第38話 里帰りと決意

懐かしい山並みが見えて来た…


この丘を越えれば、木の壁で覆われた小さな村が…。


有りません…


知らないデッカイ砦が有ります。


何故ですか?ブライトネル様、

こんなにお金渡してないのでは?


壁の前には堀が張り巡らしてあり、頑丈な作りの壁には狭間が開けてあり、完璧に戦う用の砦である。


道なりに進み、入り口の門で止まる…


すると、


「果ての村にご用ですかぁ~?」


と声がする…〈村で良いみたいだけど…〉


と不安に思いながらも、


俺が、


「アルドです。里帰りしてきましたぁ!」


大声て告げると、


「お帰りぃ~。今開けるねぇ~。」


と、返事が有った。


〈あっ、ターニャママだ…多分〉


と思っていると、


ゴゴゴゴと門が動きだし、


片方の扉が開きターニャママが手を振っている。


「ゆっくり進んでねぇ~。」


と指示をうけ、


ポチとタマは、パカポコと門をくぐる。


「お帰り、ビックリしたわよ」


と話すターニャママに、


「監督、ビックリしたのはこっちです。」


と、俺は素直な感想を伝えるが、


「なんで?」


と、ターニャママは不思議そうに小さく首を傾げる。


「変わり過ぎでしょ、何処の砦かと思いました。」


とツッコむが、


「えー?でも、作ったのアルド君でしょ?」


と、ターニャママからビックリ発言が…


〈えっ?!〉


「確かに、ブライトネル辺境伯様にお願いしましたけど、

こんなになる程のお金は預けてないですよ?」


という俺に、


ターニャママは、


「うーん、村長さんが完成式で、アルド君のアイデア料?の一部で建てたって言ってたわよ…」


と、語った。


〈なんですと?〉


漠然と理解して、


「そ、そうなんですね。」


と、言ってはみたものの、解らない点がまだある…


「ターニャママは、何故門番を?」


と質問すると、


「隣組の当番日だからよぉ。」


〈隣組って…なに?〉


かなりの情報量にお腹いっぱいに成っていると、


「アルド君、早く家にかえってあげなさい。」


と、ターニャママは、ポチとタマの頭を撫でて

首の所をポンポンと叩き、


「ご苦労様、もう少しだからね。」


と、馬を労ってくれている。


俺は、〈それもそうか。〉と無理やり納得し、


「では、後で」


と、村の広場を抜けて、自宅へ向かう。



変わった…変わって無い所を探すのが難しい…


我が家の ウォール何か が…。綺麗な石積になっていた。


穴堀り訓練をした広場にポチとタマを繋ぎ馬車をアイテムボックスにしまう。


ウォール何か をくぐり抜け、自宅へ…


「ただいまもどりました。」


と玄関の前で声をかける。


「アルドだ!ママは座ってて。

はーい、おえりー」


と、パパさんの声がするが、慌ているのか?

ガチャン!ゴトン!と聞こえる


「パパ気をつけて。」


ママさんの声もした。


「痛ててっ、今開けるよ。」


と、壁際からパパさんの声がし、


ガチャっと戸が開く。


そして、


優しい笑顔が出迎えてくれた。

待ちきれないママさんもゆっくりと玄関に向かって来ていた。


「お帰りアルド。」


二人が玄関にそろって出迎えてくれて、


「ただいまもどりました。」


と、震える声で応えるのがやっだった。


そして、三人…いや四人は家族が揃った事の喜びを分かち合った。




家に入り、お互いに話す事だらけ…

家族全員時間を忘れて話をした。


ママさんは途中で休んでもらい、

パパさんとは朝方まで話をしていた。


とくに、フルポーションを見せて、パパさんの凄さが解ったと言うと、パパさんは涙を流し


「まだ、フルポーションは作った事がない」


と言っていたので、

アイテムボックスから、

薬用溶媒液と薬効成分(以前の茶筒入り)

を取り出し、

パパさんに配分を教える。

ビーカーに薬効成分溶液をつくり、魔力を流すパパさん

鑑定を使いながら、パパさんに仕上がりのタイミングをおしえる。

鑑定が「フルポーション」の完成を告げる。


俺の、


「かんせい。」


との声を聞きパパさんが魔力を止める。


出来ったフルポーションを眺めながら、満足そうなパパさん…ここで二人は、


「寝よっかそれそろ。」


と言ってベットに向かった。


あの時のままの俺のベットは少し小さく感じた。



ー 翌日 ー


実家で四年ぶりの朝、


明け方まで話をしていてまだ眠い…


今日は挨拶回りをしながら村を巡る予定だ。


まずは、お隣のロルフ先生から、


俺が、


「先生、お久しぶりです。」


玄関先から声をかけると、


ガシャン!ドタドタ


との破壊音とロルフ先生の声と懐かしい顔が見えた。


「アルドか?本当にアルドか?


