第30話 連続なキツい

露出狂を成敗した、アルドです。


「チカン、アカン!」


と、云う事で、帰って来ました


地上ですが…


ビックリしました。


地上側の転移陣はギルドの施設内に有るんだね。


転移陣の周りに建物を建てたんだろうか?


と、キョロキョロ見ていると、


「おめでとうございます。」


と、いきなりのギルド職員さんの声に驚く。


「のわぁ!」


と仰け反る俺を見て、


「ふふふぅ。」


と、笑ってしまった職員さんだが、パッと真面目な顔をして、


「失礼しました。


初めてこちらの転移陣をお使いに成られたかたは、大概はあのような反応でして…


転移陣の窓口を任されております。


ヒナ と申します。」


と、自己紹介があった。


「別に怒ってないから謝罪は不要です。


ヒナさんですね。


はじめまして、アルドです。

!もうすぐ7歳だ忘れてた。」


このタイミングで、誕生日間近なのを思い出した俺


「ぷっ。」


と、ヒナさんが吹き出しながら、


「度々すみません


アルド くん? でかまいませんか?」


と、聞くので、


頷き「いいですよ。」と答えると、


ヒナさんは、資料を出しながら、


「有り難う。


ところで、アルド君のような子供が転移陣から戻るのもビックリだけど、


もしかして、アルド君 5階層で他のパーティー助けてない?」


と、聞いてくる。


〈ん?あぁ。居たな…〉


と、思い出しながら、


「地上に戻られたのですね。


よかった、イチャコラペアが無事で。」


という俺に、


ヒナさんは、


「ぶっ!


アルド君、笑わせないでください!」


と、言われた。


〈え!?、言いがかりだよ…〉


と、少し膨れた俺は、


「ヒナさんが勝手に笑ったたけでしょ?


実は、ヒナさんも心の中で、同じあだ名で呼んでない?」


と、カマをかけると、


ビックリするヒナさん、キョロキョロと辺りを確認して、


「実は、宿屋で職員も寝起きしてるので、隣から…」


と、赤くなるヒナさん…


「心中お察しします。」


とだけ伝えておいた。


「アルド君って、大人ッポイと言うか、オジサンぽいね。」


と笑うヒナさん…


〈鋭い!〉


と心の中で誉めつつ、


「良く言われます。


こちらの窓口では何を?」


と、本題に戻す俺に、


慌てるヒナさんは、


「忘れておりました。


お手数ですが、踏破階層の報告と、ボスのドロップアイテムの確認をさせて頂きます。

無事に終わりましたら最後にサインをいただきます。


次回より地下への転移陣利用の際、確認をスムーズに行うためにご協力お願いします。」


と、お仕事モードに戻ったヒナさんに、


「了解しました。」


と言って、豚肉や真っ赤なマントをカウンターに置く俺…


「あのぅ。魔石は?」


ドロップアイテムを確認しながら質問してくるヒナさんに、


俺は、


「どっちのボール大の魔石が露出狂の魔石か忘れたから二つ共どうぞ。」


と魔石を袋ごとジャラリと置いた。


てきぱきと仕事をこなすヒナさんが、


「確認させて頂きます。」


袋から魔石を二つ取り出し、虫眼鏡で確認しだす名探偵 ヒナさんは、しばらく観察すると、


「確かに、右側の魔石は、


10階層のボス 通称 赤の露出卿 の物ですが…」


〈あっ、そっちの 卿 なのね。〉


と、納得する俺を他所に、


まだ名探偵 ヒナ の推理は続いている。


「アルド君、もしかして5階層のレア魔物のボムトレントから逃げきったんじゃなくて、討伐しました?」


と…


〈え?駄目だった…のか…〉


と、少し焦りながら


「すみません、倒したら駄目な魔物でしたか?」


恐る恐る聞く俺に、


ヒナさんは驚くスピードで席を立ち奥へ、


「支店長ぉ~」


と、誰かを呼びにいった。


面倒臭い匂いがしてきた。


絶対なんかのイベントだよね…


そして、


ヒナさんに連れられて登場したのは、


ザ・職員! みたいな鍔の短いサンバイザーをしたシャツの腕にアームカバーを着けた吊りズボンの中年だった。


「支店長、こちらがアルド君です。」


とヒナさんに紹介されて、俺を見る〈ザ・職員さん〉が、下がった小さい眼鏡をクイっとあげて、


「アサダの初級ダンジョン支店を任されております。


ジム と申します。以後お見知りおきを…」


という。


〈事務…、ではなく ジム? ギルド支店長ですか?マスターではなくて?〉


などと考えていると、


「アルド君には、冒険者から報告があり討伐依頼が出されていたボムトレントの討伐の達成


それと、助けられた冒険者の報告から緊急救援クエストの達成を認めます。」


と言われたが、


「?はぁ。」と生返事を返すのがやっとだった。


ジムさんは、


「ピント来ていないね。


おめでとうございます。

C級に昇格出来ますよ。」


と言われたが、


更に支店長の言葉にハテナがいっぱいになる俺を見かねたヒナさんが、


「アルド君は、10階層のボス討伐と、半日前に出された


ボムトレントの討伐依頼、それに、


緊急救援クエストが助けられた冒険者から出ております。


使ってくれたポーションで死ななかったので、


お礼の意味も込めて多額の依頼料で承認されておりました。


なので…」


と言ってニコっとするヒナさんは、続けて、


「全部達成で、昇格条件が満たされました。


おめでとうございます。」


と伝えてくれた。


〈えっやったの?やったんだ。〉


「ヤッター!」


と、喜んでいる俺に、ジム支店長が済まなそうに、


「で…、アルド君に相談なのだが…


支店にそんなに金がない…


討伐依頼が承認されたらアサダの本店からお金が届くシステムなんだよ。


だから、これらの依頼は正確には今、仮承認の案件なので、この支店ではどうにもできない。


そして、


仮達成では正式にC級には昇格出来ないのです…


どちらにせよアサダ本店に行かなくてならない。


ここまでは大丈夫?」


〈コクリ〉と頷く俺に、


「さて、現在、支店職員をアサダ本店に報告に走らせているので、これ以上職員をさけない


だから…わかるね。」


と言った支店長の言葉で…


面倒臭いが、理解した。


つまり、「依頼達成報告と依頼料は自分でアサダまで行ってください。


C級昇格は、依頼達成が確認されたあとなので、合わせてあっちでヨロシクと…という話しですね。」


と、俺がいうと、


ジム支店長は、


「本当に、さっきヒナさんが言ってた通り、とても子供と話しているとは思えないな。

見た目が小さいから、妖精族の大人と言われたほうが納得しそうだよ。」


と、驚きながら語る ジム支店長…


〈妖精族 いるんだ。さすがファンタジー世界〉


と驚きながらも、


「了解しました。」


と答えるて、


〈宿で休んで、明日は、馬車移動かぁ…〉


と、へこんでいる俺に、


ジム支店長が、


「では、丁度定期便の馬車が居るから、今から出て貰う。」


と告げる。



〈えぇぇぇぇぇぇっ!〉


馬車、ダンジョン、馬車…


連続はキツいって…。

  • Twitterで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る