第35話 宇宙からの侵略



 宇宙人や宇宙船、または隕石など、宇宙からの現象に地球が侵略され、それに抗おうとする——そういう映画って多いですよね。すごく壮大なスペースオペラから、なんかちゃっちいB級C級映画まで。


 スペースオペラで一番有名なのは、言わずと知れたスターウォーズですかね。ここ数年のやつはほんとスゴイ迫力がありますからね。ただ、初期のやつって、わりとチャチかったんですよ。まわりがスゴイ、スゴイとさわいでたけど、子ども心に「あんな作り物くさいやつのどこがいいんだ? 仮面ライダーのほうがよっぽど面白い」と思ってた。妙にリアリストで冷めた子どもだった。(←笑うとこです。)最近のクオリティで初期から作られてたら、それはもうのめりこむように見てたかもしれません。最近のやつで本編に関係なさそうな外伝的なやつは一、二話見て、面白いと思ったので。


 ミラ・ジョボビッチが赤毛の美女役やってた『フィフス・エレメント』も面白かったですね。ただ、宇宙で一番の美女……かどうかは置いといて。まあ、美女だけど、宇宙一かねぇ? と、そこが妙に気になった。金髪碧眼フェチのかーくんとしては、見ためが好みじゃなかったんだと思う。バイオハザードのときのミラジョボのほうがよかったな。


 火星基地に一人だけとりのこされた宇宙飛行士の話『オデッセイ』とか。あれはすごくリアルな展開で、じっさいに火星で一人になったら……っていうSFらしい映画。派手さはないけど良作。


 あと、古代のファラオの俳優がすごい美少年だったんだよなぁ。あれなんだっけと思って、『映画、宇宙人、古代エジプト』で検索すると、出てきたのが『スターゲイト』だった。たぶん、コレ。謎の石板を調査していると、古代ファラオがじつは宇宙人で……とかいうやつ。これも面白かったです。ファラオ役少年のファラオっぽさがすごくよかった。古代エジプトの神秘性を見事に具現化。これはたまたま縁あって二、三回は見た。


 ところで、今回ご紹介するのは、やっぱりマニアックなやつです。そしていつもどおり、タイトル思いだせません。古くてチープなB級映画。


 すごく古いんで、CGがね。もう笑っちゃう感じ。演出もシュールにならざるを得ない。このストーリー、ちゃんとお金かけて作れば、それなりの映画になるだろうに。


 舞台がアメリカ地方都市だった気がするので、たぶんだけど、アメリカ映画。まあ、2000年代じゃないだろうなぁ。1970とか1980年代だと思う。


 その地方では昔からよくUFOが目撃されていた。いつものことなので、むしろ村の人はUFOごときではなんとも思わない。けど、今から十二年前。何かが起こった。真夜中、村の上空いっぱいを覆うような巨大なUFOが現れ、真昼のような光で照らしたのだ。ただ、そのとき、多くの村人は気を失っただけで、気がついたときにはUFOは消えてしまっていた。なので、とくに問題はなかったと村人は思った。なかには光のなかで宇宙人っぽいものを見たとか、宇宙人にさらわれたとか主張する人も少しいたものの……。


 さて、それから十二年後。村ではとつぜんのベビーラッシュ。ふだんはめったに子どもも生まれない寒村なのに、なぜか同じ月、同じ日に24人の赤ちゃん誕生。しかも、きっちり男女12人ずつ。もしかしたら、20人で10人ずつだったかな? 16人の8人ずつとか。とにかく、2で割りきれる数だった。これには、わけがある。


 さて、このときの子どもたちの母親の一人が主役。名前忘れたので、かりにアンナとしときましょう。生まれた息子はピーターってことに。

 アンナは夫と離婚して? いや、なんか身におぼえのない子だったかな? とにかく、シングルマザーでピーターを育てる。でも、息子のことはとても愛していた。

 だけど、この子どもたち、何かがおかしい。いつも無表情で、親が話しかけても返事もしないし、ほかの誰とも打ちとけようとしない。いっしょに生まれた子どもたち同士でだけ、意味不明な言葉で話し、その会話もほんの短く、ふだんは無言なのに一糸乱れぬ統率のとれた行動をとり、いつも二列縦隊で移動。まるで軍隊のよう。


