第13話 俺いらなくね?

ブイライブに対する注目度が

上がっていく中、いよいよあの

霧島さんの初配信が開始された。


『ワクワク!』

『見た目めっちゃ好き!』


見た目はリアルの派手な姿とは

打って変わって、黒いドレスと羽が生えた

赤髪隻眼のヴァンパイアとなっている。


「みんな聞こえてる?」


一瞬にして、コメント欄の空気が変わった。

数秒ほどピタリとコメントが止まり、


『やばあああああ!!!』

『え!? 声可愛すぎるだろ!!!』

『好みすぎるんだが!?』


怒涛の発狂コメントが流れていく。


「初めまして。

我輩の名前はネオ・ヴァイヤ。

人類を全て我輩の僕にするべく、

この世界にやってきたの。

今我輩の配信を見に来てる人間たち。

我輩の僕になってくれる?」


『なるなる!』

『ネオ様の僕にならせてください!』


す、すげぇ......この人一瞬で初配信を

見に来た視聴者を自分のものに

しやがった!


「そう。みんなありがとう。

じゃあ今日から皆のこと

僕って呼ぶわね?

それと簡単だけど僕たちに

我輩からプレゼントがあるの」


カチッとマウスの音と共に、

画面が暗くなった。


『え? なになに?』

『何か始まるの?』

『??』


次の瞬間、暗闇だった画面に

一筋の流れ星が流れた。


そして、


「悲しーみのあふーれた暗闇に~

一筋の光を見た~」


その美声は俺の心を鷲掴みにした。


あんな可愛い地声からは

想像できないほど、力強い歌声。

彼女が歌えば歌うほど心が震えた。


な、なんだこの歌声......

聞いていて心地がいい......

こんなのプロの歌手、

いやそれ以上じゃないか?


その歌に加えて、この流れ星を

必死に追っている女の子のアニメーション。

これってまさか自分で描いたのか?

それに歌も聞いたことがない。

もしかして、オリジナル曲?


「どうだった?我輩の歌」


『......凄すぎた笑』

『コメントするの忘れてたよww』

『ネオ様何者!?』

『トレンド入ってて草』

『チャンネル登録しちゃったんだけど』


「みんなに喜んでもらえてよかった。

頑張ってこの日のためにアニメも

描いた甲斐があったわ」


『え!? あれネオ様の自作!?』


「歌もね。僕に我輩のこと好きになって

もらいたくて」


いや、もうそんなこと言われたら

好きになるやろ。


案の定、視聴者たちはネオ様の虜と

なっていた。


しかも、歌やイラスト技術だけじゃない。

あのアニメーションはしっかりと

編集されていた。編集技術も半端ない。


この人、Vtuber経験あるって

言ってたけど、一体どんなVtuber

だったんだ?


それからネオは自己紹介やファンアートなどを決めて初配信を終えた。


最終的に同接は6500人。

登録者数は一日で1万人を超えた。


あ、あれ......なんか

三浦さんも霧島さんも

超スーパー新人じゃね?


後日、俺は自分の配信で、


「俺いらないじゃん......」


弱音を吐いていた。


『オオカミンにもいいとこあるよ!

直ぐには思い付かないけど』

『私もオオカミンの配信好きだよ。

他の同期に比べたら一般人だけど』


「褒めるのか、貶すのか、

どっちかにしてもらえる?

余計傷つくからさ」


『まぁあんな凄い人たちがいきなり

同期ってのは可哀想だけど、

そんなことより、あの二人と同期ってのが羨ましくて、ちっとも慰める気にはならない』

『許せねぇ......』


「許して......

けど、何だかんだ言って

俺の配信見に来てくれるじゃん」


同期のおかげなのか、

同接も2800人になっている。


『いじれるしな』

『オオカミンはまじで

優しい人なのが伝わってくるから、

見てて安心するのよね』

『私はオオカミンのこと

ほんとに好きよ?』


「俺もオオカ民族のこと好きだよ」


『うわきしょ』

『吐いた』

『ファンやめます』


なんでだよ......


────────────────────


「あら~そんなに顔赤くしてどうしたの?」


「ちょっとあんまり我輩に

近付かないでくれる?」


どうしてこうなった......


「い、いや......俺はさっきから

ここに座ってるだけなんですけど......」


「うそ!? 絶対我輩に体近付けてる!」


「二人だけでイチャイチャしてずるい~」


もう俺は頭がパンクしそうだった。


本日の配信は俺のチャンネルで行われた。


そして、配信タイトルは

『一期生 オフコラボ』

だった。



────────────────────

ここまで読んでくださり、

ありがとうございます!


作者のモチベーションに繋がりますので、

面白いと思ってくれた方は、

是非とも【レビュー】【スター】【いいね】

の方をよろしくお願いします。







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