第16話 親睦会

「じゃあ始めますよ? いいですか?」


今日のコラボ配信は朝の時点で

トイッターで告知していたから

始まる前には既に同接6000人を

超えていた。

霧島さんがサムネを作ってくれたのも

あるかもしれない。


『待機~』

『オオカミン許せん』

『オオカミン夜道に気を付けな』

『そこ変われ』


無論、俺に対するコメントも

寄せられていた。

ネタだよね?


「みんなこんにちはー!

俺たちの声聞こえてる?」


「あら始まった?」


「問題ないみたいね」


一人で配信をするのとはまた違った

緊張がある。


特にこの綺麗なお姉さん二人に

挟まれてドギマギしてしまう。


「狼、貴方のチャンネルなんだから

貴方から自己紹介しなさい」


「あ、はい!

ブイライブ一期生のオオカミンです!

今日はよろしくお願いしまーす」


『ワンワンは?』

『ワンワンって言えよ』


う、うるさい!

俺の視聴者め余計なこと言うな。


「ねぇねぇオー君。

このリスナーさんが言ってる

ワンワンってなに?」


「あ、いや、これは俺の

リスナー専用の挨拶みたいなものなんで。

それよりマリアさんの番ですよ」


『さらっと嘘つくな』


「あらそうなの?

じゃあ......こほん。

皆さんこんばんは~

大好物は人の懺悔、そして皆のママの

マザー・マリアで~す。

今日は同期の皆といっぱい楽しみま~す」


『ママーーー!!!!』

『バブバブ』

『ミルクまだ?』


今日も日本は平和です。


「最後は我輩ね。

人類を全て我輩の僕にするべく

この世界にやってきたネオ・ヴァイヤよ。

と言っても、もうここにいる人間達は

皆我輩の僕のようだけど。そうよね?」


『勿論です!』

『今日からオオカ民族辞めて

僕になります』


「見損なったぞ!

直ぐ別のVtuberになびくな!」


相変わらず、この二人の

Vtuberとしてのセンスは凄い。


そんな他愛もない会話をした後、

ゲーム実況を始める前にまずは

お互いのことを深く知ろうと、

視聴者から事前に集めていた質問に

答えることにした。


「じゃあランダムに引いて

質問に答えていきます。

えーまず一つ目は......なになに......

オオカミンはどうて......はい次」


「何よ。ちゃんと読みなさいよ」


読めるかあんなもの。


「はい。この質問からね。

えー質問です。

皆さんの第一印象はどんなですか?

なるほど。これ俺から答えていいですか?」


「いいわよ」


「どうぞ」


「そうですね。マリアさんと初めて

会ったときは穏やかで凄く

優しそうな人でした。

ていっても、あまり今も

変わらないですけど」


「あら~そんなに褒めても

何もでないわよ?」


『ママとイチャイチャしやがって』

『オオカミン。どうなるか

分かってるよね?』


「で、ネオさんは......変な人」


「は?」


「じゃなくて、不思議なオーラを

出してる人だなって」


嘘です。本当は辛辣で変な人です。


「はい。じゃあ次マリアさんで」


「そうねぇ~オー君は礼儀正しくて

いい子だなぁって私は思ったよ?」


「マ、マリアさん......」


俺もママって呼ぼうかな。


「ネオンちゃんは初めて会ったときに、

あ! この人は何か他の人とは

違う人だなって思ったの。

なんと言うか......天才みたいな?

ネオンちゃんはきっと

凄いVtuberなんだろうなって。

実際そうだったものね?」


「な、何よマリア......」


え、照れてる。ちょっと頬が赤くなってる。


「ちなみに今ネオさんは

マリアさんの言葉にちょっと

顔が赤くなってます」


『オオカミンナイス!』

『ネオマリてぇてぇ』

『オオカミン。今日だけは褒めてやるわ』

『その一つの情報が俺の人生を

救ってくれたって自覚ある?』

『尊すぎて天に召されそう』


その代償としてネオさんに腕を

摘ままれました。


「いててててて。

はい、じゃあ最後ネオさんですよ」


「我輩? そうね......

狼は女慣れしてなさそうだった。以上」


「え、それだけ?」


『オオカミンドンマイ』

『女慣れしてなさそうなのは解釈一致』


「マリアは......マリアは......

優しそうな人だと思った」


めっちゃ恥ずかしそうに言うじゃん。

この人もしかしてツンデレなの?


「あら!? そうなの?

まぁまぁ嬉しい! ネオンちゃんに

そう思われてたなんて」


『あああああああ!!!

てぇてぇ!』

『てぇてぇすぎておらワクワクすっぞ!』


「ちなみにそのてぇてぇの間に

俺がいます」


『そこどけ』

『死刑』


「はい。じゃあ次の質問です。

皆さんの夢って何ですか?

夢か......俺は今後働かなくてもいいくらい

お金を稼げる有名なVtuberになることかな」


「それだけ? 貴方他に何かないの?

欲しいものとか」


「他か......他なら嫁さん作って子供が

生まれたら、農家になって子供の成長を

見届けながらのんびり過ごしたいな」


『まんま牧場ストーリーやんけw』

『オオカミンってほんとそういうの

好きよな』


「あらま~素敵ね。

私もそういうの憧れちゃう」


「まぁ悪くはないんじゃない」


「じゃあ次はネオさんで」


「我輩の夢は世界一のVtuberになること。

ただそれだけ」


「世界一のVtuber?」


「そう。登録者も同接も知名度も誰にも

負けないくらい超有名になるの」


「相変わらずプロ意識たけぇ」


「ほんとね。私たちもネオンちゃんのこと

見習わないと」


「別に見習わなくてもいいわよ。

貴方達は貴方達の道を進めばいいんだから。はい。最後はマリアよ」


「私の夢はね~」


それは突然だった。


いきなりマリアさんは

俺達の背後に回り込んで、

両腕で俺とネオさんを抱き締めたのだ。


「オー君とネオンちゃんと一緒に

おばあちゃんになっても

Vtuberをしていることかな~?」


「ちょ、ちょマリアさん!?」


「マリア!? 貴方何してるの!?」


狼狽する俺たちを余所に、

マリアさんは更に強く抱き締める。


「私ね、まだ二人と知り合って

全然時間は経ってないけど、

今日たくさん話して、遊んで、

同期のメンバーがこの二人で

よかった~って思ったの。

配信の仕方とか全然知らなくて

不安だったけど、裏で二人ともいっぱい

教えてくれた。

今日のサンドイッチもたぶんお昼ご飯

食べてたのに二人とも全部食べてくれた。

凄く優しくて、楽しくて、

頼りになる二人。

まだまだ未熟な私だけど、頑張って、

楽しんで皆と最高の思い出を

作っていきたいってそう思いました。

だから、これからよろしくね」


いつしか俺の狼狽は収まり、

マリアさんの言葉を聞き入ってしまった。


力の入っていたマリアさんの腕が

すーっと離れる。

振り向くとにっこりと微笑むマリアがいた。


俺は直ぐに気がついた。


「視聴者の皆さん。

今ネオさんがマリアさんに抱き締められて、

乙女の顔になってます!」


「お、狼!!!! 」


「あらあら」


その後めっちゃ摘ままれました。



────────────────────

ここまで読んでくださり、

ありがとうございます!


作者のモチベーションに繋がりますので、

面白いと思ってくれた方は、

是非とも【レビュー】【スター】【いいね】

の方をよろしくお願いします。


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