第8話 意図しない不正
1位 グラン・バルバルト 106個
1位 ミーナ・ルーベルク 106個
俺は目を疑った。
いや自分の脳の錯覚かと思い頭を疑った。
「いやいやいやそんなわけないだろ!」
目を瞑り瞑想をする。
大丈夫…これは非現実…俺はそもそも0個だぞ?
そんなやつがいきなり106個とかありえるわけがない!
落ち着け……落ち着け……
ゆっくりとあげればそこには現実が…
1位 グラン・バルバルト 106個
1位 ミーナ・ルーベルク 106個
「……………」
俺はミーナと目を合わせた。
お互い何が起こったかわけがわからず困惑しており無の境地に落ちいる……
わけがない!!
ちょちょちょちょっとまて!!
おかしい!絶対におかしい!
100パーセントおかしい!!
「……ミーナ…」
俺は震える声で言葉をかける。
するとミーナも震えながらこっちを見た。
「お前……屋上にくる前にいっぱい集めてたんだな…」
「……私貴方から取れなかったから0個なんだけど…」
ミーナは口元をガタガタさせながら言った。
そりゃ記憶にない点数がいきなり加算されるのはおかしい……
『えー諸君!本試験と筆記試験お疲れさま!君達は晴れて我が名門校帝国立魔術学園の生徒となる!』
高台の上から声を上げているのは無駄に堅いがいい女性教員…ノア・ルミナリエだ
『えー今回の結果を受けて上位40人ずつクラス分けされる!そして!』
ルミナリエがでかい声を上げながら俺とミーナを指を指す。
『今回の本試験の1位はなんと2人!!グラン・バルバルト君とミーナ・ルーベルク君だ!』
その声と共に周りの視線が一気に俺達に集まった。
憧れの視線、妬みの視線などさまざまだ。
「あわあわあわわわわわわわわ」
ミーナはアラームモードのように震えながら下
を向いていた。
「……とりあえず落ち着け…俺」
状況整理だ。
俺はこの試験でFクラスに行くためにわざとペンダントを集めなかった。
なのに俺達は106個ペンダントを獲得した事になっている……
うん、絶対おかしいね!
ルミナリエの方に視線を向けると俺に向かってウインクをした。
……あいつ絶対なんかやったわ
やばいこのままでは俺のハッピー学園生活が終わる!!
ただでさえ友達の作り方とかわからんのにいきなりこんなに目立つと誰も寄ってこねぇじゃねぇかぁぁぁ!!
くそっ!かくなる上は!
「すいません!質問があります!」
俺は手をまっすぐと挙げた。
『うん?どうしたバルバルト君』
「今回俺…じゃなくて僕はペンダントを一つも奪ってないです!なのでそれは取り消しになると思います!」
よし!これで俺はFクラス行き確定!
俺は心の中でガッツポーズをした。
まぁミーナも巻き込むが元の位置に戻るだけだし関係ないよね!
『ん?お前ルール説明しっかり聞いてなかっただろ?』
「ふえ?」
ルール?
ペンダントを奪う以外に何か大切なことを言ってたのか?
『教員を倒した場合、その教員が今まで集めていたペンダントが全て渡される…つまりお前達は私が持っていた212個を2人で山分けしたということだ!』
「ふぁ!?」
俺は驚きのあまり普段なら出ないような声が出てしまった。
……本当に聞いてなかった
しかもこの女教員300人中212人倒したってどんな怪物だよ…
周りから様々な声が聞こえる。
「すげーここの学園の教員めっちゃ強いのに」
「しかもルミナリエ先生、昔帝国の中尉だったから学園で1番強い人だよー」
「マジかよあいつら」
「あわあわあわわわわわ」
「あわあわあわわわわわ」
俺もミーナと一緒にアラームモードに入った。
もうあわあわ言うしかない。
というか元中尉なんて初めて聞いたんだけど!
俺は諦めた
『では昼から入校手続きを開始する、受験票は無くさないように!それでは解散!』
多くの人が散って行く。
悲しみを背負う者、喜びを背負う者
そして…
深い絶望を背負う者
俺である。
「マスターはやっぱり凄いです!!私なんて68個しか集められなかったんですから」
エキドナが目を星にして俺の両肩に手をのせる。
いやあんた方がすごいよ……
自分でもわけがわからないのでとりあえず今後を考えることにした。
「……とりあえず手続きだけして館に帰るか…
セレンが待っている」
「はい!」
エキドナが満面スマイルでそう言うと俺はミーナを見た。
「……また入学式で……」
「…………ね」
俺とミーナは驚きを通り越して疲れておりほぼ元気がない。
こうして俺とエキドナは会場を後にした。
………なんか疲れた
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