転機?

猫の体になってから1週間と4日が過ぎた。


もうすっかり味覚や嗅覚は猫のものになったしこの体の使い方にも慣れてきた。

けれどたまにの私がいまどうなっているのかは気になる事がある。

それでも姉との同棲?生活はとても充実していて幸せだからあまり気にしては居ない。


 ただ...夜寝ているとき、姉はうなされることがある。しかもそのときに私の名前をつぶやきながら「ごめん」や「許して」という言葉がよく出てくる。

もし姉を苦しめる要因がの私だとしたら、そう思うと申し訳無さで胸がいっぱいになる。


そんなことを考えているともう姉さんを起こす時間だ。

「にゃぁぁぁぁ!!!」

「んっ、な、な、おはよ」

「にゃー!」

ここに来て一週間目くらいから姉さんを起こすのが日課になっている。

意外と朝は弱い姉は起こすといつもぽけーっとしていてとてもかわいい!

ただ本人はあまり良く思っていないため私が起こして少しでも目覚めを良くしようという建前で寝起きのご尊顔を独り占めしています。


そして朝食を済ませて姉さんの出社を見送ったら、姉さんが帰ってくるまでダラダラして、姉さんが帰ってきたらお出迎えをして、一緒に御飯を食べ、お風呂に入り、一緒に寝る。


これが今の生活で、何にも変えられない私の幸せ。 


だった。


今日は姉さんとの生活が始まって2週間記念日のお昼。

姉さんの仕事はお休みで一緒にソファーの上でテレビで映画を見ていた。


内容はよくある恋愛物語で交通事故で瀕死になったヒロインのために主人公の医者が頑張るお話だ。


ただその映画を見ている間の姉はどこか怯えているような、そんな気がした。


そして映画を見終わると姉は近くにあったクッションに顔をうずめていた。


「にゃ?」

「ごめんね、」


心配で声をかけるも突き放すように謝る姉に少しムカッとしてしまう。


「にゃああ!」

「!?なに!どうしたの?」

「にゃ!!」


姉を苦しめるなにかがあるのなら少しでも楽になるお手伝いをしたい、そう思い声を荒げる。

文字通り『猫の手』ではあるけれど...それでも支えたい。


「ふふっ、ありがとう。本当にあの子にそっくりね...。少しお話をしましょう。」


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