第21話 熊さんに出会った
ある日森の中で熊さんに出会うことが有るんですね…
どうしよう?
歌のままならスタコラサッサと逃げるんだが…
一応、
〈鑑定先生、ヨロシク!〉
「レッドベアー」
「レベル 40」
「HP450 / MP100」
「火の属性攻撃、威嚇、腕力強化」
「アサダ町の森で、生態系の頂点 その傍若無人な振る舞いから暴君や魔王などといわれている。」
…。
〈勝てるか ぶぉけぇぇぇ!!〉
もう、スタコラ案件です!
一瞬逃げようとしたが、
しかし…俺は考えた。
この熊さんを仮に「アサダの魔王」としよう。
このアサダの魔王は、多分上位クエストに有るだろうが、
どうせ、俺では受ける事が出来ないクエストなら、
別に肉が食べれなくてもいいはず。
毒を使おうが毛皮ボロボロだろうが、
依頼じゃないから大丈夫だな。
冒険者ランクのポイントにはならなくても、
経験値はうまうまなはず…
マヒ茸も袋にいっぱいあるし、
アサダのマオウちゃんは穴の中…
〈殺っちゃう?〉
勝ってレベルアップの糧になってくれるか?
などと、脳内会議を繰り広げる…
暫く積んで崩してしているうちに、
アサダの魔王は腹を満たして、穴の中で眠っている…
〈おやおや、天敵がいないからの余裕ですか?〉
と呆れながら、
アイテムボックスのリストをチェックする。
〈何か使えそうな物がないかな?〉
と、確認していると、
〈パパさん作のポーションセットがある!〉
アイテムボックスからセットを出して中身を見る
ライフポーションが3つ マジックポーションが一つ
そして、
〈あったポイズンポーション!〉
とついでのキュアポーション…
有難い。
何とかなる…かも…
〈うん、やるぞぉ!〉
まず、アイテムボックスから、
マヒダケ一袋
水筒
弓と矢
鉈
ルルドとまほーく
ショートソード
ナイフ
ポーションセット
を用意する
あっ魔力が…
焦ってマジックポーションを飲む
〈甘い!初めて飲んだ。〉
眠気すっきりになる〈魔力切れを回避したため〉
であって、ヤバい成分は入ってない…はず…
鉈で水筒(魔竹製)の上のフシを抜く
中身を捨てて水生成(少量)を入れてマヒダケを浸し
矢を束ね水筒の中のマヒダケを突き刺し、潰す。
〈麻痺の矢〉の完成!
次は、
鉈で魔竹のやりを作りマヒダケを袋に槍先を突っ込みゴリゴリして汁を纏わり付ける。
〈麻痺の竹槍〉も完成!
腰にショートソードと鉈をさげ
マヒダケの汁に浸した矢をつがえて弓を引き絞る
「いくぞ!」
寝ている熊を目掛けて矢を放つ。
背中に命中し怒り出す熊。
相手は痛みを与えた俺を見つけて〈威嚇〉を使う。
「グルォォオォォオォ!!」
今までにない恐怖…
心を決めて始めた作戦だか、矢の狙いが体の震えでそれる。
十本ある矢のうち命中したのは4本
五割を下回るが、俺的には、あんな状態で四本も当たったという印象だ。
続いて、
ポイズンポーションを暴れる熊に投げつける。
〈頼む当たって!〉
「パリン」と瓶が割れ煙が穴の中に立ち込める。
煙を吸い込み穴の底で暴れる熊を竹やりを使い穴の上から突いていく。
〈熊の動きが鈍くなった。〉
鑑定!
「レッドベアー」
「レベル 40」
「HP390 / MP 50」
「状態 マヒ ・ 毒 」
やった!
