君?」
と、叔父さんは工房にもどり手斧を持って帰ってきた。
「アルド君、武器鑑定してみて。」
と言って、手斧を俺に渡す
俺は、言われるままに、
武器鑑定すると、
「魔鉱鉄の手斧」
「攻撃力 100 スキルスロット 2」
「ドルル作」
と鑑定が済んだ手斧を叔父さんに返す。
受け取った叔父さんが、手斧に金槌を当てながら
「鍛冶スキル内のスキルリストから使いたい物を選び、
鍛治スキル、付与、発動」
と言って、金槌で軽く手斧をコンと叩き、
叔父さんは、手斧を俺に渡して「さぁ 」と促す
「武器鑑定」
「魔鉱鉄の手斧」
「攻撃力 100 スキルスロット なし」
「耐久力上昇」「切れ味上昇 大」
「ドルル作」
と、成っていた。
俺は、叔父さんに、
「使った付与は鍛治スキルから無くなるんですか?」
と聞いてみると、
「クールタイムが過ぎれば、また使えるよ。」
と、教えてくれた。
「ふーん。」と納得していると、
「次はワシが。」
と言ってじぃじ師匠が、力作の大業物の刀を持って来て、
刀に金槌を当てて、
「鍛冶スキル、付与、風属性攻撃レベルMAX、発動」
と言って、金槌で刀をコンと叩く…
じぃじ師匠は満足そうに試し切りの竹に向かって移動し、
「見とれよぉ。いくぞぉ~」
と遠くから大声で試し切りの宣言をする。
刀を抜き上段に構え魔力を刀に流し…
斬る!
すると、〈バシュン!〉と、突風が爆ぜ、
綺麗に斬られた竹が吹っ飛ぶ。
職員さん達が何事か?と集まり、
「がっはっはっは!!」
と満足そうに笑うじぃじ師匠を見て、
〈なーんだ。〉
と、興味を失い工房に帰って行った。
じぃじ師匠が、
「まぁ。ざっとこんなもんじゃ。」
と満足そうである…
俺は、じぃじ師匠と叔父さんに
「まだ、付与が出来ないけど、ゴーレム達に与えたスキルが育つか実験したいんだ、手伝ってくれない?」
とお願いして、二人共に了承してくれたが、
「マスター。わがままを言ってしまいますが、私はマスターから付与をして欲しいデス。」
と女性ゴーレムが〈待った〉をかけた…
しかも、
子供ゴーレムと、馬ゴーレムも〈コクン〉と頷く。
犬だけは〈早く〉とばかりに尻尾を振っている…
「マスター、この者は早く強くなってマスターの役に立ちたいそうデス。」
と通訳してくれる女性ゴーレムの言葉に、
俺は、「そうか、そうか。」と犬ゴーレムの頭を撫でると、
犬は相変わらず嬉しそう…
俺は、じぃじ師匠にアイテムボックスからスキルカードをだして、
「使って。」
とじぃじ師匠にお願いすると、何の躊躇いもなくバキッと割ってスキルを獲得する。
そして、
「おぉ、すごいのぅ、麻痺噛みつき とはもってこいのスキルカードが有ったもんだな。」
と感心するじぃじ師匠に、
俺は、〈他にどんなスキルが良いか?〉と尋ねたら、
「クールタイムが一ヶ月だが、自動修復が有る、それも付与してやろう」
と、じぃじ師匠が答えてくれて、早速付与してくれた。
「名前をつけてあげるといい。」
と叔父さんが勧めるので
「キバ」と、名付けると、
キバは嬉しそうにしているが、
あとの三者は少し羨ましそうにしていた。
〈麻痺噛みつき〉〈自動修復〉を付与してくれたじぃじ師匠に、
「ありがとう。じぃじ師匠。」
と礼を述べると、
ウンウンと満足そうなじぃじ師匠に俺は、
「キバと狩りに行ってくる!」
と告げて、三者にはアイテムボックスに入って貰った。
ゴーレムは魔物でもあるが命のないアーティファクト扱いでアイテムボックスに入れられる。
「よし、キバのスキルレベルが上がるか実験だ。」
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