第5話 絶対泣かない×新郎両親
「ヴェッッッッッ…………」
「もう諦めて普通に泣いたら……?」
「ばっ、ばがやろゔ……! ぞんなみっどもねぇどご、みぜられっが……! お、おでぁ、ぢぢおやだぞッッッッ! 威厳ってもんが、あ゛、あんだよぉ!!」
「いや、鼻水だらだら垂らして威厳ゼロだよ。ほら新しい箱ティッシュよ」
会場からコンビニが近くにあって助かった。旦那に手渡すと早速鼻をかんで丸まったティッシュの山を積み始める。
しまった。ついいつもの癖で「袋入りません」って断ったけど、めちゃくちゃ必要だったわ。
「んグゥ、ありがとぅ…………ぞっぞうだぁ、ごればぜんぶ鼻水だぁ! 涙なんかじゃねぇぞ! 俺はやべぇ花粉症だがらなぁ! 涙を鼻から出してるわけじゃねぇぞぉ!」
「そりゃそうでしょ、そんな事出来ないもの」
「なんでだよッッッッ出来るがもじれねぇだろッッッッよく見ろッッッッて!! 鼻は耳と口とつながっでるんだがらッでぎるってぇッッッッ!!」
「はいはい、目も仲間入りしたのね。オーケーオーケー」
よくわからないが、旦那は新人類の扉を開いたらしい。
「まったく……。そういう反応は嫁がせる側の親族がするもんでしょうが。嫁いでもらってあまつさえ同居してもらう側が、今生の別れみたいに泣き喚いて……」
「泣いてないッッッッ」
「まー、どっちも小さな頃から知ってるし、成長して、結婚して……感慨深いわよねぇ」
「ヴェッッッッッ…………」
はい、一箱消えました。
荷物になるかもしれないと悩んだけど三箱セットを買ってきて正解だった。
もう一箱を旦那に差し出したところで気付く。このティッシュをまとめてたビニールをゴミ袋代わりにしよう。私は天才か。
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