1-8. vs”アメンボ”
「何だてめぇ、ごら!」
「侵入者だ!」
「ぶっ殺せ!」
”アメンボ”の拠点に直接乗り込んでから間もなく。荒々しい歓迎に包まれる。
彼らも敵の存在には慣れているのだろう。奇襲である筈の侵入者に対する動揺は少ない。
指示を出す司令塔は奥にいるにしても、動きは個人の判断に委ねられるのに見事なものだ。
慣れた動きで黒髪を囲むと、手に持った武器で攻撃を始める。
しかし、3~4人の連携ならともかく、10人20人がぎゅうぎゅうになっている今の状況は、黒髪にとって脅威にはなり得ない。
「がっ!?」
攻撃は先手を取るに限る。大勢であることで生まれる隙を見逃さず最初の1人を殴り殺すと、手に持っていた剣を奪い取った。
「ぎゅぇっ!」
「あピャっ!?」
剣は 剣術Lv.2 のお陰でよく手に馴染む。
体術 が元々武器系統のスキルを補助する役目を持っていることも関係しているだろう。
剣を持った黒髪の実力は、それ以前の状態を大きく上回る。
「ば、化け物だ……!」
「ひ、ひぃ!?」
仲間の胴や首が宙を舞うのを見て、何人かに恐怖心が生まれた。
その恐怖は伝染し、隙は増えていく。
「うわぁ!!」
「に、逃げろ!!」
20人を殺した時には既に住民100人を殺した時よりずっと多い経験値を獲得し、身体能力もスキルも強化されていく。
そして”アメンボ”構成員のほとんどを殺し尽くしたところで、ようやく”敵”は現れた。
「ぐッ!!?」
直感に従った、咄嗟の剣での防御。
剣の向こう側から放たれた衝撃は防いだにも関わらず勢いを殺しきれず、黒髪の身体を後方へと吹き飛ばす。
「けほっ、けほっ……」
「おう? かなり本気で打ったんだけどなァ、死んでねぇのか。 ガキが。」
”アメンボ”の頭。このヴェンを占める5人のうちの1人。
「……ザクロ。」
――――――――――――――――――――
名前:ザクロ
種族:人族Lv.31
HP:876/876
MP:660/660
物攻:277
魔攻:123
物防:188
体力:226
魔防:130
敏捷:195
スキル
槍術Lv.5 槍技Lv.3 体術Lv.4 奇襲Lv.4
夜目Lv.4 平民Lv.2 下民Lv.4 剛腕Lv.3
威圧Lv.2
――――――――――――――――――――
対する黒髪のステータスは。
――――――――――――――――――――
名前:
種族:人族Lv.19→23
HP:876/876→1,042
MP:660/660→776
物攻:207→244
魔攻:194→227
物防:158→187
体力:144→173
魔防:136→161
敏捷:182→215
スキル
殺奪 体術Lv.3 HP自動回復Lv.1 奇襲Lv.5
平民Lv.3 下民Lv.5 夜目Lv.5 ゴミ漁りLv.4
寝溜めLv.2 気配隠しLv.2 無臭Lv.1 無音Lv.1
剣術Lv.3 斧術Lv.1 槍術Lv.2 棍術Lv.1
直感Lv.1 逃げ足Lv.3
――――――――――――――――――――
力を得てから初めて出会う格上の存在。
あの頃を思い出し一瞬足が竦むが、今の自分の力を信じることにした。
「死んで俺の餌になれ。」
「この残状じゃ、うちは解散だろうな……せめてお前だけは殺してやるよ。」
”ヴェン”の中では滅多に起こらない、上位者同士の戦いが始まった。
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