第3話弟

僕には2歳年下の弟がいる。

小さな頃は、弟を泣かせるのが日課だった。

その弟と魚釣りによく出掛けた。僕がどんどん沢の上流に登って行くと、弟は荷物を持って後を付いてきた。

あまりに、弟が遅いので下流に行くと弟が声を上げて泣いていた。

セーターに釣り針を何本も引っ掛けていた。

僕は1本、1本釣り針を取り荷物を持った。

そんな泣き虫の弟が成長すると、高校時代はサッカー部に所属していた。

僕よりもモテていた。

大学で実家を出る時、家族で僕を空港まで見送ってくれた。

あの時の写真がアルバムに挟んである。


大人になると、弟は彼女と4年ほど交際して32歳で結婚した。子供は2人。

町工場で整備士として働いていて、去年マイホームを持った。

あの泣き虫弟がここまで立派になるとは。

僕は4年間、地元に帰っていない。

今度、帰郷したら新居に泊めてもらおう。

短気な弟だが、2年間母親の面倒をして、一昨年前から僕が面倒をみるバトンを渡された。

今、一番、弟と酒を飲みたい。

頼もしい弟で僕は安心して、地元の親戚付き合いが出来る。

その弟家族が、来月2泊3日で名古屋に来る。

楽しみでならない。

昔の思い出話をしたいものだ。

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る