夕暮れ

@ryuuuuusa

夕暮れ

夕暮れ浴びるアスファルトの上、照らされた家々を見ていた。

なんにもない、ただ何も無い空き地に、家を見ていた。

隣を通り過ぎていく車の、僅かな郷愁に髪がなびいた。

木々を揺らしていた風は、今も同じなのだろうか。

僕には知る術も無いが、風に遊ばれるチェーン店の旗には、どうにもそんな疑問が浮かぶ。

「あの頃の大人たちは、こんな気持ちも、その答えも、知っていたのかな…」

子供の頃の、大きな夢を思い出した。

そんな大きな夢も、家と、車と、思い出と、同じように風化していった。


よく通った喫茶店は、知らない事務所になっていた。

よく遊んだ草むらは、コンビニになっていた。

よくみんなで来た駄菓子屋は、小洒落た家になっていた。

知らない間に、沢山のものが変わっていった。

沢山のものが消えていった。


思い出の中の神社は、もっと怖かったし、思い出の中の学校は、あんなに大きかった。

変わっていないはずなのに、どうしてこんなにも、変わってしまったんだろう。

わかっていた。

本当はわかっていた。


夕暮れ沈むアスファルトの上、照らされていく窓を見ていた。

なんにもない、ただ何も無い毎日に、空を見た。

隣を通り過ぎた車の、僅かな憂鬱に髪がなびいた。

日々に揺らされた思い出は、今も同じなのだろうか。

僕には知る術は無かった。

風に運ばれる空気に、どうにも懐かしい眼差しを見た。

子供の頃の、大きな夢を思い出した。


きっとこれからも、何度もこんな気持ちになる事があって、その先の新しい風を、知らない風をひとつ持って、進んでいくんだろう。



ちょっとだけ、遠くを見た。

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