第4話 バトルロワイヤル

帝国立魔法学園

最難関の本試験の内容はバトルロワイヤル

旧校舎に集まった300人のうち30人が合格

俺は前から渡された青いペンダンドを身につける。


『各受験者はこれを首につけてください、このペンダントは簡単に外れるようになっております。なので自分のペンダントの防衛、また相手のペンダントを奪い最後まで生き残った50人が本試験クリアです。それでは10分後にスタートです。』


細かいルールその前に説明があった。

魔法、魔術ありで剣もあり

軽傷の怪我は許容されるが骨折などの重症化はだめらしい。

そこはしっかり学園側は監視カメラで見ており

1グループ中30人が本試験クリアとなる。

ま、その後に筆記試験あるんだが…


俺は廃墟寸前の旧校舎の階段を上がって行く。

パルクールには軍学校時代で強制的にやらされたおかげで5階まである階段もなんなく登って行く。


「……なるほど流石実力主義の学校だな」


俺は屋上までつくと辺りを見回す。

全速力で来たのでまだ誰もいない。


「……それにしても軽く走ってたおかげか全く息切れする気配がないな」


こんなところで成果が出るのは癪だがまぁいい

グランドにはすでに奪い合いが勃発しており魔法や魔術などの爆発音が聞こえる。


俺の作戦はもちろん最後まで逃げ切り勝ち


……ズルいと思うか?これが世の中を生きて行くための上手い立ち回り方だ!


というかこの試験そもそも時間制限がない上に現状が把握しづらい。

だから俺は体力を温存するために最低でも今は戦いたくないが……


「ん?」


俺がグランドを見るとそこには杖や剣を持った受験生が多くいる。


…………あ


これ武器持ち込み可じゃねぇか……

なんでだよ!武器持ち込み不可って書いてあったぞ!


俺は祈りながら服のポケットや裾を探す


「頼む!なんかあってくれ!!」


お!


俺はポケットに固い反応がありそれを持ち上げると……


「………銅貨……2枚…」


投げて武器として使う?

いやいや流石に魔術で防御してくる。

じゃあ渡して命乞いをする?

………銅貨2枚

大体その辺のパン屋でパンが一個買える程度である


「……せめて銀貨ならまだ……」


そんなことを考えていると………


「!」


階段を上がってくる音がする……

ゆっくりとしかし一段ずつ確実に


「………」


周り隠れる所はない

逆方向の階段から逃げるか?

いや……今後戦闘がないとも限らない…

ならここで潰す


俺は構え階段の方を見るとそこには…


「はぁ……はぁ…はぁ…あれ!グランさんじゃないですか!」


「………ミーナ」


ピンクの少し長い髪、その特徴は間違いなく本試験開始前に出会ったミーナだった。


「……グランさんも……なんとか生き残ったんですね」


「あーお前もな」


まぁずっと屋上にいただけだが…

ミーナは肩で息をしておりどうやらここまで来るまでに色々あった様子


「……ここまで逃げ切るの結構大変でした……階段きつすぎます……」


確かに逃げながらだと5階ある階段はキツすぎるかもしれない。


「どうだ敵のペンダントは奪えたか?」


「いえ…まだです……もっと頑張らないと…」


そう言うと肩を落としながらミーナはこちらに近づいてくる。


「まぁここは休憩場所にしては丁度いいかもな敵が中々こないし」


「えぇ……本当に……少し休憩をします」


俺はミーナを背にグランドを眺める。


大体数は減ってきたな……あと残り数十人といったところか

しかし数はここからだと大体しか把握できない

まだ屋内に俺みたいに潜伏しているやつがいるかもしれない……



この時俺は隙だらけだった。

背後からゆっくりと近づいくる”敵”の存在に…


「……それにしてもあと何人残ってるいのでしょうか?」


ミーナが一歩一歩着実にこちらに近づきながら言う。


「さぁな、あと数十人程度じゃないか?試験が終わるのも時間の問題か、敵が屋上にこないからまだいいけど……」


「…えぇ本当に……敵が来ないといいですね」




 ミーナはゆっくりと手を伸ばすその手は俺の首元に……

そして………




「気づかないと思ったか?」


「え?」


俺はミーナの腕を掴んだ。

それもその逆方向を見ながら

屋上に響く杖が落ちた音

ミーナはびっくりしたのか固まったまま杖を落とした。


「息遣いがわざとらしい……本当に疲れている演技をするのなら心拍数にも気をつけろ」


「……………」


ミーナは固まったまま動かない。

それもそのはず俺はさっきまで丸腰で隙を作りまくっていた。

そう……わざと作り相手から攻撃を仕掛けさせた。


俺が暗殺を警戒しないわけないだろ


それも素人の真似事が軍人に勝てるわけがない


「………やっぱり強いのね」


言葉違いもわざとらしい敬語から直る。


「……最初にコンタクトをとったのはこのためか」


「……そう」


「相手が悪かったな」


こいつは俺のことを知らずにこういう演技をした。

本当に運が悪いやつだ


ミーナは目を瞑り肩の力を抜いた

恐らく諦めたのだろう。

俺はミーナの首元にゆっくり手を伸ばす

そしてペンダントに触れると……


「え?」


「なーんてな」


俺はペンダントが外れないようにゆっくりと手を離し掴んでいた腕も離す。


「………どうして」


ミーナは泣きそうな目をしながら俺を見る。

当然だ、こいつはもうすでに諦めていたからな


「受験戦争なら当たり前だ、よかったな失敗例が俺で」


「……また騙すかもしれない」


「別に殺すわけじゃないんだ、勝負の世界では恨みっこなしだ」



俺は軽い口調で言う。


まぁ俺の場合落ちたら殺されるんだけど……


実際に俺は受験生に手を出すつもりはない

こいつらが今まで沢山の努力をしていたのは知っている。

ならここで脱落させるのはあまりにも哀れだ

それに最初に出会った人なら尚更


「というわけでいつでも俺に攻撃して来い、相手になる」


俺がそういうとミーナは首を横に振る。


「……いいえ、貴方に勝てる気がしない…大人しく撤退するわ」


「そうか、頑張れよ」


「………うん」


ミーナは床に落ちた杖を拾う

そして一礼をし


「ありがと……」

「伏せろ」

「え?」


俺はミーナの頭を掴み低い体勢を取る。

そしてミーナが何かを言おうと口を開けた瞬間


ドガーーーン


階段に設置されたドアが破壊され吹き飛ぶ

辺り一面は瓦礫だらけになり砂煙が舞った。


「一体これは……」


「チッ……思った通りじゃねぇか」


砂煙の中から人影が見える。

煙がひくとその正体が現れになった。


「おーおー!青春してんじゃねぇか」


「………貴方は!監督官のルミナリエ先生」


その正体はルール説明の時でかい声で威圧していた女性教員ノア・ルミナリエだった。


「はっ!全く若い子は盛んでいいねぇ」

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