第9話
「皆さんにはこれをどうぞ」
三つの、カプセル、錠剤、粉薬。それぞれの。
「あれは!下剤だったんだ!」
初めて身体に入れたものが下剤だなんて、オレ、漏らしたくねえよ。デスは泣きそうになっている。
おれことホラーも肛門を引き締めてで多いながら、
「これはでかい、でかいなにかだ。デスよりまさかともしれない。でも、いまここで!」
みんなの前で漏らしたら!
「社会的な死ってなんだよ、就職できないとか、黒歴史のノートが見つかるとか、未成年の主張で割と即振られるとか、酒を飲んだら上からも下からも出すくらいやらかすとか、いっぱいあったじゃねえか!!」
「デス、おまえ、」
記憶が戻って?いや、単に可哀想なだけかもしれない。
「オレが死ぬよ」
デスが泣きながら漏らしそうになりながら告白してくる。
「待てよ、デス」
「ホラー、オレたち、けっこう、あ、やべ、うん、だいじょうぶ」
デスはだいじょうぶだった。
おれはちょっとパンツについてる。限界だ。デスの話だけ、最期に聞いておく。
「ホラー」
つけたばかりのオレの名を呼ぶ。
「オレ達は、同じかもしれない」
なにが。
「魂が」
デスもういい、もういいんだ、一緒に漏らそう。
「もしかしたら、きょうだいとかだったかもしれないし、一人の人間の魂が、人口増加によって別れたものかもしれない!」
デス!さよなら!
「限界だ」
どこかでなにかがにおいだす。
「冗談じゃないわ」
女性の声。
「わたし、知ってるんだから!」
いままで動けなかったけれど痛みと糞詰まりがおさまったのだろう。電車の車掌室へ向かう。
「あったわ!」駆け込む。
しばらくしてから、安心したような声がして、
鍵!鍵ー!と鍵のかかる音がする。
地方の電車には、お手洗いが備わっている。
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