第28話 再開して気が付く


長かった…


謹慎も明けて、晴れてD級冒険者になれた。


先ほどギルドカードの更新を済ませ、


今は創薬ギルドに向かっています。


ヤザムさんに復帰の報告とかなりの数の自分用の各種ポーションが手に入ったので、当面は冒険一本で、レベルとランク上げをする事を告げる。


ヤザムさんは、領都で、学校を卒業してからでも遅くないのでは?と言ってくれたが、


メインダンジョンの踏破者なんて、もう何年も居ないらしい…〈禿げ談〉


入る資格にB級までランクを上げたパーティーのほとんどはメインダンジョンに入らない。


〈大概は実入りの良いサブダンジョンで生計をたてる〉


A級になり目指す上がないヤツが、死にに行く場所と思われている。それくらい強さと実入りのバランスが悪いダンジョンという話だった。


〈大丈夫かな?〉


今から神様の追加サポートが予定されている、〈技術神様のサービス待ち中〉があったとしても、


メインダンジョン複数踏破は、ほぼ無理ゲーな気がする。


やるしかないが、時間もない

学校に行く意味がないからパスだね。


「使命がありますので。」


と、それっぽいセリフでやんわり断り創薬ギルドをあとにした。


〈さぁ、再始動だ!〉


肩慣らしのクエストを受けるにしても、今日は準備と移動にあてる。


食料を買い込みアイテムボックスへ放り込む。


武器屋で新しいショートソードと、片手斧それに弓矢を多数買い付けアイテムボックスへ


さあ、冒険者ギルドでギルマスに相談


レベル30代のソロが行ける経験値の美味しいところは?


と、聞くと、


「アルド君は、レベル30代なのか?」


と聞く禿げに、


「熊を倒したら、こんなに成りまして…」


と答える俺に対し、


怖い顔をしながら、


「持ってるんならだせ。」


と、麻薬捜査の方みたいに俺に疑いの目を向けるギルマス…


確かに謹慎中に、とある薬に手を染めましたが…


「な、なにをですか?」


と、ひきつりながら答える俺に、


禿げギルマスは、


「レッドベアーといえど、一匹でそのレベルに成る訳がない。


もう一匹ぐらい殺っちまってるんだろ?!」


と、推理してくるが、


「神々のお力です。」


と適当なことを言っておいたら、


「そんなもんかぁ~。」


と納得してくれた。


そして、暫く「30で行ける所…」とブツブツ言っていたギルマスだが、


急に思い付いたのか、


「初級ダンジョンだ!」


と答える。


たしかに、B級のランクアップ条件に初級〈全30階層〉の踏破がある。


踏破して依頼数をこなせば昇級できる。


C級は依頼数のポイントが、基本だが、

ダンジョンはよっぽどの事がない限りクエストが出ないため、クエストの数ではなく踏破階数〈20階のボス撃破〉

でもC級のランク昇級が決まる。


因みにダンジョンボスは、レッドベアーと互角程度の強さだが、20階はそれより大分弱いらしい。


転送陣で地上と行き来できる安心設計との話しなので、


「早くC級になってこい」とギルマスが言っていた。


初級ダンジョンはここから馬車で、丸1日の距離に有るらしい。


ダンジョンは、恩恵も多いが、魔物が溢れだすと危険なので、


わざわざ大都市をダンジョン周辺に作る領主は少ない。


向こう見ずな領主が鉱物系のダンジョンのまわりに都市を造っている例外もあるが、ブライトネル辺境伯はそうではないらしい。



俺は、町から遠く、馬車のゆれによる腰のダメージに悪態をつきながら初級ダンジョンをめざした。



アサダの町を昼に出て、夜通し走り現在昼過ぎ、


初級ダンジョンの村に着いた、


ただ、ダンジョンの村というか、冒険者ギルド分室ぐらいの規模だ


素泊まり宿と屋台が数件まわりに有るだけの冒険者ギルドの施設だった。


ギルド内でダンジョンに入る前にサインをして

屋台で、うどんみたいな物を売っていたから昼飯に買った。

つるつる汁と云う名前らしい。

まぁまぁ旨いが、鰹と昆布が恋しくなった。

ネーミングからミスティルお子様用説が再燃する。


が無視してダンジョンへ…


ダンジョンは、魔物を倒したら体がドロップ品を残して、ダンジョンに吸収されるタイプらしい。


それは挑戦者も同じ、多分俺が死ねばアイテムボックスの中身をぶちまけドロップ品のパーティーになるだろう…


〈おぉ~恐っ…いやだいやだ。〉


さて、買ったばかりのショートソードを片手に進んで行く


因みにマップスキルさんが久々に活躍している。


〈階層丸見え〉状態で進む。


ダンジョン内初めてのモンスター。


鑑定


「グリーンスライム レベル10」


「HP 60 / MP 18 」


「体当り ・ 風魔法 ・ 粘液 」


勝てる相手だ!


