第23話 ずっとずっと一緒だよ×ヤンデレ
帰宅途中に襲われて、芋虫にされた。
いや、比喩だよ? 比喩。魔法で芋虫にされてそこから這い上がって幸せになる物語とかだったなら良かったけど、ただロープでぐるぐる巻きにされているだけだ。
口は布を噛ませた上にガムテープでがっちりと止められて、後ろ手で手首も縛られて二の腕もがっちりと体に固定、縄抜け防止なのか脇の下も結ばれている。
足も同様だ。おかげで床に這いつくばって体をうねらせるしかできない。移動できる芋虫の方が有能かもしれない。
「あなたが悪いのよ。勝手にどこかに行こうとするから」
陰気な芳香を放つ女が、血色の良い唇を持ち上げてそう告げてくる。
あなたが悪い。そう詰められてもちっとも心当たりがない。誰だ? いや、声に聞き覚えはある。
確かお隣さんだっただろうか。いつも俯きがちでぼそぼそと挨拶するくらいしか接点はない。
勝手にどこかに行こうとするから。それに関しては少し心当たりある。来週引っ越し予定だった。多分それだと思われる。
……いや、何故この人に行動を制限されなければいけないのだろう。ちっとも納得が出来ない。
背が低い彼女の長い前髪くらいしか印象は残ってなかったけれど、床に倒れた状態で見上げると、なかなか美人だとわかる。
「これからはわたしがずっとお世話してあげるから、心配しなくていいからね」
甘く優しく囁かれた。嫌すぎる。
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