第16話 旅立ちと町ブラ
遂に旅立ちの朝がきました。
早朝、朝食前の食卓に座り、
最後の荷物とステータスチェックの最中です。
荷物は、ほとんどアイテムボックスの中で、問題無し…
そして、昨日なんと、アイテムボックスのレベルが上がり頭の中でリストが確認出来る様になりました。
これで、入れっぱなしで、忘れる心配無しです。
頭の中に持ち物のデータが現れ、
指定しただけで取り出せる。
でもまだ、「アイテムボックス」って言わなきゃダメだが、一つ一つイメージをしなくて良いので、かなり便利に成った。
便利機能で思い出した。
鑑定もレベルが上がり、念じただけで使用可能になているし、
コメントもだいぶ賢くなり、
例えばパパさんは、以前なら、
「エルフ」
「男性」
「食べられません」
みたいな鑑定結果から、
今は、
「アルフ 種族エルフ 160歳」
「男性」
「レベル 42」
と、鑑定結果が変わった。
名前とレベルは有難いが、
鑑定持ちに偽名は即バレするから使わない様にしようと、心に誓う。
あと、シルフィー師匠から、鑑定の裏ワザを習った。
ステータスカードを鑑定すれば、スキルの詳細などが見られるらしい。
早速
「ステータスカード」
これは、無言で出せる様には成らないらしい。
シルフィー師匠が言っていた。
因みに、シルフィー師匠を鑑定したら
めちゃくちゃ強かった。
レベル165 で種族がハイエルフ、
年齢がなんと620歳でした。
鑑定してたら、
「見ちゃダメぇ」
と何故か胸元を隠すポーズでしゃがみこむ。
「アルド君のエッチぃ。」
と言われてしまった…
レディに鑑定はエッチなのか?
異世界分からん…
でも、
可愛い過ぎるのは理解した。
俺は師匠を20歳と認定し、
今回ばかりは鑑定さんを信じない事にします。
等ということが先日有った…
さて、本題。
〈鑑定っと。〉
アルド 6歳
レベル 5
アルフとルルドの子供
勇者の協力者
HP 46 / 46
(命のガントレットの効果 5分毎に1回復)
MP 180 / 170(+17)
(神木の種の首飾りの効果 MPに10% のプラス補正)
固さ 41
魔力 51
腕力 39
速さ 20(+5)
(義賊のバンダナの効果 速さに5のプラス補正)
運気 5(+2)
(運気向上の効果で、+2の補正)
スキル
濾過 LV 2
(使用魔力に応じた膜を具現化し、液体から指定した2種類を濾しとる)
鑑定 LV 4
(無言で発動可能、対人鑑定の精度上昇)
アイテムボックス LV 3
(収納容量 馬車2台程度 。 収納リスト)
料理 LV 2
(解体の精度上昇。食材目利き。包丁裁き)
穴掘り LV 1
(スコップ裁き。穴掘り効率化)
加護
運気向上の加護
(レベルアップの時に運気の上昇が有った場合プラス1補正を追加していく)
経験値・スキル経験値上昇の加護
(経験の加護の指輪 の効果
レベル200迄の使用者の各種経験値の獲得量の上昇)
以上である、MPの計算が合わないのは、朝から鑑定やステータスカードを使ったからだ。
(ステータスカードが 1 で鑑定が 3 )
あぁ、相変わらず戦闘スキルが無いな
穴掘りスキル獲得したのは、ターニャママの特訓のおかげだね。
でも、こんなんで大丈夫かな?俺…
旅立ちのチェックも完璧に終わり、
ママさんの朝御飯が食卓に並ぶ…。
えっ?!何か多く無いですか…
ママさんが旅立つ息子に食べさせようと、張り切りまくった結果、どこかの手足が伸びる海賊団の宴の様になっている。
「これは?…こっちも!」と勧めるママさん…
俺は、フードファイターか?ってぐらい食べました。
残った料理をパパさんがサンドイッチにしてくれて、お弁当箱に詰めてくれた後に、何故かタオルでぐるぐる巻きにして渡してきた。
