第29話 〈モゲろ〉とは、こういう事

皆さんお元気ですか?

今、ダンジョンの中でテントを設置している、

アルドです。



ここは5階層から6階層の中間地点にあるセーフティーエリアで、


現在テントが俺のを含め5箇所あります。


初心者ダンジョンなだけあり、フレッシュな若者が、あっちでキャッキャ、こっちでウフフと…


ソロの俺に見せつけるように、


イチャコライチャコラしながらキャンプを楽しんでいる。


〈爆発しろ!そして、下痢と花粉症を併発しろ!〉


アイテムボックスの中から薪を出して、〈着火〉で火を起こし、

パンにボアベーコンとランドコッコの目玉焼きをのせ、塩と辛みのあるハーブをのせる。


フレッシュミルクを小鍋で沸かして、予め濃いめに作っていた紅茶をそそぎ、砂糖を加え沸かしていく。


すると、


いい香りが立ち込める…

あぁ、アイテムボックス様々だな。


「いただきます。」


ダンジョン内でアツアツな物を食べる幸せ。


今まで俺に指をくわえて見させた分、

周りのイチャイチャ冒険者よ

いい香りの食事を指をくわえてみてるがいい!


シッカリ食べて満腹だし、

小さな仕返しも出来たので満足だ。


さて、片付けを済ませ、


テントの中で、


〈本日の成果発表ぉ!!〉


と、ドロップアイテムの確認をする。


魔石各種ゴロゴロと、ゴブエモンの剣と、四階層の犬の牙

以上


「ステータスカード」からのぉ~

鑑定!


レベルは1あがって39になってステータスがちょびっと上がってるのと、


ウェポンスキルの

剣スキル LV 1 剣装備時に腕力と速さ微上昇


〈技 旋風斬 〉 魔力を使い 速さ1.5倍 横複数に攻撃 クールタイム5分


おお凄い、複数攻撃だ。


それと、


素手 LV-

〈 技 もぎ取り〉 腕力2 倍 相手の体の一部を引きちぎる ※急所部位は腕力3倍のクリティカル補正


なんじゃこりゃ?

レベルは無いのね。


〈誰かにモゲロ!ではなく武力行使でモギルの?〉


剣スキルと変なスキルが生えてた…


などと、一人で盛り上がり、


ゆっくり寝て、セーフティゾーンから出発したのは俺が最後だった。


眠れない理由がそこかしこにあり、

違った理由で盛り上がる周囲に俺は、


〈爆裂魔法のスキルが生えるのでは?〉


と思った程だった。


まぁ、年頃の男女パーティーなんてそんなもんよ。


?あれ男1 女2 も居たような?


〈…ちくせう!〉


この気持ちは魔物にぶつけよう。



そして、やって来た6階層…


ここからは数種類の魔物が複数体や複合でエンカウントするらしい。


早速、俺は、狼型の魔物5体に囲まれる。


〈試してみるか…〉


と、剣を装備して、初めての技スキルを狼の群に向かいくりだす。


「旋風斬!」


と、横凪に振り抜くと、 バシュん、パシュん、パッシュんと、一度に三匹倒し、


魔石3と 毛皮1 がドロップする。


気のせいかな俺の魔石以外のドロップ率

糞ってない?


運か?また運なのか?


と、悪態をつきながら、残りも倒して階段へ向かい、下の階層へと降りる。


すると、

下の階層から戦闘音に爆発音…

そして悲鳴が聞こえ、


俺は、声の聞こえた方へと駆けつけると、


木の魔物がイチャコラ冒険者♀ に襲いかかっていた。


鑑定すると、


「ボムトレント レベル25 」

「HP 190 / MP 100」

「爆発魔法 ・ 擬態 ・ 火耐性」


と、結果が出た。


〈何発か魔法を使ってまだMPあるなぁ。

木なのに燃えにくいんだ…〉


と、感心している場合ではない。


俺は、ボムトレントにナイフを投げて注意をそらせる。


俺に向けて攻撃を開始した〈ボムトレント〉、


〈よし、ヘイトは俺に移ったな。〉


と思いながらも、


よく見るとボムトレントの近くの地面にイチャコラ♂が倒れている。


イチャコラ♂ は、爆発魔法にやられ動けない状態で、イチャコラ♀は♂を庇って守ろうとしているた為に動けない様子だった。


俺は、アイテムボックスからハイポーションを念のため二本取り出して投げる。


「それを使って、逃げろ!」


と、叫び、ボムトレントを引き連れて二人から離れようと試みる。


♀は俺に向かい頷き♂にハイポーションを飲ませる。


〈これで大丈夫だろう…〉


しかし、


〈爆発しろ〉とは言いましたが、ここまでしろとは言ってない!


俺、悪くないよね?



二人を逃がして、ボムトレントに向き合う。


アイテムボックスを使い武器を斧に持ち替えて、


いざ、燃えにくい木に挑む…


〈新しく買った片手斧の試し切りだ!〉


と、気合いを入れた瞬間、俺の近くの地面が弾けとぶ…


「あっぶねぇ…」


魔法が厄介だ、魔法一発でMPが何ポイント減るかで今後が決まるな…


ヤツの魔法を注意しつつ、


必死で駆け寄り、ボムトレントの足を狙い切りかかる。


ガンっ


「硬ってぇ!」


手に響く衝撃で、思わず声が出た。


俺の一撃は、あまりダメージを与えられず、ボムトレントは俺を狙い、こちらに向けて魔法を放つ。


手というか、枝を伸ばした先で爆発が起こるのが解ったので、枝さえ気にしていればなんとかなる。


鑑定を再び掛けると、MPが30減って70になっていた。


二発撃って30…一発15…


おいおい、あと、四発は来るのかよ!


