第20話 森に行きましょう
今朝も早くから草原エリアに来ています。
採集クエストで、薬草類をものすごい量納めているためか、
影で「薬屋さん」と呼ばれている事を今知りました…
〈軽く凹んでおります…〉
いつものエリアは端から端まで行ったので、少し離れたエリアで薬草を採集しようと、
いつもと違うポイントに来たのですが、
すると、そこで、先輩子供冒険者とはちあわせると、いきなり、
「皆、薬屋さんがいるからここは全部ヤられるから、違うポイントに移動するぞ。」
と…
薬草は採集したが、薬は、売った覚えはないけど…
と思う反面、
考えれば薬草だけでランクアップを目指した俺も悪い、
先輩たちの獲物を根こそぎだからな…
〈反省。〉
今日はもう上がりにして、ギルドで他のエリアの情報を仕入れよう。
と、トボトボと、ギルドに戻る帰り道で、
昨日仕掛けた罠をまわり角ウサギを二匹手に入れた。
罠にかかったヤツをショートソードと、ママさんからもらった〈ルルドとまほーく〉という名前の投げ斧を使い〈スキル生えろ!〉とばかりにやっつけた。
ウェポンスキルがほしい…
罠を回収し、領都の門の前にガテン系の方々の馬車が何台も並んでいる。
聞けば、果ての村の防護壁工事の第一団体らしい
トネル兄様は仕事が早いね…
〈有難うございます。〉
そして、
〈ヨロシクお願いします。棟梁さん〉
声に出さないが、心で感謝を述べる。
一団を見送ったあと冒険者ギルドに入り、角ウサギを提出、
本日の飯代は何とか稼げた。
受付カウンターで、常時クエストの確認
森エリアのキノコ類のクエストがある。
食用から、マヒに毒など様々…
俺には鑑定と簡易サーチが有るから怖くはないが、
最初の一本が見つからなければ鑑定先生も役にたたないので、
その足で、二階の図書室へ
キノコをメインに形を覚える
似たような猛毒キノコがあっても鑑定先生にかかれば間違えはしないので大丈夫だ。
そのあと、同じエリアの魔物もチェック完了したが、
〈果ての村とさほど変わらないかな。〉
跳ね鹿もいるし、大型はタックルボアという猪の魔物くらいかな。
虫魔物が気になるが、虫除け使えば何とかなるし…。
よし、決定!
「森に行きましょう。」
と決めて買い物に向かった。
その日、角ウサギ亭で、
「明日で期限だけど、延長する?」
とバニーな女将が、聞いてくる。
バニーに延長か?と聞かれれば延長したくなるが、ぐっと堪えて、
「明日から森へ行くので、一旦出ます。二週間有難うございました。」
と俺が答えると、
女将は、
「あらあらそうかい。また来とくれよ。」
とだけ言って残念そうに奥に引っ込んだ。
食堂に晩飯を食べに行き、
明日に備えて早めに、
狭い個室の硬いベッドに潜り込んだ。
ー 翌日 ー
今日は町から三時間程度の(雨の森)と呼ばれる
湿度の高い森に来ています。
今回は泊りがけで採集です。
ステラお姉さんとバゼル神父がくれたテントで、
レッツキャンプ!
まずは、キャンプ地探しです。
「マップ」
と、唱えると、頭の中に地図が浮かぶ、
自分を中心に一キロ四方ぐらいのかなり詳細な地図だ。
えーっと、どこにし、よ、う、か、な?
よし、ここに決めた。
森入り口から真っ直ぐ南に抜けると泉のほとりに少し開けた土地がある。
水の確保もバッチリだし、ここを今日のキャンプ地とします。
と決めて、キャンプ地の泉を目指す。
キャンプ地の周辺で、採集前に罠を仕掛けよう!
と思い付いて、横路の森に分け入り魔物の通り道を探す。
辺りを確認しつつ、ロルフ先生直伝の獲物探索の知恵を駆使する。
一部だけ低い草や枝の払われた様な場所を探す。
その丈で足の長さが、
払われた枝で幅が予想出来る。
その獣道の際の木は魔物同士の縄張りの主張に使われる事が多い、大概体を擦り付けるので、
ほら、
体毛があった。
普通の狩人なら経験だけで獲物を特定するが、
俺は違う…〈鑑定。〉っと。
はい、出ました。
「タックルボアの体毛」
ボアか?捕まえた事無いな…
〈殺れるかな?〉
悩む俺…暫く腕をくみ目を瞑る。
そして、
「よし、殺ってみるか!」
と、決めて俺は、アイテムボックスからスコップとロープを取り出して落とし穴を掘りはじめる。
まずは、近くの大木にロープをくくり、反対端を腰に巻き安全ロープとする。
ドワーフの血が騒ぐ!