〈なんで?〉と思ったら、
パパさんが、
「これで、当たっても大丈夫だから…ね。」
と言ってきた。
〈イジられてる??〉
と思ったがパパさんはマジな顔で、
ママさんも不安そうに見ている…
〈本気で心配してくれたんだね、〉
「ありがとう。」
と言って俺がお弁当をアイテムボックスにしまうと、
パパさんもママさんも〈ホッ〉としていた。
〈別に、お弁当箱にトラウマは無いから…安心して!〉
食事を済ませ馬車の時間が近付く。
パパさんが、
「そろそろ行こうか?」
と、寂しそうに言う。
ママさんが、
「えぇ、行きましょう。」
と、俺の手を握る…
そのまま三人手を繋ぎ広場に向かうが、
ママさんが、
「手を繋ぐの恥ずかしい?広場の前で離そうか?」
と、聞いてきたので、俺は、
「馬車までこのまま、」
と、だけ答える。
ママさんは笑顔だが泣いた。
パパさんも時折鼻をすすっている。
もうすぐ…
あと少しで、お別れなのに…
二人の顔が見れない…
見たら泣いてしまいそうで…
泣いたら心配をかけるから。
〈泣きたくない。〉
我慢してるのが判ったのか、パパさんもママさんも繋いだ手に、キュッと優しく力が籠った。
初めて読み書き教室に向かった3歳の時と違い、
凄く近く感じる広場までの道を
〈永遠に忘れるものか〉と噛み締めながら歩く
しかし、いくら抗おうとしても、小さな村…
気がつけば馬車の前に来ていた。
幌馬車に乗り込み外を見れば、
村の皆が見送りに来てくれていた。
見知った顔ばかりだ…
なんて幸せな光景だろうか…
俺が村を出るだけで、家族でもないのに見送りに来てくれている…
…いや、ここにいる全員が俺の大事な家族なんだ。
〈最高の村に生まれて良かった。〉
無情にも、
「出発しますよぉ!」
と、御者さんの声がした。
動き始めた幌馬車の後ろから皆に手を振り、
「行ってきます!」
と元気良く叫ぶ…必死の笑顔で…
馬車が進み、パパさんとママさんが小さくなって見えなくなったら、
我慢していた涙が、勝手に溢れていた…
「最後まで我慢出来て偉かったですよ。」
とハンカチ差し出してくれたのは、シスター クリステラだった。
俺の目の前に、俺より涙でぐちゃぐちゃのシスターが乗っていたのだ。
〈なぜ?…〉
ー 数時間後 ー
何故か泣いてるシスターをヨシヨシしながら馬車に揺られていますが、
揺れがヒドイです。
ケツも痛いです。
状況が飲み込めていません…
あと、〈酔いました。〉
…気持ち悪い…
色んなモノと戦っていたら、シスターは眠っていました。
これは、〈チャンス!〉とばかりにユックリ移動し、幌馬車の後部へ、
そして、
馬車の外に身を乗り出し…。
サヨナラ。
ママさんの手料理達
俺の体の栄養にならなかったけど、心の栄養にはなったから、
今度は道端の草木の栄養になってね。
愛してるよぉぉろろろろろ…
スッキリしました。
えぇ、スッキリです。
なぜ、シスターがいるのか?の疑問意外はスッキリしました。
などと、やっていると、もうすぐ夕暮れ、
幌馬車は本日の夕食の為に停車した。
御者さんや行商人さんがスープとパンをくれましたが、食欲が無い…
グッタリしている俺とは違い、
一眠りして落ち着いたシスター クリステラが、
モリモリと食べながら、
「長旅です…食べ過ぎは良くないですが、食べないのはもっと良くないですよ。」
と気遣ってくれる。
馬車移動の場合、お貴族様は違うらしいが、一般的には朝夕の二食だけだ、あとは、昼頃に御者さんが交代するトイレ休憩の時に馬車内でパンが渡される。
〈水は自前か、生成して 勝手に飲んでくれ〉 方式だ。
