本というもの
本との邂逅は多様である。けれども、私は決まって電子書籍では読まずに紙媒体で読む。
私にとって理想的な邂逅は、本屋で偶さかに見かけた本をそのままその本屋で買うことだ。そのために日々本屋に足を運ぶ訳で、実際のところ"意図的に"偶然を引き起こそうとしているのだ。
電子書籍の利点はわざわざ本屋に行く必要がないということが挙げられる。だが、私的にはそれが欠点だと考えている。
本屋には無数の物語が詰まっている。時が経てばある一つの物語は視認できなくなり、新しい物語が開始される。本とは知恵の総称であり、あらゆる知恵、物語に囲まれながら本を探す行為は何物にも変えられない。
そうした行為を伴わない電子書籍は魅力的に映らないのだ。勿論これは主観を多分に含んでおり、電子書籍やそれを読む人を否定する気は毛頭ない。
紙媒体が個人的に好きな理由はたくさんあるが、その一つは紙質が書籍によって違うことだ。
これは恐らく受験生時代の名残で、参考書学習が主だったため自然とそこに注目が行っている気がする。ツルツルしていたり固かったり、或いはザラザラしていたり。そこには筆者の工夫、故意的な髪質の選択があったりもするので、毎回楽しみの要素となっている。
また、購入して読むときの紙から物語が溢れていく浪漫を感じたり、読まないときでもその物語がそこにあるという本自体に役割があると感じる時もいい。紙であるからいいというふわっとした観念はあるが、ふとした存在感を放つ時、数多の本棚から手に取ってその人の知恵を感じる瞬間が、私にとって幸せなのだ。
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