土まみれになりながら、
ターニャママ…いや、監督と練習した穴ほりスキルが仕事をして立派な穴が出来た。
掘った土は袋に分けてアイテムボックスへしまう。
ロープを頼りに地上へ戻り、
アイテムボックスから鉈を出して魔竹を切り穴の口に渡す。
ソコに草や枝を使って蓋をする。
地表部分の土を撒いてカモフラージュをして、
真ん中に果物や穀物を置き終了。
あと他の場所に中型のくくり罠を仕掛けてキャンプ地に戻る。
〈あ~、一仕事済んだ…〉
テントを設営し、薪を集めて火をおこす。
異世界の便利なところは、火おこしが楽なところ、
「着火」
と、唱えれば、これだけで火が起こる。
〈泉で体でも洗うかな?〉と思った時に閃いた。
薪をくべた焚き火で石を焼き、
石が熱くなる間にスコップで、泉の畔に穴を掘る
泉から溝を繋げ穴に水を貯める。
水が貯まれば溝を埋めてっと、
はい、完成!水風呂
ここに焼けた石を入れば、
ジューっと湯気が立つ…
暫く待つと、
〈お風呂の完成!〉
こっちは水浴びが基本だから忘れてた、
やっばり風呂だよね。
キャンプというか、ほぼ庭をDIYして露天風呂つくる趣味人みたいだな…
と思いながらも、
湯加減を確かめて、早速
チャプンと風呂に浸かってみる。
「あぁぁぁ~」
生き返るぅ~
転生したうえで、生き返るわぁ~。
なんか、アサダの雨の森、
森の泉でDIY…
なんかあれだね、喉に良さそうな飴と、インパクトドライバー持ったモデルの方が頭を過って何とも言えないね…
と思いながら景色を眺め、
石鹸は無いから調味料で買った塩で体を揉んでみる
中々さっぱりしてよかった。
自生していたハーブを風呂に突っ込み追加で焼けた石を入れる。
ハーブの中に防虫草を混ぜたので虫除け効果もあるはず…
ぽっかぽかなまま、焚き火で晩御飯を作る。
アイテムボックスからフライパンをはじめ料理セットの袋をだしてレッツクッキング!
ジャガイモをを薄めにカットし、同じく薄くスライスしたタマネギとベーコンとで炒める。
塩とハーブで味を調え完成。
ママさん直伝 〈お芋の美味しいヤツ〉!!!
ママさんのネーミングセンスが光る逸品である。
〈いただきます。〉
と、手を合わせてから、
パクっと一口…〈旨い!〉
大満足である。
実は最近、採集の合間に料理をしている。
考えたら薪をひろえば着火で火が起せるし、水生成で消せるので、安全に外での料理が可能である。
おかげで料理スキルがスクスク育っている。
焼けた石で軽く暖めたパンに挟んでも、〈お芋の美味しいヤツ〉は、間違い無しで旨い!
風呂に入って、旨い飯食って…
〈何しに来たんだっけ?〉
と、考えるのが馬鹿らしくなる…
あっ、うん、寝よう。
と諦めて、明日の為に早めに
片付けをしてテントをで寝ることにした。
虫除けの〈お香〉をガンガン使って〈おこう〉。
なんつって…。
と、いうことで、清々し朝です。
村を出てから、一番さっぱりぐっすりな
目覚めです。
やっぱり風呂は大事だと感じる。
泉の水でお茶を沸かし、
ヤカンに水と茶葉をぶちこみ火にかける。
普通はこんなに煮込めば苦味が出る。
しかし、俺には関係ない!!
なぜなら…
〈濾過スキル〉があるからだぁ!
濾過スキルは、地味にLV2になり、
二つの指定したものを濾しとる事が可能になっています。
技能神様も濾過スキルを上げろと、手紙で書いていたし…
最近のこと、以前の泥水実験〈泥水から「土」を指定し濾過すれば、不潔な水ができた。〉
事を思い出して、採集の合間にいろいろ試してみのだ。
〈よくよく考えれば、土なんて言う曖昧な物がよく濾しとることができたな?〉
と…
土の中には、砂も粘土も微細な石もあるはず…
なのに土を混ぜた泥水から無事、土を濾しとった。
試しに、一度濾過ポイを通した 不潔な水を
新しく 「汚れ」 を指定した濾過ポイに再び通すと、
〈水〉になった。
この濾過スキルは、こと〈水〉を綺麗にすることに特化している事に気がつく。
曖昧な指定の場合、純粋な水に近づけようとするために複数の対象を濾しとる。
泥水を 指定 「粘土」 にした濾過ポイに通すと粘土が濾過膜の上に残るが、「土 」ならば他の砂なども一緒に濾過膜の上に残る…
では?
