第14話 ハート型チョコレート×ホワイトデー
俺は以前より甚だ疑問に思っていたことがある。
何故、ホワイトデーのお返しの定番はマシュマロなのかと。
女子は甘いものを好む者が多い。
クラスメイトの女子が教室内でよく持ってきた菓子をシェアする光景はよく見る。俺も甘いものが好きだ。だから「おいしい」と声が聞こえると思わず見てしまう。
そんな中、女子がマシュマロを持ち込んでいるのを見た事がない。
だからこそ思う。チョコレートのお返しは、チョコレートでよいのではないかと。
しかし、全く同じものを渡すのはあまり良いとは思えない。まるで贈り物の返却をしているようになってしまう。不快にさせてしまうのは避けたい。
だが一つこだわりたい。
俺はハートのチョコをもらった。シンプルでありながら、気持ちのこもった大きなチョコレートに感動した。その感動を、そのまま、お返ししたい。
作るならば、ハート一択だ!!
ホワイトデーであるから、ホワイトチョコで作るのはどうだろう。
女子が好きだったクッキーを混ぜる、悪くない気がする。煎餅やキャンディやガムを入れるよりはいい。……いや、ガムは論外だな。一緒に食べると溶けると聞いたことがある。 味は試行錯誤を重ねれば、納得いくものに辿り着けるであろう。
「そうして出来たのがこれになる。先月は素晴らしいチョコレートと共に丁寧な告白をしてくれて、とても嬉しかった。君がくれた物と見合うかはわからないが、どうか、受け取ってほしい」
気合を入れて作ったハートのチョコレート、女子が喜びそうなラッピングをして彼女に手渡した。自分で言うのもなんだが、満足のいく傑作が出来た。
あとは彼女に喜んでもらえれば、というところで両手で受け取ったまま彼女が硬直して動かなくなった。何か間違えがあっただろうか。
「…………だ、だから、一ヶ月も、返事してこなかったの……?」
「ん? バレンタインの『返事を待っている』とは、ホワイトデーに返すものなのだろう?」
「そう聞くと、違わないような……ああぁぁ、なんだぁ、よかったぁぁ、全然返事くれないから、この一ヶ月気まずくてずっと喋れなかったもん……」
「そういえばそうだな。まぁ俺はこの一ヶ月、君の事ばかり考えていたから、ずっと一緒にいたような気持ちだったが!」
やはり顔を見て話すのはいいな! と言うと彼女の顔が真っ赤になってしまった。何か間違えがあっただろうか。
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