でかく成りやがって、よがづだぁ~ばぁ~。」


号泣である。

実は、俺も泣いている…


そして俺は、村を出て初めての森での採集で、普通は遭遇しないレベル40のレッドベアーに出会い、

先生直伝の落とし穴で、辛くも勝利した事と、


先生がこっそり使ってくれたファイアリザードの皮おかげで死なずに済んだことを報告した。


ロルフ先生は真っ青な顔で、


「大丈夫だったか?傷残ってないか?」


と、肩や背中をパンパン確かめながら、


「皮鎧はお前の身代わりになったか?」


と、寂しそうに聞くロルフ先生に、


「今は、シルフィー商会本店のロビーに弟子を守った最高の皮鎧として飾られている」


と告げると、少し照れていた。


そして、俺から先生にプレゼントを渡す

「身体強化」・「隠密」のスキルカードだ。


先生はスキルカードを実際に見るのは初めてらしく

凄く恐る恐るカードを割っていた。


ステータスカードを見て本当にスキルが増えていてジャンプしながら喜んでくれた。


俺も嬉しくなり、ついでに「跳躍」もあげたら、

喜びのジャンプが1.5倍くらいになっていた。



つぎはターニャちゃん一家に挨拶

ターニャママのおかげで、落とし穴で大金星をあげたことを報告した。

ランドコッコの卵を使ったブリンを


「領都で流行っているランドコッコの卵を使ったおやつです。」


と、言って渡した。


すると、街に出たターニャちゃんから手紙で存在は知っていたとのことて、食べてみたかったと喜ばれた。


ちなみに、ターニャちゃんは、

領都の洋服店に見習いとして働いているそうです。


ターニャパパとターニャママそれにランドコッコ達に別れをつげて、村長の家に行くが、


村長宅が全部要塞みたいになっていた。


集会場の隣に教会も入っている馬鹿デカい要塞…


元の面影がない


中に入り集会場で、トンプソンさんに挨拶をして、フリューゲル様に会いたいと告げると、少し待つ事になり、

先にバゼル神父とステラお姉さんに会いに教会へ向かった。


ステラお姉さんは、コーバの街に大司教様のお使いで来たことがあるが、バゼル神父は村を出たとき以来、久しぶりである。


ステラお姉さんに、リーダお姉様とお揃いのお土産を渡す。


グリモアをだして、魔法を授けるのだ。


バゼル神父も欲しそうなので、


「悪さに使っちゃ駄目ですよ。」


と、釘を刺して渡す…


バセル神父は、


「アルド君が神に成った…」


と感激しながら祈り始める。


少し楽しくなって、


試しに跳躍を二枚目渡してバゼル神父に使ってもらった。


確認したら「跳躍 LV 2」


だったらしい…


〈なんと!〉


新発見ダブりはレベルアップするんだね。



そんな事をしていたら、フリューゲル様がやってきた。


挨拶を済ませ、これまでの流れやこれからの予定を話していると、


何故か途中で、


「私だけ、家族ではないのだな…」


と、ボソッと言って、あからさまに凹むフリューゲル様…


〈あぁ、トネルお兄様やリーダお姉様みたいなのが羨ましいんだね。〉


と、理解し、


「フリューゲル様は、世界で唯一

私の〈 家族 〉 を任せられる村長さんですよ。」


と、言ってあげたら機嫌が直り、


「今度姉上に自慢してやろう!」


と、ご機嫌だった。


それから、


フリューゲル様から、村のことを教えてもらった。


ブライトネル様が、俺からの依頼で、外壁を建て始めると、


完成を目前にして、シルフィー師匠の商会から、

俺の〈アイデア料の資金〉が投入され、


堀や水路に道の舗装、最後には村人が緊急時に集まり過ごせる様に館を要塞に建て替えたらしい。


そして、


ボウガンなどの武器を揃え

村の皆もいざと云う時に備えているそうだ。


魔物の大行進スタンピードでも凌いでみせるぞ。」


とフリューゲル様は笑っていた。




もう、村の心配はなくなった。

安心して旅に出られる…


よし!ダンジョン踏破を始めるか!!


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