第5話友人M君

友人M君は小学生の頃から中学生までイジメられていた。僕は、M君の友人でありながら傍観していた。

M君を庇えば、次は自分がやられる。

僕だって、机に油性マジックで落書きされたりしていた。

今なら、不良なんて関係ない。

しかし、当時は保身的だった。

M君は、お母さんが身体が弱くお父さんと農業を頑張って、畜産も手伝っていた。

苦労人なのだ。

だが、やることが周りとは、ずれていてよくケンカになった。

ケンカが始まると、周りがちょっかい出したりして、1対1のケンカから。1対15のイジメになっていった。


ケンカやイジメがあっても、僕とM君は一緒に自転車で帰った。

途中、菓子パンと缶コーヒーを買って、食べていた。

中年を卒業するとM君は農林高校に進み、農家の後を引き継いだ。

21歳で結婚、子供ができ、23歳で離婚。

凄まじい人生だ。

今、M君とは直接繋がってはいないが、弟の義父の農業仲間にM君がいる。

だから、M君がどうしているのか聴いている。

M君の事を考えていたら、夢で自分がイジメられる。

寝汗をべったりかいて目覚める。

僕はイジメを許さない。ただ、友人なのに庇えなかった自分を恥じる。

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H氏の隣人 羽弦トリス @September-0919

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