第18話 今度生まれ変わっても好きになる×双子

「双子って、心中したカップルの生まれ変わりなんだって」


「知ってる。あと畜生腹とか。何だって子供が産まれたらめでたい事なのに、同時に産まれたら不吉とか。なんでそんな言葉が出てくるんだろうね」


「そういうのが受け継がれてるのもよくわかんないよね。なんかされたのかな」


「しちゃったんじゃないの? 俺たちみたいに」


「ああ……お母さんたちびっくりしてたもんねぇ」


 生まれる前から一緒にいた同い年の弟と、初体験をしたのは中学の時である。

 ずっと一緒に暮らして、成長していき、知識を得て、行為に至るまで何の疑問も抱かなかった。元々仲良くするように育てられたし、当たり前のように唇を重ねて、身を寄せ合った。それが私たちにとって自然な事だった。

 だけど、世間的には不自然どころか間違いであると、理解もしていた。

 頑張って隠していたけれど、子供の私たちの隠し方では大人の目を欺き続けるのは不可能なこと。


 姉弟の関係を知った親は泣きながら悩んだ。

 悩んだ末に、弟のほうを外国の親戚と縁組させることに決めた。つまり、私たちを物理的に離す手段を選んだ。


「でも、なんだってカップルが双子になるんだろう? 一緒に死んだから?」


「自殺は罪らしいから、双子として生まれるから来世でも結ばれないって罰なんじゃない?」


「えぇー、あんまり意味なくない?」


「迷信だからなぁ。せめて前世の記憶があったらわかるけど、無いし」


「前世の記憶あったら、もっとたくさんキス出来たのに」


「確かに」


 マンションの屋上の下に広がる美しい夜景から同時に目を離し、笑いながら口付ける。


「今度はお兄ちゃんになっていっぱい甘やかしてね?」


「やだ。次もお姉ちゃんとして色々と面倒みてもらう」


「どっちになるか楽しみだね」


「どっちかになるのが確定なのはひどいな」


「あ、うさぎかハムスターでもいいな。そうしたら近親とかあるあるらしいし」


「それもいいな」


 そうして次の約束を取り付けて、抱き合いながら飛び降りる。私たちにとって、これは罰になんてならないの。

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