第42話 ダンジョンでの出逢い

〈20階層から一度地上に戻ろうか?〉


とも考えたが、特に地上に用もないし、

おじいちゃんに鉱石を持って帰りたいから先に進むことにした。


階段を下り、21階層に入るとそこは、

洞窟タイプのフロアだった。


〈久々に暗いな…〉


と呟きながらサーチを行う…


宝箱が一つあるだけで敵もまばらなダンジョンっぽいダンジョンの様だ。


久しぶりにアイテムボックスから、

「魔石式 ヘッドライト ヒカル君」を取り出して装着してから、


前にシルフィ商会で鑑定したことがある鉱石類の記録を使い、この階層の鉱石のサーチを行う。


「鉄」・「魔鉱」・「銀」・「金」


〈結構あるのね…〉と、確認しながら、


〈もしかして!〉と、宝石類のサーチもしてみる。


「魔水晶」・「ガーネット」


あっ、あった。

サブマップにある点を目指して移動し、

アイテムボックスから、ツルハシやスコップ、袋数枚を取り出し

「ピットホール」で幅2メートル、深さ2メートルの穴を開ける。


その上に穴を塞ぐ大きさで、一時間の設定で、


濾過膜A 指定枠 1 「鉄」

濾過膜B 指定枠 2 「鉱物」 「鉱石」


パッケージ なし


の濾過ポイを発動してのせる。


鶴橋でサーチで指定された場所を砕き、スコップで濾過ポイの上に砕いた土をのせるを繰り返す。


濾過膜Aの上に純度の高い鉄が残りそれを袋に入れてアイテムボックスへ、


同じく濾過膜Bの鉱物類はそのままアイテムボックスへ入れて後で、品目毎に取り出してまとめることにした。


この流れを繰り返す。


たまに出会うアリの魔物を倒しながら採掘を行う。


ちなみに、このフロアの宝箱は魔鉱のインゴットだった。


一通り回れば次の階層へと移動するのを繰り返し25階層と26階層のセーフティエリアで、このダンジョンで、このダンジョンで、はじめての他の冒険者に出会った。


そっと近付き、


「はじめまして、お一人ですか?」


と、当たり障りのない会話を切り出す俺。


「それを言いたいのは俺だよ。坊主はひとりか?」


ニカッと笑う無精髭ドワーフのお兄さん。


俺は、フレンドリーそうな反応に〈ホッ〉としながら


「はい、色々ありまして、メインダンジョンに挑戦中です。」


と答えると、


「くくくっ、色々ってどんな理由だよ。」


笑うドワーフねお兄さんに、


「まぁ、お使いの途中で鉱石を掘っています。」


と答える俺の話しを聞き、


「おっ。奇遇だね俺もミスリル掘ってる最中だ。」


と楽しそうに答える。


「坊主は、何の鉱石を探しているんだ!」


と、聞いて来たので、


「お爺ちゃんが鍛治師で、僕の装備を作ってくれるから、お使い途中で、いろんなのを掘ってるんだ。」


と、教えてあげると、

「ほぉ~」っと感心しているお兄さんに、


「お兄さんは?僕はアルドだよ。」


自己紹介するとお兄さんは、


「俺は、タンパだ。


急にチョイと金が要ることになってな…今、例の神託でミスリルやオリハルコンが不足で高いんだ。


サブダンジョは競争相手が多いからこっちに来てるんけどなかなか目標額まで遠くて…。」


と言っているお兄さんの話を聞いて思い付く俺は、


「急に幾らぐらい要ることに成ったんですか?」


と聞くと、お兄さんは深いため息をつきながら、


「大金貨七枚だ」と…


〈あぁ、あるな、そのくらいなら。〉


と、頭の中にあるリストの中の〈大金貨〉の項目を確認した後で、


俺は、


「ねぇねぇお兄さん、今、珍しい鉱石どのくらいあるの」


との子供の素朴な質問に、


「そうだなミスリルが10キロとアダマンタイトが1キロそれとオリハルコンが300グラムくらいだな。

まだ金貨七枚にはちょっと届かないな…」


と答えるドワーフのお兄さん…


〈中々の量だな…よし売ってもらおう。〉


「タンパさん。その鉱石僕に売ってくれない?これで。」


と、大金貨10枚を渡す。


驚くタンパお兄さんは、


「アルドは、B級冒険者なのに計算が苦手か?

多分鉱石で未加工なら大金貨五枚くらいだぞ。

多すぎる。」


と、心配してくるタンパさん


俺は、


「タンパさんお金急いで稼がなきゃダメなんでしょ?

僕は、シルフィー商会って大きな商会でお手伝いしてお金はあるんだ、今は僕の装備を強くしなければダメだから、急いで鉱石が欲しいんだ…


だからかそれが正規の値段です。」


という俺の言葉を聞いて、


「助かる、これで妹の花嫁道具が揃えてやれる。

すまない恩に着る。」


と、タンパさんは鉱石を俺に渡し、ダンジョンを引き返すようだ。


「アルド君、全部が済んだら足りない分を渡しにいく。

何処に行けばいい?」


と聞くタンパ兄さん…


〈別にいいのに、律儀だな。〉


と思いながら、


「あの鉱石で充分だよ。


でも、なにか用事があれば、ドワーフの国ならドドル工房にい行って、お爺ちゃんの工房だから。」


と、俺が伝えると、


タンパさんは目を丸くさせ、


「えっ?親っさんの孫?」


驚いている…


「うん、そうだよ。お爺ちゃんの娘のルルドママの子供だよ」


と、改めて俺が告げると、


「えぇぇぇぇぇっ!