ドガン!

スライムの体当りが当たった


ダメージはあまりないが、敵の攻撃を受けた事に驚く。


気を取り直して敵に向き直ると、


ビュンッ顔の横を何かが通り抜ける…


すると、頬にチリッとした痛みが走る。


多分、風魔法だろう…


そして次の体当たり攻撃も腹にくらう。


そして気がついた…そもそもの前提が違う。


罠にかかってるヤツしか基本シバいてないよ、俺!


剣スキル無いのに剣が当たったのは罠のサポートのお陰だったのだ。


斧にかえればまだ戦えるが、どうせなら剣スキルも欲しい。


などと考えている間も、立体的に動く緑色の球体が、ちょろいヤツが来たと喜んで、体当たりを繰り返す…


〈泣きそうだ…〉


一分弱「タコ殴り」された。


ダメージはほぼ無いが、心にダメージを負う。


よし、ショートソード君!

君は素振りから始める事とする。


アイテムボックスにショートソードをしまい


〈殴られたお返しに殴ろう。〉


と決めてからは早かった。


前世の俺は、ちゃんとデブなら一度は通る道の一つを歩んできた。


俺だって〈柔道の有段者〉だ、こんなプルプルの体当りなんか怖くない!


飛んできたスライムをつかみ、床に投げつけてガントレットで殴ってやる!!


と心に誓い体当りしてきたグリーンスライムを掴む!!


〈パシュん〉


といって、


グリーンスライムはパチンコ玉くらいの魔石になりきえた。


〈うぉい!〉


散々タコ殴りしといて、胸ぐら掴まれただけで、


パシュん、はないだろ?!


〈次のヤツこそなぐってやる!〉



パシュん


次だ


パシュん…



もうあきらめました。


一階層のグリーンスライム達はもう、握り潰すと決めました。


約束三十分 パシュん パーティーを楽しみ二階層へ

〈収穫は魔石のみ〉


ピロリン


お知らせだ…レベルが上がったか、何かスキルが生えたか…


しかし、今はダンジョンに集中だ!


と、切り替えて、


マップを使い最短ルートを進み二階層へ…



二階層の敵はゴブリンだね。


鑑定


「ゴブリン兵士 レベル11 」


「HP 95 / MP 25 」


「剣スキル ・ 連携 」


いいな、剣スキルがある

あと、連携って、集団でくるの?…


試しにゴブリン相手に、


「サブマップ」からの鑑定を発動すると、


視界の端に地図と赤い点がみえる。


〈ゴブリン兵士がいるねぇ…〉


やっぱり敵にも簡易サーチは有効だった。


〈できるだけ群をさけて、今度こそ剣スキルを生やす!〉


と決めてウロウロすると、


〈ぼっち 発見!〉


倒すことより一回でも多く切り結び、剣スキルを生やすぞ。


と、相手の剣さばきを真似しながら丁寧に切り結ぶ。


お前はただのゴブリンではない。


俺の剣のライバル ゴブエモン と認定する。


「グゲグゲっ」と興奮しているゴブエモン


〈さあ、死合おう!!〉


相手の剣に当てる事を一番に約5分耐えきった。


体力よ集中が切れそうで、フラフラになる…


スキルのお知らせは来ないが、ゴブエモンの太刀筋は見えた!。


「さらばゴブエモン!」


と、別れを告げて、ゴブエモンの肩口から俺のショートソードが吸い込まれる。


パシュん


ゴブエモンは魔石と愛刀を残して、パシュん した。


「さらばゴブエモン。」


もう二階層は、数がいてもゴブエモンの一門

太刀筋は同じだ。


たまに、

剣が光った時に、武器のスピードが上がるだけを注意すれば問題ない。


ひとぉーつ


パシュん


ふたぁーつ


パシュん


みいぃーつ


ピロリン


おっ、やったかな?


剣のウェポンスキルが、手に入ったようだ

さっきより動きやすい。


経験値上昇の指輪のおかげか順調にスキルを生やしていく。


やっと、普通の冒険者のスタートラインに立てたようなきがした。


そもそも、おれは、弓スキルすらない罠師…

ハンターでもないし冒険者でもなかった


たたのサバイバーだった。


よし、これからだ!


戦闘スキルを研くぞ。

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