第2話 試験

帝国立魔法学園、500年以上の歴史があり数ある魔法学校の中でも最難関の試験と優秀な学生が多く集まる学校だ。

特に歴史に名を残した魔術師や魔導士はほとんどがここの卒業であることから魔術才能と知恵を求めこの学校にやってくる。

今日は本試験日

昨日の魔法試験を乗り越え選抜された優秀な学生達が一同に集う。

学園の校庭に集められた学生達

ここが今日の本試験の会場だ

ここにいる子供達は皆最難関の魔法試験を乗り越えた自信とこれから明かされる試験内容の緊張感の2つの感情が入り乱れ皆顔がこわばっているはずなのだが


ここに場違いな奴が一人


「………帰りたい」


この俺グラン・ゼルリアスはルーカス大佐の命令によりこの学園の試験を受けることになった

……正直気が乗らないのである


だっておかしいだろ!!

なんだよ任務って!任務って何だよ!!

あのくそジジイ騙しやがって……


まぁ任務じゃなくても気は乗らないが


「マスター一緒に頑張りましょう!そしたら夢の学園生活……」


エキドナがキラキラとした笑顔で俺に声をかけてくる。


なんでこいつはこんなに乗り気なんだよ…


周りを見ると皆緊張している。

というか俺も緊張感を持たなければならない

何故なら今回の本試験は任務の為絶対に受からないといけない。

もしも落ちるようなことがあれば俺の首がその辺に転がることになるだろう。


これは冗談ではない、マジです


『えーこれより本試験の説明をします』


俺が色々な考え事をしている間に校庭の真ん中に位置する台に教師らしき格好をした老人が立つ。

すると今までガヤガヤとしていた会場は一斉に静かになる。


……流石だな


俺は学生達の咄嗟の行動に関心した。

皆真面目に老人の話を聞く体制になっている


『えーではルミナリエ先生、説明を』


すると老人と位置を交換するかのように強気な女性教員が前に出てくる。


……威圧感すげーな


『あ、あ、聞こえているか私は帝国立魔法学園の教師、ノア・ルミナリエだ!今日は本試験の監督官として君達の活躍を見たいと思っているよろしく頼む!』


めっちゃ強そう……

絶対あの人自分が試験に参加して受験者を落とすタイプの教師だ……


『君達は魔法試験において素晴らしい成績を収めたらからここにいる、そこは充分に理解できている』


女教師がそういうと少しだけ受験者達の表情が明るくなった。

しかしその表情すぐに消え失せることになった。


『だが、今日の試験は別だ!昨日の試験に受かった者が受かるとは限らない、実際に昨年は魔法試験で受かった受験者の大半がここで落とされた、肝に銘じておくように!!」


「………頑張りましょマスター!」


小さな声でエキドナが俺に囁く。

確かに本試験も魔法試験も多くの受験者が落とされている。


俺もベストを尽くすか


『さて試験の内容なんだがまずは皆自分の受験番号があるはずだそれを見てくれ』


俺はポケットから小さい紙切れを出す。

その紙には『506』と書かれていた。

これはルーカス大佐からもらった書類に挟んでいた物なんだが…


くそジジイ!これが受験票だって先に言っとけよ!危うく忘れるところだったわ!


エキドナの受験票を覗くと番号は『507』となっていた。

どうやら連番で受験しているらしい


『今回はその番号が偶数の人と奇数の人に分かれてもらう』


「マスターとは一緒じゃないですね…」


エキドナが寂しそうに言った。


「まぁお互い頑張ろうな」


「はい!」


『えーではその今回試験内容なんだが…』


会場に緊張が走る。

俺も息を呑んだ。


最難関の試験一体どんな内容なんだ……


『それは………



ドキドキ!!バトルロワイヤルだ!』



      は?


俺は女教師が言葉に耳を疑う。


???


なんだその知性のカケラも感じない名前は!!


「おいエキドナこれは一体……」


「マスター!バトルロワイヤルですって!違うグループですが頑張りましょう!」


「いやそこじゃなくて……」


「絶対に勝つ…… マスターとの学園生活の邪魔はさせない


「なんか言ったか?」


「いいえ何にもっ!」


エキドナのこういう狂気が混じった笑顔の時は大体碌なことを考えていない。

今までの経験から俺は知っていた。

まぁ今の問題はそれじゃない。


『えーまずは偶数奇数でわかれてもらった所からさらに4つのグループに別れる、計8グループ作られるはずだ!一つグループの内上位30人がこの試験の合格者とある質問あるか!』


女教師は勢いに任せて説明を終わらせた。

まだ大切なところの説明がないような…

すると周りから


     「予習していた通りだ」

「今日の為に剣術を訓練していてよかったぜ」


え、これってもしかして予習とかしないと行けない奴なの!?

マジで何にもやってないんだけど……


俺は自分の首を抑える。


やばいやばい、落ちたら吹っ飛ぶ落ちたら吹っ飛ぶ。


『とりあえず細かい説明はその担当官から説明を受けてくれ、以上!各自番号の位置に着くように、解散!!』


すると集まっていた受験者達は散り散りになり所定の位置に行き始めた。


「じゃあマスター!また後で!」


「お、おう」


エキドナは満面の笑みで手を振ると校舎の方へ歩いて行った。


「やばい…とりあえず俺も行かなきゃ」


そうか最近の学生は受験に命を賭けているというが……


まさにこの事か!!

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