第22話 戻る迄が冒険です。

目覚めると、知らない天井…


すらない穴の底でした。


なんか体のあちこちが痛い…


「あのまま寝たのか…」


三メートル以上の深さに掘った罠が、土嚢ドロップで、熊を埋めてやっつけたから今は数十センチほどしかない。


森の真ん中にで寝ていたのに魔物に襲われなかったのは、

この森の絶対強者が、俺の下に埋まってたから、

臭いにびびったのだろう。


俺はゆっくり立ち上がり、大事な武器を回収していく

最後に今回のMVP、まだ見たことのない〈おじいちゃん作の鉈〉を熊から引っこ抜こうとするが、左手がまだろくに動かない。


何とか引っこ抜きアイテムボックスにしまう。


そして、熊に手をあてアイテムボックスへしまう。


「入った。から死んでる…よね…」


いくら便利な アイテムボックスさん も生き物は入らない


熊のいなくなった分、

土嚢のやまがへっ込む


「早く埋めて帰ろう」


と、スコップを出したときに気がつく、


〈あっ、タックルボアのキバがあるな。〉


折角だから掘って持って帰ろう…


〈ザックザック〉と掘りたいが、片手では大変である。


何とか掘り起こしたがキバだけ取る道具も知識も気力すらないから、


「アイテムボックス。」


と、唱えて、全部持って帰る事にした。


その後アイテムボックスから、土を出しては埋めるをくりかえす。


「イテテっ」


と、左肩に痛みが走る。


〈多分折れてるな…これ〉


アイテムボックスの中からシャツをだして、左肩を固定して最後まで埋めきる。


〈もう、暫くは穴は掘りたくない…〉


くくり罠も回収して、


キャンプ地を片付けたのち一旦町に戻る。



また三時間以上の道のりをトボトボと…


町に付き、門で名前を書き中にはいる。


ほっとする反面、肩が治るか心配になってくる。


ただ、〈町まで!〉と思っているときは大丈夫だったのに、安心したとたん不安になる…


人間とは不思議なものである。


冒険者ギルドに入るとボロボロの俺を見て、


タイラーさんが飛んできた。


「アルド君どうしたんですか?」


と、真っ青な顔で聞いてくる。


俺が、


「雨の森で、レッドベアーに合いまして…」


と、言うやいなや、タイラーさんが、


「ギルマスに連絡を!

初級冒険者の森への立ち入りを禁止して!


だれか、腕のいい治癒師を呼んできてくれ!


アルド君あっちの部屋で治癒師を待つあいだに、詳しい話をしてくれるかな?」


と、テキパキと指示をだしている。


〈やっぱりタイラーさんは、仕事が出来るなぁ。〉


と、感心しながらギルドの個室に通された。


ギルマスが、部屋に入ってきて、俺を見て青ざめる。


〈禿げた頭も青くなるんだなぁ〉


と、しょうもない発見をしていると、


ギルマスが状況を聞いてくる


「怪我が痛いだろうが、レッドベアーの件を聞かせてくれるか?」


と、俺を心配そうに覗き込む禿げに、


「はい、雨の森の入口から南に進んだ泉を中心に採集をしていまして…


あっ、キノコ悪くなる前に買い取りお願いします。」


というと、ギルマスが呆れながら、


「すまねぇタイラー、買い取り窓口のやつを後でつれてきてくれ」


記録を取りながらタイラーさんが、


「了解しました。

アルド君続きをたのみます。」


と、言うので全てを話す。


「はい、くくり罠と落とし穴をタックルボアの通り道に仕掛けたのですが、掛かったタックルボアを食べに入ったみたいで、

穴の底で、お食事中でした。」


ギルマスが、ウンウンと頷き、


「それで逃げてきたんだな森から…


タイラー上級冒険者に向けて、討伐依頼だ!


中級には森の調査と、初級者は解決するまで森への出入り禁止だな…」


と指示をだし、記録を取っていたタイラーさんが、


「討伐依頼を王国全域に…ですね。」


と、言っている。


何か、息の合ったやり取りを邪魔するみたいで気が引けたが、


「あの。」


咄嗟に声をあげた俺に、ギルマスが?


