第13話 はじめての御使い

あらあら、アルドくん

今日が、はじめてのしんたく ですか?

御使いに選ばれても泣いちゃダメだぞぉ~!



と、いうわけで、子供がお使いに行く番組風に始めてみました…


〈そりゃあね、現実逃避の1つもしたく成りますよ…〉


いきなり〈神託が降りた〉と、両親に伝えたところ、


大慌てで各所に連絡をし、

現在、村の広場にて村長をはじめ村人全員に取り囲まれている…


「えー、皆に集まってもらったのは他でもない、

聞いているとは思うが、先程アルフさん、ルルドさんの息子のアルド君に主神様の神託が降りました。


此から皆には神託を一緒に聞いて、証人になって貰いたい。」


会場から拍手が巻き起こる。


フリューゲル様は、「さぁ!」とばかり

俺を壇上に促す。


腹をくくり壇に上がり皆をみると、

キラキラと期待に目を輝かせている。


「皆良く聞きしっかり覚えておいて欲しい。」


フリューゲル様の一言で会場が静かになる。


パパさんとママさんを見ると、大きく頷いた。


俺は手のひらに乗せたオハジキの様な 神託 に魔力を流す。


すると、


懐中電灯みたいな光がオハジキから放たれると、

何処からともなく。


「えー、主神です。


この度、勇者を降臨させる事となりました。

今は準備中の為、まだ先に成ると思いますが、

楽しみにしていてください。


尚、魔王軍とやらの抵抗が有ると思うので、戦える者や、守る者がいる方々はしっかり鍛えて強くなって下さい。


愚息のせいで困っている者も多いと思うがもう少し辛抱して欲しい、本当にすまない。


では、皆のものさらばじゃぁぁ!」



…光が収まる。


一瞬の静寂の後


〈うぉーーっ!〉と歓声が上がる。



神託が町内放送みたいなノリだなと思っている俺をよそに、

フリューゲル様が続ける。


「皆の者、その耳で聞き、その目でみたと思う。


わが村でも、力の有る者も此から強くなろうとする者も


どうか無理をせず頑張って欲しい。

来るべき日に備え出来る事を出来る範囲で…。


頼む!。」



再び会場が、沸き立つ。


「えー、此からアルド君やご両親と今後の事を話し合うので、皆は気を付けて家路について欲しい


解散!」


との号令で、方々に帰って行く村人達…


残されたものは村長宅へと移動する。



そして、俺は家族と共に村長宅の会議室に通される。


今この部屋に居るのは


村長のフリューゲル様と、執事のトンプソンさん、


シルフィー師匠に、


バゼル神父とシスタークリステラに、


パパさんとママさん


そして、俺と…黒猫だ。



えっ?クロ?


「いつから?さっき居なかったよね。」


椅子に座り足をブランブランさせながら、


「人混みは嫌いニャ」


と、何食わぬ顔で話す。


〈そ、そうですか…〉


全員席に着き、トンプソンさんがお茶を配ってくれて、

準備が出来た所でフリューゲル様が、


「えー、定例のアルド君会議までは日にちが有りますが、緊急アルド君会議を開催したいと思います。」


と切り出した。


〈えっ、ナニその恥ずかしい名前の会議は…〉


と驚く俺をそっちのけで、


フリューゲル様は、


「先程、聞いてもらった神託の他に、

アルフさん、ルルドさん夫婦から報告が有ったが、


アルド君が新たに主神様より使命を与えられ〈使徒〉として苦難に立ち向かうらしい。


それと、やはり私の想像した通りアルドくんは異世界より生まれ変わった使徒様だとのこと、


詳しくは5日後の定例、アルド君会議で発表する予定です。


では、アルド君から使命の発表です。」


何か色々、心にダメージのくるキーワードが有ったが…。


〈考えるの止めよう…〉


「えー、アルドです。

異世界から転生してきました。

パパさんとママさんが大好きな6歳です。」


と、挨拶をしたら、シルフィー師匠が手を上げて


「私は?私は?」


と聞いてくる。


俺は、チョッと恥ずかしがりながら


「えっと、師匠大好きっ子です。」


と、発表すると、


師匠がくねくねして喜んでいる


〈カワよ…〉


「えー、正式に使徒に任命されました。


使命の内容ですが、


早急に強くなり、ミスティルに有る六ヶ所のメインダンジョンを攻略して、ダンジョンマスターを配下にするのかな?


兎に角ダンジョン核を使って神様の指定通りに地脈を操作しなければならないそうです。


期限は20年程度らしく多少前後すると考えられます。」


発表が終わると、皆ウンウンと頷きながら何か考えているようす。


暫くシンキングタイムが続いたが、


急にフリューゲル様が思い出した様に立ち上がり、


「忘れておりました精霊様。

皆にお言葉をお願い致します。」


いきなりふられた黒猫は、〈えっ、自分スか?〉

みたいな顔をした後、必死にフーフーしていたお茶から手を離してスピーチを始める。


「ニャァは、商神 フク 様の眷属

精霊 ケットシーのクロですニャァ。


今後ともヨロシク ニャァ。」


これは、定番なのか?

お前も転生するタイプのゲームキャラクターなのか?


〈もう、このくだりは無視しよう。〉


そう思ってると、クロは、こちらをチラチラ確認してくる。


〈確信犯かよ!!〉


「ニャァは、神様からの罰…

違ったニャァ、神様からのお願いで、定期的にアルド君に会いに行く事になったニャ、


アルド君には、強くなって世界を周りながらダンジョンを踏破して貰うから、村から旅立つ事になりますニャァ。


でも、ニャァが、定期的にアルド君の様子を話しにくるので心配無用ニャ!」


クロネコ飛脚便のルート配送かぁ…。

メンバーズかよ。


「でも、ここでの会話は他には秘密ニャ!


魔王軍に漏れたら絶対邪魔をしにくるニャ!


なので、アルド君にも、出来るだけ目立って欲しくないニャ


可能であればソロで、使命を果たすぐらいの心意気が欲しいニャァ。」



おいおいなに、ハードルを上げにくる?


〈糞猫がぁ!!〉


と思っていたら、パパさんと、ママさんが、


「私達夫婦も、その案に賛成です。」


〈えっ?〉


っと、びっくりする俺に、パパさんは、


「私達が村から離れては、村の守り手が減ります。

主神様の神託にも有った通りに、私達も強く成らなければ守れないかも知れない。


それに、私達の息子ですよ、大丈夫に決まっています。

ね、ママ」


と、言ってママさんに話しをふると、ママさんも、


「はい、自由に世界を巡り、強くなりなさいアルド。


使命を果たすのですよ。」


と…


えっ?!


〈パパさん、ママさん信じてくれるのは、ありがたいが、

お宅のお子さん

鑑定とアイテムボックスと濾過

最後は料理のスキルしか在りませんよ?〉


俺が一番不安です。


それから、アルド君会議はメインメンバーだけで話し合いが行われた。



結果、旅立ちは2週間後

行商人達の馬車で辺境伯領の領都に行き、冒険者ギルドに入るのと、


大教会に行き神託を司教様に渡し教会のネットワークでミスティルに広めて貰う、


ソコから、俺はレベルを上げて強くなりダンジョンを目指す。


多人数では目立つし、派手な動きは厳禁


その他色々きまったが正直覚えられなかった。


もう帰って寝たい…。

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