 何かがおかしいと思いつつも、アンナはピーターを可愛がる。ところがあるとき、その子どもたちのなかの一人が病気かなんかで死んでしまう。いつも、ピーターのとなりで歩いていた女の子だ。


 それからというもの、ピーターはしだいに母アンナの言葉に反応し始める。アンナは不思議に思いつつも喜び、より愛情深く育てる。そのとき、ピーターは八歳くらいだったけど、まるで赤ん坊のようで、初めてアンナに気づいたみたい。じょじょに、ピーターは自分たちについて話してくれるようになった。

「僕たちは二人で一対なんだ」「生まれたときから対の相手が決まってるんだよ」「一人は不完全だから、二人で対になることで完全な存在になるんだ」「大人になったとき、対の相手と結婚する。それ以外の相手では補えない」「残念だけど、僕には対の相手がいなくなっちゃったから、もう完全体になれないんだ」

 果ては「僕らは遠いところから来たんだ」「空のむこう。遠いところ」「でも、僕は対の相手がいなくなったから、もう『声』が聞こえない」「仲間たちが僕はもういらないって言うんだ。もう仲間じゃないって」とか、「僕たちが大人になったら、人間たちは終わりなんだ」とか言いだす。


 つまり、わかりやすく言うと、この子どもたちは、UFOが村を覆った日に宇宙人によって作られた子どもであり、カッコウの托卵のように地球人に育てさせ、大人になったらその星を侵略する戦闘員にする予定なのだ。


 それに気づいたアンナはなんとか阻止するために、子どもたちの弱点をピーターから聞きだそうとする。たしか、もうすぐ宇宙人の親が迎えに来るんだったか、成人の儀式があるんだったか。で、その夜に学校に集まることになってるというので、そこへむかうアンナ。アンナのほかにも新聞記者かなんかで、この事態の真相に近づいている人がいた。その人と協力して、どうにかこうにか、UFOを爆発させ、怒り狂った子どもたちを弱点で退治することに成功。なんか、ものすごく「ええー?」って思う、しょうもない弱点だった気がする。水にぬれると溶けるとか、もうそのレベルの。

 ラスト、愛する息子ピーターだけを助手席に乗せ、炎上する学校から、からくも逃げだすアンナたち……the end。


 これ、ストーリーだけ見たら、そこそこ面白いと思いませんか? けど、映像で見ると、すごくチープで陳腐だったんですよ。ラストの学校での対決とかも、「ええー?」っていう。

 たしか、小説が原作だった気がするんですけどねぇ。すごく古いSF小説。

 けどまあ、思い出には残ってるので、それなりに楽しい映画でした。どこかで見かけたかたはご覧ください。


 ところで、これに似た内容……というか、さほど似てはないけど、ネットで「ヒデェ映画」として、話題になったらしいのが、嵐の相葉くんが主演のホラー映画『それのいる森』だったかなぁ?

 じつは、僕はこれの予告編をCMで見たときに、「あ、ヤバイなぁ。僕が書きたかったあのネタと、もしかしてかぶってるんじゃないか?」って思ったんですよね。日本の山地で人喰い熊による被害……じつは、っていう。文緒のなかでもショートストーリーで書いてるし、その後、青蘭でもリライトした。それを長編にしたいなぁと、かねてから思ってて。でも、ネットで調べて見たら、似てるのは最初のシチュエーションだけだった。山地で人喰い熊ってとこだけ。相葉くんのやつは、その後の展開がとんでもなく、ホラーっちゅうよりギャグとすら批判されてたので、あんまり気にすることもないのかなと思ったり。たしかに、あらすじ読んだだけでも「なんじゃコリャ」と思いました。

 それも宇宙からの侵略物ではありますね。僕は見てないですが。


 うん。今日のエピソードのなかで一番のお勧めは『スターゲイト』かな?

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