第4話作用

頭が混乱する。

いつもなら今頃補導されている頃だ。

なのに今日はお茶や餅を飲食し今目の前に得体のしれない薬が置いてある。

僕  「薬...ですか?」

薬剤師「うん^^」

何故、急に薬が出されたのか分からない。

僕は至って健康だ。

家出はしているものの、それは病的なものでは無い。

薬剤師「今日はこれ飲んで、お家に帰りな^^」

ますます頭が可笑しくなりそうだ。

警察に突き出さないうえにこの得体の知れない薬を飲めだと?

普通の大人、いや今までの経験上こんな奴は居なかった。

しかもなんかニコニコしている。

恐る恐る聞いてみた。

僕  「あの、警察に連絡とかしないんですか?」

薬剤師「え?しないよ~^^」

この人は普通の大人じゃない。

そんな気がする。

いや、優しい人...なのか?

自分に疑問を投げかける。

少しの間沈黙が続いた。

しかし長くは続かず薬剤師の発言で沈黙が解かれた。

薬剤師「君の腕についてる痣。どこかにぶつけたの?^^」

急な質問に僕は黙り込んでしまった。

なんて答えたらいいんだ。

分からない。

今までそんな事聞かれたことすら無かった。

意図が分からない。

薬剤師「ん~^^」

目の前にいる奴は黙り込んだ僕を笑顔で見ている。

気味が悪くなってきた。

そもそもこの人は本当に薬剤師なのか?

白衣を身に纏っているから医療関係者なのは間違いないだろう。

首に掛けているネックストラップの名札は胸ポケットに収められているため名前は確認できない。

薬剤師「今日はもうお家に帰ろっか^^」

そう僕に語りかけてきた。

時計を見ると3時を回っていた。

まだ夜だ。

しかし、どうやらこのまま家に帰らせてくれるらしい。

少し安心したが、別に家に帰りたいわけではない。

ただ、何もせずに解放してくれるのが少し安心した。

薬剤師「あとそうそう、この薬早く飲んでよね^^」

忘れていた。この薬を飲まなきゃいけないのか。

僕  「な、なんの薬なんですか?」

薬剤師「教えな~い^^」

そんな奴いるか?

薬の作用も教えないで勧めてくる奴。

薬剤師「でも、飲めばきっと元気が出るよ!^^」

元気が出る薬....

おそらく精神系の類か。

16の頭で必死に考えた結論だ。

というかもっと具体的な作用を知りたい。

僕が言うのもあれだが、この薬剤師一般常識を大きく外れている気がする。

いや、外れている。

しかし、流石に法を侵した薬は出さないはずだ。

薬剤師「^^」

飲めば解放してくれる。

そう自分に言い聞かせ、お茶で薬を喉の奥に流し込んだ。

ごくり。

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