アイテムボックス
アイテムボックス
アイテムボックス…
と、俺は穴を掘った時の土嚢をポイポイっと穴に放り込む。
「グルルルゥゥゥ。」
悔しそうに俺を睨むアサダの魔王は、首から下が土嚢に埋まっている。
〈ショートソード〉と〈ルルドとまほーく〉の二刀流で熊埋まっている穴の中に飛び込む。
ショートソードを右手、
左手はガントレットにルルドとまほーく
を構えて、
首だけ地上に出ている熊に突っ込む、
真っ直ぐ走り、クルっと、
左手にまわり込みショートソードで熊の目を狙う。
ロルフ先生が言っていた。
「熊の魔物は目か鼻を狙え!」と…
全身硬い熊でも目玉と鼻は固くない、
それに、奴らは目や鼻が、敏感なのか凄く痛がる!らしい。
〈実際に確認だ!〉
目に突き刺さるショートソード。
熊はあまりの事に首を振る。
その時〈ガキン 〉という乾いた音手元に響いた…
そして、ショートソードが無惨な姿に…
〈すまん、上手に使えなかったな成仏してくれ〉
と、俺はベッキリ折れたショートソードに別れの挨拶をして、
ルルドとまほーくを両手で構える。
ママさんの投げ斧は俺が投げてダメージになるかわからない。
腕力も少ないし、斧スキルすらない…
しかし切りつける分には大丈夫だろう。
潰れた目の方の熊の首を目掛けて斧を振り下ろす。
〈ザクっ!〉っと、確かな手応えのすぐあとに、
俺は吹っ飛ばされた。
〈ごぷぉ 〉…
嘔吐した物に血が混じる。
ふらふらしながら体を確認すると左肩をざっくりやられて、
焼けた匂いがした…
「火の属性攻撃」だろう。
熊は片手を何とか地中から出し俺に攻撃を当てたのだ。
〈まずいな…〉
ライフポーションを飲むが血が止まらない…
焦りながら、もう一本飲み干して、血は止まったが左手は動かない
「糞痛てぇ…」
まだ見える片目で勝ったようにボロ雑巾の俺を見て、
ドヤぁとほくそ笑む熊。
「なっ!!てめぇ、ドヤりやがったな。
後悔させてやるぞぉ!」
最後のポーションをあおり少し動かせるようになった左手に、
ルルドとまほーくをもちかえ右手で、
「アイテムボックス!」
「アイテムボックス!」
「アイテムボックス!…」
俺はまだある土嚢をアイテムボックスから取り出し熊を再度埋め直す。
ヤツの動きに再び制限が掛かったところで、
地表に見える顔の北半球のみの熊に目掛け、
右手でしっかり持った投げ斧をまず鼻先に目掛け、
「食らえ!渾身のルルドとまほーく!!」
と、〈ママさんの力も借りれるかも〉と思いそれっぽい技名を叫んでみる。
「グオォォォオォォォォォ!」
痛そうだが、致命傷ではない熊に追い討ちをかける。
斧を手放し、鉈を腰から引き抜き脳天めがけて、
「ドドル鉈チョーップ!」
と、まだ見ぬ爺さんの名前を叫びながら、
ザクッと刺さった鉈だが、もう一歩足りない。
それなら、ラストだ!
「アイテムボックス!!!」
叫んだ俺の手には、村で貰ったハンマーが握られていた。
脳天に刺さってはいるが、致命的に至らなかった鉈の峰を目掛け。
最後の力を振り絞った、
「アルドインパクトォォ!!!」
特に意味はないが、気合いだけの一撃は、
〈ガチン!〉と、鉈を更に深くへと押し込む。
熊の能天に刺さった鉈が衝撃で熊の脳ミソ迄届き、
〈ビクン〉と、地面が震えた感じがした。
疲れ果て倒れる俺…
〈グラッ〉と倒れ、
遠退く意識の中で、
ピロリン
ピロリン
ピロリン
ピロリン
ピロリン…
と延々とお知らせがなる。
「あと、五分…むにゃむにゃ」
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