斧の技スキルの薪割り撃しかないのか?


考えろ!


逃げながらステータスカードの文面を思い出す。


ヤツの枝か差した場所の地面が弾け飛び、俺を追い詰める…


逃げながらも、斧の技スキル?斧の欄に書いて有っただけの技?


どっちだ?


と、考えながら逃げる。


そして、


〈閃いた!閃いてしまった。〉


俺は、閃いたアイデアのウラ取りをする為に、


俺は斧を持ったままトレントに向かい、


斧を握りしめ、技名を叫ぶ。


「旋風斬!!」


斧がうっすら光り、


トレントの足が複数箇所うっすら切れた…


〈やっぱりだ、武器が違っても技は共通で出せる!〉


と、活路が見えたが、


機動力の少し落ちたトレントが自棄になり残りの爆発魔法を惜しみ無く繰り出す。



連続の爆発を必死で避けたが足に一撃食らってしまう…


「痛っっっ、ちくしょう…」


と悪態をつくが、


しかし、


俺は勝利を確信した。


アイテムボックスからハイポーションを出して飲みながら、


アイテムボックスに斧をしまい、鉈を出して装備する。


俺は思い出したのだ。


単品の斧スキルは、斧装備時 腕力 微上昇だか、


複合スキルの罠師の心は 鉈装備時 腕力 上昇だ!


俺は、ボムトレントに向かいジャンプして、


「薪割り撃っ!」


と叫び、鉈で相手の上段から真っ直ぐに切り下ろす。


〈バリバリバリっ〉と、


ほのかに光る鉈はトレントを真っ二つに切り裂いた。


すると、ボムトレントは、


パシュん


と音を発てて、


ゴロン!


丸太と、ボール大の魔石がでてきた。


ピロリン

ピロリン

ピロリン


「ふぃ~、終わった…3つか…何だろう?」


と、独り言を言ってから、


イチャコラペアを探すが居ない…


〈無事に逃げれたよね?〉


と、思うが、心配していても仕方ない…


〈先を急ごう〉


俺は、マップスキルを頼りに道に迷わずに進む。


そして、


数階層進んだ時に気が付く…


〈順調だ、むしろ上の階層のボムトレントのほうが手強かった。〉


手ごたえが、無さすぎる程だ。


もしかしたらアイツはレア個体だったのかもしれない…


〈帰ってからギルドで聞こう。〉


と決めた時には〈新人の壁〉と言われている、

10階層のボス部屋にたどり着いていた。



深呼吸をしてから、大きな扉を開ける。


広い体育館くらいの空洞の真ん中に


赤いマントだけを羽織ったオークがいる。


鑑定

「オークエリート レベル20 」

「HP 200 / MP 60 」

「ハンマースキル ・ 技 ぶん回し 」


やっぱり弱い


ボムトレント以下だ、

HPくらいかな?強いのは…


素っ裸マントだし、


〈急所丸出しだよ?〉


と考えていると、ボス部屋の扉が勝手に閉まる。

勝つか負けるまで出られないらしい。


〈嫌なルールだな…〉


と少し嫌気が差す俺に、お構いなしで、


ハンマーを担いだ露出狂が迫る。


〈やめて欲しい、夢に出そう…なんだよ裸マントって…〉


やる気満々のオークエリートに俺は武器をしまい左手のガントレットに魔力を溜める


そして、オークエリートに向かい走り出す…


オークエリートが渾身の一撃を放とうと、


ハンマーを振りかぶり大きく反ったその刹那!


俺は滑り込みながらスッと片ひざをつき低い姿勢から、腕を伸ばす。


「もぎ取れぇぇぇ!!」


と叫び、素手スキルを放つ。


それは、腕力2倍、急所部位は3倍の 技スキル〈もぎ取り〉…


正しく、エリートオークの〈急所〉をがっちりホールドし、


ライターから変身する黄金戦士の必殺技の様に、


〈もぎ取る!!〉


「ぐおぉぉぉ!!!」


と、エリートのエリートをもぎ取られたオークエリートが、


大地に沈む…


「ゴールドクラァァッシュ!」


と、握りつぶす俺。


パシュん


と、切ない音を残して、戦いは終わった…



オークエリートはボール大の魔石と深紅のマントそして、豚肉の塊に替わり、


それらをアイテムボックスにしまい奥の部屋に進む


部屋の真ん中に宝箱と魔方陣があり、


奥には下り階段が見える。


俺は宝箱を鑑定すると、


「ダンジョンの宝箱」

「罠なし」

「鍵不要」


と、結果が出た。


〈安全そうだ。〉


俺が、宝箱をあけと、

どこかで見た事があるカードが入っていた。


鑑定


「土魔法 LV 1」

「カードを破壊した時、一番近くにいたものにスキルをあたえる」


〈やった魔法だ!〉


すぐ使おう!


と、ウキウキしたがら、

俺はカードを破壊した。


ピロリン


の音を聞いた後に魔方陣で地上へ戻った。

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