1-12. vs”間引き”の騎士
「くっせぇな、ここは。どうにかなんねぇのか?」
「そんなに文句言うなよ。任務さえ終わればあとはお楽しみだ。」
「わぁってるよ……しっかし、まさか隊長さんがやられるとはな。隊長の中じゃ弱い方だったらしいけど、俺らと比べたら、なぁ?」
「あの人、ガキとヤッてるところ見られたくなくて1人行動だったんだろ?ちっさい槍を使ってる間に一発貰ったんじゃね?」
「うははっ、笑える。」
騎士たちのふざけた会話、動き、そしてスキル『直感 』から彼らの実力を推測する。
合計30人ほどのうち”宝探し”はかなり上位だ。恐らく25人くらいは難なく殺せる。
”間引き”の騎士とはこんなに弱い存在だったのか?と疑問を抱くが、推定される最低レベルが20はある彼らは、確かにヴェンの住人にとって脅威だろう。
彼らが2、3人いれば、問題なくリーダー以外の徒党メンバーを殲滅できるはずだ。
ザクロたち徒党の頭とやり合うにはこの場にいるメンバーでは足りないだろうが、奴らは騎士と戦わない。そこまでの戦力は不要なのだろう。
そうやって考えている間に騎士たちは近づいてきていた。
既に指輪は外し、彼らが黒髪に背を向ける形になるよう地面に置いてある。
大きくなってきた足音はやがて止まると、”宝探し”が口を開く。
「ここですね。」
全員が、”宝探し”が指した方向へ目を向ける。
と、同時に、一つの影が飛び出した。
―――ガシャッ!!
肉と鎧が断ち切られる音。
他の騎士が振り返るまでに3人を斬る。
「て、敵襲!!」
「なんだと!?」
ヴェンの住人は反撃しない。今までの凝り固まった常識が崩れ、対応が遅れる。
まだ鞘から剣すら抜かれていなかった。
そしてその間も黒髪は敵を斬っていく。
半数以上が死に絶えたところで、ようやく騎士で1番強い男が前に出てきた。
「剣技――豪剣!!」
「ぐっ……!」
黒髪の頭に向かって叩き下ろされた剣の威力に、防いでいても思わず膝をつく。
だが耐え切った。
痺れていても、両腕は健在だ。
騎士が放った渾身の一撃はザクロより弱く、自分が耐えれる程度。
反撃を始めると、たちまち騎士は守りに入るしかなくなった。
「ふはっ、ふははっ!!!」
笑いが込み上げてくる。
今まで何度も苦渋を飲まされてきた。恐怖に震えるしかなかった。
あの騎士を殺す力を持っていることが、最高に気分を良くしている。
「ぬぅっ! くそ!くそォッ!!」
ヴェンという汚れた街に触れたくない騎士は、先程の黒髪のように地面に膝をついたり、壁に寄りかかったりはしない。
「ぐおッ!」
プライドの高さが戦術を狭める。足を綻ばせた騎士は汚れた街の物に掴まるわけにもいかず、そのまま尻もちをついた。
実力はほとんど互角だった男との戦い。そんな隙を見逃すはずもなく、慌てて立ち上がろうとした騎士の首を跳ね飛ばす。
これで騎士は全滅。あとは……
「”宝探し”は……逃げたか。」
スキル『逃げ足』は伊達じゃないわけだ。
殺すのが理想だったが、こうなってはどうしようもない。
”ヴェン”に騎士殺しを率先してやる者が現れたことは、彼女を通して伝わるだろう。
「少し急ぐか。」
――――――――――――――――――――
名前:
種族:人族Lv.23→30
HP:1,820/1,820
MP:1,304/1,304
物攻:244→390
魔攻:227→366
物防:187→319
体力:173→305
魔防:161→286
敏捷:215→344
スキル
殺奪 体術Lv.4 HP自動回復Lv.1 奇襲Lv.5
貴族Lv.4 平民Lv.4 下民Lv.5 夜目Lv.5 直感Lv.1
ゴミ漁りLv.4 寝溜めLv.2 気配隠しLv.2
無臭Lv.1 無音Lv.1 剣術Lv.5 剣技Lv.2 斧術Lv.1
槍術Lv.3 盾術Lv.2 棍術Lv.1 黒魔術Lv.1
身体強化Lv.2 逃げ足Lv.3 貴族作法Lv.3
――――――――――――――――――――
貴族という、平民や下民とは一線を画すパラメータ強化のスキル。
そして、騎士やリーダー達が持つ”技”の力。
強さを得た。ひとつ上のステージに立った。
これなら―――
「見つけたぜ、ガキ。」
―――この街を取れるだろう。
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