第28話 日向ぼっこ×大切なおもちゃと

 ぼくは、お風呂が嫌いだ。

 毛が水浸しになると気持ち悪いし、重いし、すごくいやだ。

 でも月に一度はお風呂に入らないと、きたないし、病気になっちゃうかもしれないと、ご主人がいうので、しぶしぶ従っている。


「まだ乾かないよー」


 ぼくのおもちゃが、そんな水浸しにされたあとで吊り下げられている。

 ぼくがだっこされてる時みたいだ。ご主人の腕の中なので安心できるけれど、ぼくのおもちゃは何かよくわからない小さいものでつままれている。

 かわいそう……。

 はやくおろしてあげたほうがいいんじゃないかと、ご主人の顔を何度も見るけれど、ご主人はぼくのおもちゃと同じように吊るしていたお洋服を取り込んでいく。


「ふふ、まだ乾いてないって。別のおもちゃで遊んだら?」


 たしかに遊びたいけど、ちがう。かわいそうだから下ろしてあげたいの。

 飼い主が首を横に振るから、ぼくは待つことにしました。ひょっとしたら急に落ちてしまうかもしれないから、ちゃんとキャッチできる場所にしよう。


 土の上に寝転がると、このあいだより少しあたたかい。冬が終わって、春になったから、ちょこっとだけ生えてきた草も柔らかくて気持ちいい。

 おもちゃのすぐそばは、日差しがぽかぽかしている。

 お風呂のあと、ぼくもお外で日向ぼっこをしようってお外に出されるけど、もしかしたらおもちゃも今日向ぼっこをしているのかな。ぼくはぶるぶるできるけど、おもちゃはぶるぶるしないから、吊るされてるのかな。

 ぽやぽやと眠くなって、なんだかおなかもぽかぽかしたくなってきた。


 パシャ。

 ぼくがおなかを出して寝てると、ご主人がまた写真を撮ってた。楽しそうだからいいけど。尻尾がぱたぱた動くと、ご主人は嬉しそうに声を上げていた。

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