無論昼は、眠っていたシスターと、エレエレしてた俺は無しだった為、シスターは腹ペコのご様子。
アイテムボックスから安全弁当箱を取り出し、タオルを剥がして中身をシスターの前に出す。
「シスター クリステラ…」
と、サンドイッチを勧めようと声をかけたが、シスターは
ご不満顔です。
〈ん?〉っと、不思議そうに見ていると、
「ねぇ?アルド君、私の呼び方長いし、何か愛を感じないのよ。
なんか、特別な呼び方付けてよ、わたしにも、
ほら、師匠とか先生とか監督みたいな…」
と言って、なんかモジモジしている。
〈ご不満の原因はそれですか?〉
なんだか、特別な呼び名をご所望らしいが…
うーん??長いのがご不満なら、クリステラさんだけでも長くなるから…
と考えた末に、
「ステラ、お姉さん?」
と呼んでみると、パァっと笑顔になったシスタークリステラ改め〈ステラお姉さん。〉
「やったぁ。私だけ名前も特別だしお姉さんだし
ふへへへぇ、うれしいなぁ。」
と、喜んでいただけたご様子でした。
そのあと、ステラお姉さんとお弁当のサンドイッチを半分こして、幌馬車はライトの魔法の光を頼りに、夜の道を進んでいく
そんなことを明日も繰り返し、明後日の朝にはブライトネル辺境伯領の領都アサダの町に着く予定だ。
二日目、
幌馬車の揺れにもなれて、ステラお姉さんに
なんで、一緒に来てくれたの?
と聞いたら、
「いやだった?」
って寂しそうにウルウルしてる。
(泣かないで!!)とっさに思い
慌てて、
「違うよ、嬉しいけどなんでかなぁ?って…」
と、答える。
「ほんと?
えーっとね。アルド君が大教会に行くでしょ。
その時の案内と、神託についての報告をするためにに一緒にアサダの町までついて来てるのよ。」
とのこと、
こんな腰にダメージが残るの馬車旅なのに有り難うねステラお姉さん…
「着くのは明日だからのんびり景色でも楽しみましょう。」
と、ステラお姉さんと森や湖など流れる景色をみていると、
急に幌馬車が止まった!
馬車が、止まるのは朝夕の食事と御者さんの交代のトイレ休憩だか、今回違ったようだ、
「魔物だ!」
と声がしたが、
しかし、
魔物は御者さんが、あっという間に毛皮などの素材や食糧へと変えてしまった。
流石に辺境は御者さんも強いみたいだ…
長い旅だった…
暗いと 寝る 朝だ!
ということで、ブライトネル辺境伯領の領都アサダについた。
幌馬車から降りて、立派な門へと向かう。
門番が、「果ての村 からか?」
と聞くので、ハイと答える。
門番は御者さんからの書類を確認して、
「馬車に続いて中へ入れ。はぐれて入ると入場料がかかるぞ」
と言っている。
金がかかるのは勘弁して欲しいので、はぐれないように進んでいく。
門を抜けると、町が広がっていた。
初めて見る異世界の町…
不安と期待に胸を踊せていると、
ステラお姉さんが、俺の手を引く
〈おっ?ステラお姉さん、町ブラに出発ですか?〉
と思ったが、ステラお姉さんが、
「あっ、お見えになられた。」
と言う…
すると向こうから、
豪華な馬車が走って来て、目の前に止まると、
ビシッと決まった服装の御者さんが、扉を開ける。
すると、中からダンディーなお貴族様があらわれ、
「よくぞ参られた。話は義弟のフリューゲル殿より聞いておる。」
〈ほへ?〉
と俺が、ポカンとしていると、
「わっはっは。興奮して自己紹介もまだだった。
すまん…私は、この辺境を任されているブライトネルと申す。
歓迎いたすぞ。
さぁ、詳しい話は屋敷のほうで…」
と…
ステラお姉さんと町ブラならず、
町にはいるなりブライトネル様の方の
〈町ブラ〉でした。
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