1-10. 高みにある技
「槍技―――刺突槍」
これまでとは比較にならない威力の刺突。
咄嗟に盾にした死体はそのまま貫かれ、槍の先端は黒髪の右肩を貫通させるに至った。
「ウッ……ぐぅ……!」
右腕がプランと千切れかけ、指先すらピクリとも動かせなくなる。
「知らねぇだろ?これは槍術だけじゃない……槍の攻撃力を格段に上げる、言っちまえば上位スキルを使ったんだ。この街じゃこれを使える人間は、俺を含め数人しかいねぇ。」
話しながらザクロは近づいてくる。
「見事なもんだ。お前は間違いなく、この街で6番目に強い。……間違いなく、そうなんだろうな。」
槍を振り上げる。
「だからお前じゃ無理なんだよ。死ね。」
そうして振り下ろす……瞬間だった。
――――ドォォォォォォンッ!!
今まさに勝敗が決するところへ何者かが落ちてきた。地面が揺れ、ザクロの手が止まる。
土煙の中には大男の影が見えた。
「血の匂いがするぞォォォォッ!!!」
「チッ、厄介なのが来たな。」
その姿はまるで獣。人と動物が合わさったような、見たことの無い歪な生き物。
「面白そうなことやってんじゃねぇか!なぁ、おい!俺とも遊んでくれよッ!!」
――――――――――――――――――――
名前:ガルト
種族:獣人族Lv.38
HP:2,272/2,272
MP:666/666
物攻:515
魔攻:0
物防:485
体力:318
魔防:333
敏捷:305
スキル
貴族Lv.2 平民Lv.4 下民Lv.5 夜目Lv.4
斧術Lv.6 斧技Lv.5 物理耐性Lv.3
体術Lv.4 身体強化Lv.5 威圧Lv.4 貴族作法Lv.1
――――――――――――――――――――
「…ッ!!」
直感的に理解する。この”ヴェン”において単身で最強なのはこの男だと。
現存する5つの徒党。その中の1つとされた、個にして群れの存在。
「ザクロォォォォッ!!」
「ちっ、邪魔すんじゃねぇよ!!」
ザクロは槍技を使っているようだが、ガルトの斧技はそれを正面から叩き潰している。
(あの突きを……)
何はともあれ、二人の意識はお互いに向いているようだ。
弱った身体に力を込め、この場から離れる。
「あぁくそっ!逃げられちまうじゃねぇか!ガルトてめぇ、何のつもりだよ!?」
「んん!?戦いに来たに決まってるだろう!」
激しい金属のぶつかり合いの音は遠ざかり、やがて聞こえなくなる。
右腕が完全に千切れてしまうことがないよう抑えながら、今は痛みに耐えて、治療に専念しなければならない。
ちぎれてしまっては次がない。
奴らは隻腕で戦える相手ではないのだから。
「……馬鹿すぎだろ。」
調子に乗っていた。
力を手に入れてからまだ1日も経っていないのに、街の”頭”達を取れると思った。
「次だ……次こそ………」
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