「不純物」 と指定した濾過ポイを使ってみると
一発で泥水からなんと、
〈水〉が出来たのである。
流石は技能神様、数会わせのスキルも高性能だ。
ちなみになぜ 「不純物」 を閃いたかというと、
ミスティルのお茶は、地球の急須みたいに茶葉を茶漉しで濾すので、茶葉の欠片が多い…
一度、この茶葉のカスを濾過ポイで何とかしようとしたが、
このカスの名称が分からず 「不純物」 として濾過ポイを使用しお茶を濾したら、
〈お湯〉ができた。からである、
そんな実験の成果もあり濾過スキルが LV2 になり格段に性能が上がった。
二つの指定を「茶葉」と「苦味」にすれば、ペットボトルのお茶のようなクリアな甘めのお茶になる。
指定を「えぐみ」や「渋み」にして追加で茶漉しをつかえば、
にごりがあるが、スッキリと爽やな急須で入れたお茶になる。
お茶のバリエーションが広がる。
長々と語ったが、今この濃いお茶を普通の茶漉しを追加し
「渋み」と「えぐみ」に指定した濾過ポイを通すと、
ガツンと苦さのある朝にもってこいな目覚めの一杯になる。
〈ピロリン〉
おっ、今日は〈ラッキーデー〉だな、多分濾過スキルが上がったかもしれない…
運もレベルアップしたからかな?…風呂でさっぱりして、幸先の良い朝、
お茶も飲んでスッキリ目も覚めた。
さあ、昨日は罠を仕掛けたら汗だくで、休憩に戻ったらお風呂をひらめき、なんやかんやで採集もせずに寝てしまったので、
今日は、採集をやるぞぉ!
「採集大会開幕だぁ!」
と気合いを入れて、
俺はテント等を片付けて採取に向かう。
初めは、食用のキノコを狙う 食べられると鑑定が出れば、
簡易サーチで収穫を繰り返す。
種類ごと袋に分けて集めて、
アイテムボックス内のリストをみれば五種類ある…
約五時間キノコ狩りをした計算かな?
早朝から採集してるけど、まだ昼前…
一旦休憩で、昼食とする。
昨夜の お芋の美味しいヤツ の残りと朝のお茶(魔竹の水筒入り)
で、腹を満たす。
俺のアイテムボックスは、時間停止機能はまだない〈シルフィー師匠は付いているらしい〉のでもう一頑張りすればアイテムボックスがレベルアップするかもしれない、
お茶は冷めているが、満足な昼御飯だった。
腹も膨れて、体力チャージも完了し、
つぎは、薬効成分の有るキノコを探す。
最初の一本にてこずりはしたが、簡易サーチはすごいね。
袋がパンパンになった
採集も飽きたと云うか、頑張りすぎた…
〈ちょっと眠い…〉
シルフィー師匠もパパさんやママさんも言っていた。
「外で魔力切れで倒れるのは、お馬鹿さんだと…」
何があるか分からないから余裕を持って行動しなければ、
かと言って、このまま終了も勿体ないから、
キャンプで寝る前に罠の確認に向かう。
くくり罠の一つ目は外れだった。
そのままにして次へ、
二つ目も外れ、
朝のラッキーデーは嘘だったかな?
〈まぁ、いきなり運が良くなる訳ないな…〉
と納得しながら、
〈明日の朝、もう一回罠を確認して駄目なら一度町に戻ろう。〉
と決めて、ダメ元の〈落とし穴〉を確認に向かう。
何か落ちてる…?!!
落とし穴に獲物が掛かったみたいだ。
穴のふたがバラバラになっている…
息を潜めて、そっと近づくと、
〈えっ!〉
ボアじゃないよ?
熊がいる!…まじか!!
口の周りに血を付けなかがらタックルボアを美味しく頂いている最中である。
ボアさんを追って一緒に落ちたが、穴を崩せば出られると考えボアさんを食べちゃってるみたい…
どうしよう?
勝てるかな?…俺…
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