「どうした?」


と聞くので、


「調査依頼は良いですが討伐依頼は待って下さい。」


とお願いすると、


〈ハテナ?〉と、首を傾げるギルマスと、


「なぜでしょう?」


と、タイラーさんも聞いてくるので、


「倒しちゃいましたよ。」


と、報告した。


「えっ!」っと驚く禿げとタイラーさん…


確認も兼ねて、


「誰がでしょう?」


と、タイラーさんが聞くので、


「私ですが?」


と、答える俺。


暫しの沈黙…の後に、



「えーぇぇぇぇぇぇぇっ!?」



と驚く二人、


〈うるさいです。〉


傷に響きますから…


禿げとタイラーさんは、まだ話が飲み込めない様子。


ギルマスは慌てながら、


「なんだって?

アルド君詳しく教えちゃくれねぇか?!」


俺の肩を掴み揺する禿げ。


「痛ったいわ!ハゲマス!!」


ハッとして手を離す禿げは、


「すまん怪我してたな…


って、ハゲマスとはなんだ!」


と、怒る禿げにタイラーさんが、


「詳しく頼みます。ギルマスも今更なんだから落ち着いてください。」


と、ギルマスにハゲを再確認させた。


「おう…すまねぇ…」


と、何かを理解して大人しくなるギルマスをよそに、


俺は詳細を タイラーさんに話す。


「タックルボアを狙ったのに、まんまと獲物を横取りされて、イラッとは来たぐらいでしたよ最初は…


レベル鑑定したら40で、これは逃げようかな?と、考えましたが、腹一杯でヤツが寝たんですよ、落とし穴の中で、


あ~、 なんか余裕こいてるし、むかつくから、殺っちまってレベル上げよう!と考え直しまして、


寝てるヤツにマヒダケの汁に浸した弓矢を浴びせようとしたけど、半分も当たらなくてね。


〈威嚇〉されちゃって…


ポイズンポーション投げたり、魔竹の竹槍にマヒダケの汁塗ったので刺したりしてたら熊がマヒと毒に掛かったので、


落とし穴掘ったときの土で埋めてシバきました。


目玉と首を切ったときに、反撃食らって死にかけて、

熊のドヤ顔にムカついて、再度埋めて頭かち割ました。」


と、一連の流れを説明したが、


〈えっ?〉と驚き、


「アルド君、以上…ですか?」


ゆっくり質問するタイラーさんに


俺は、


「以上ですが…出します?ここに?」


と、提案すると、


ギルマスが事態がやっと飲み込めたのか、


「ここじゃ無理だ解体所にまわるぞ。

行けるか?アルド君…」


と、問いかけるギルマスに俺は頷く。


その時、


「治癒師様おみえになりました。」


と、窓口のほうから職員のメルさんの聞こえる、


ギルマスが、


「おう、解体所にご案内しろ!

今から俺らも向かう、解体チームに場所開けてくれと伝えてくれ!



おう、俺らも移動するぞ。」


ギルマスとタイラーさんと一緒に、解体所に移動して、熊を出そうとしたら、

治癒師の爺さんに怒られた。


「馬ぁ鹿もん!治療が先だ!!」


と、俺を捕まえ椅子に座らせる治癒師の爺さん

俺の鎧を外し、肩を触ると


「バッチリ折れておる。」


と、言ったかと思うと、


「せい!!」と折れている肩を引っ張りあげながら治癒魔法をかけて行くが、


「痛だい、痛だい!っうぅぅだぁぁぁいぃぃ!!!」


痛さに叫ぶが、


「辛抱しろ!!もう少しじゃから!!」


と叱られ、この治癒はこの後三十分つづいた。


どこがすぐだよ!!


でも、そのかいがあり左手が動くようになった。


やるな。治癒師の爺さん…くっそ痛かったけど…


最後に治癒師のじいさんが、


「1ヶ月冒険禁止!


ギルド総出で守らすように!


下手したらヤバかったぞ!!」


と、言い残し帰って行った。


おれは、1ヶ月のドクターならぬ、治癒師ぃーストップを言い渡された。


熊と、食い散らかしボアとを禿げに預けておいて、

キノコの買い取りは、明日精算となった


本日は解散、

俺は、宿はギルドの直営の冒険者宿にて1ヶ月軟禁が確定した。



…はぁ、休みは何しよう?

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