第27話 ただ見つめるだけの恋×ストーカー達

 彼と出会ったのは駅前のカフェ。一目で運命の出会いだとわかった。

 それから彼のシフトの日は毎日通っている。火曜、木曜、土日。注文するのはカフェラテ。私のために初々しくて爽やかな笑顔を向けてくれる。そんな日々が一カ月続いて、「いつものでいいですか?」と尋ねてきてくれた。

 私の事覚えてくれたのね、好き。

 ああ、今日は火曜日だから明日は会えないのね。でも仕方ない、明日は大学の必修授業があるんだもの。貴方の本分だから私は応援するわ。

 少し憂鬱を覚えながらカフェラテを飲みつつ帰宅する。

 彼のシフトは八時までだから、一人暮らしの部屋に帰宅するのは八時半。それまでにお風呂を済ませておかないと。この間、うっかり残業したせいで友達との電話を途中からしか聞き取れなかったもの。




 駅前のカフェからテイクアウトしたカフェラテを手に、彼女は帰宅していく。

 恋をしている相手と対面した彼女はほくほくと幸せそうな笑顔を浮かべている。ああ、とても素敵だ。その笑顔を引き出しているのが僕ではない事が悔しいけれど、それでも恋をしているきみは美しい。

 最近はスマホを持ったまま歩いていても、危ないと思われても盗撮しているとは思われにくくて助かる。画質もいいし、消音撮影もできる。

 今日はこのまま帰宅するのだろう。

 彼女はしっかり者だから、入浴後は浴室の換気扇を回して清潔に保っている。ああ早く向かわねば。外に流れてくるシャンプーの香りを堪能したい。

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る