ルルドの姐さんの息子さん!」


と更に驚くタンパさん…


〈あぁ、この人ママさんの子分だ…きっと。〉


すると、いそいそとテントを張り直しているタンパさん…


「帰るんじゃ?」


と、聞く俺にタンパさんは、


「姐さんの息子さんをダンジョンに残して帰れません!


一緒に30階層に行きましょう。


俺、そこそこ強いっすからほっといて大丈夫っすから。」


と、子供相手に子分の血が騒いでいるご様子…


〈まぁいいか、隠し通路とか行かなければ…〉



そして、


セーフティエリアで寝て、次の日、


タンパさんと二人で26階層に入るとそこは岩肌の洞窟。


昨日と同じ手順でまわるが、二人がかりでスピードは倍!


サーチと濾過ポイで宝石と金属鉱石に別けてアイテムボックスに入れていく…


「アルド君のスキルは凄いっすね。

アイテムボックスって、いったいどれくらい入るんすか?」


と、質問にされたので、


俺は正直に、


「えっ?無限だよ。」


と答えると、


「えっ!だったら、掘った分全部入るんすか?」


と驚くタンパさんに、作業をしながら、


「そうだよ。」


と答える…感心しながらタンパさんが、


「さすが、姐さんの息子さんだ…」


と、呟く。


〈何がだよ?!

ママさんどんな感じで舎弟を教育したの?〉


そんな会話をしなから採掘ポイントをめぐり、

ついに三十階層についた。


「タンパさんに後ろでコレ持って見てて。」


と俺は、鋼の盾を渡してタンパさんを下がらす。


さて、ボス戦に挑むのだが、


ボス部屋の真ん中に鉱物の塊があるだけだ…


鑑定すると、


「ミスリルゴーレム レベル 80」

「熱光線」・「魔力吸収」・「メガトンパンチ」


「ゴーレムハート〈レア〉に魔力を満たした者の指示に従う。」


〈おぉ、ミスリルの塊だ、なんとか パッシュん しないで捕獲したいな。

ゴーレムハートとやらに魔力を貯めたヤツの命令でここにいるなら、魔力を抜くか?。


んで、ゴーレムハートを分離して、ミスリルはパッケージしたら、まるごとゲット出来ないかな?〉


と考えて、


「ピットホール 」


と唱えて、幅三メートル 深さ三メートルの穴を空けて、


続いて、


濾過


直径三メートル 具現化時間1時間


濾過膜A 指定枠 1 「魔力」


濾過膜B 指定枠 2 「ミスリル」 「HP」


パッケージ あり


を、発動し穴にのせる。


そして


「アースウォール」「アースウォール」「アースウォール」…


と連発し、壁で動線を穴に向ける。


MPカードを数枚使用し回復してからミスリルゴーレムに挑む。


ウォーターカッターを放ちミスリルゴーレムの注意を俺に向かわせると、


起動して、戦闘モードで一直線に突っ込んでくるミスリルゴーレム。


〈多分メガトンパンチ狙いだな。〉


と少し安心する俺…


〈ガシン、ガシン〉と迫りくるミスリルゴーレムに、


〈有難い熱光線ならヤバかった。〉


そう思いながら見つめていたら、落とし穴にゆっくりと落ちて行くミスリルゴーレムは、


濾過膜Aに濾しとられた魔力がキラキラと霧散し、


穴の確認に向かい濾過ポイを消すと、ミスリルゴーレムが見事にパッケージされていた。


〈やった!〉


と喜びながら、アイテムボックスにミスリルゴーレムをしまい、穴の底に降りる。


穴の底にハート型の宝石の様な物が落ちていた。


鑑定すると、


「ゴーレムハート 魔力を満たした者の指示に従う

魔力を満たした後に身体を与えれば活動可能」


と出た。


コレもアイテムボックスに入れて、


アースウォールで足場を作り穴の底から出ると、


「終わったっすかぁ~?

もう、動いて大丈夫すよねぇ~?」


と、遠くからきこえた。


「終りました。


帰りますよぉ~。」


と答え、タンパさんと、一度地上に戻る事にした。


転移陣の部屋にあった宝箱には


「ゴーレムハート (コモン) 」が三つ入っていたが、こんなに有っても使い方がよく解らない…


鑑定先生に聞いたら、


「ゴーレムハート レベル50」× 3

「ゴーレムの核となるアーティファクト」

「魔力を満たした者に従う」

「体は近くの物を取り込み最適化する」


尚更解らん。


タンパさんに「いる?」と聞くと、


「いらないっす。」


と答えたので、もらっておく事にした。



〈さぁ、町にもどろう〉

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