第37話 クローズドサークルからの脱出2



 はいはい。続きですよ〜


 途中で、なんでこのメンバーが集められたかとか、誰がこんなことをしたのかなどの考察もあったと思う。たしか、二手にわかれる前に女の人が「ダメよ。別れちゃ。ここにいるメンバーが全員、力をあわせないと逃げだせないのよ。そういう意図がこめられているわ」とか言ってた気がする。その手前くらいの部屋で、誰かの特技がドアをあけるために役立ったはず。


 それを無視して自分たちだけで行ってしまう若い男たち。しかたなく、残された三人でさきへ進む。もしかしたら、少女もこっちについてきてて、四人だったかも。力の弱いメンバーだけが残された。年配の女性は編み物が得意で、編み針かなんかを持ってたはず。これがのちに役に立つんだよね。毛糸をほどいてなんとかするんだったか。仕掛けじたいは忘れたけど。ひと部屋ごとに、課題みたいなのがあって、次の部屋への番号やヒントがどこかにあるんだけど、それを手に入れるために高いところへのぼったり、重いものをどかしたり、アレコレしないといけない。おばさんの道具がこれに使えたときがあった。あれ? このおばあちゃんキャラはもしかして、船からの脱出の映画だったか? あれも面白かった。大人になってからリメイク版でもう一回見た。『ポセイドン・アドベンチャー』というやつらしい。クリスマスツリー倒して橋にしたり、配管の上歩いたりね。


 ところで、二手にわかれた直後。とつぜん、部屋ごと大きくゆれる。まるで部屋じたいがなげだされて回転でもしたかのように。ちょうど長い鉄骨をのぼってる最中だった若い男二人は悲鳴をあげて転落。主役たちもその悲鳴は聞いて……みたいな展開だったと思う。


 脱出に近いと思ったほうがリタイアしたりと、油断できないハラハラ感。

 安全に進んでいたメンバーのなかにも足を怪我して残していかざるを得ない人が出てきたり。


 そして、二手にわかれた直後くらいに、暗証番号のヒントがどうしても見つからなくなる。

「もうダメだ。ここまでか」

 すると、例の少年が

「〇〇〇〇〇だよ」と数字を言う。

「えっ? なんだって?」

「最初が〇〇だったから、次は〇〇〇、その次は〇〇〇〇。だから、ここは〇〇〇〇〇」


 なんと、じつは暗証番号には法則があって、素数かなんかを使った計算になってた。じつは少年はただの発達障害ではなく、今でいうサヴァン症候群。精神年齢は低いけど、計算機なしで難しい暗算が一瞬でできるという特技の持ちぬし。彼がいなければ、ここからさきは脱出できなかったのだ。


 で、少年の暗算能力で順調に進んでいくんだけど、するとまたあの奇妙なゆれ。そのあと進んだ部屋は、なんと、前に来たことのある部屋だった。なぜ戻ってきたのか?

 じつは、この建物の部屋は一時間ごとにシャッフルされて、位置がバラバラに動くようになっていた。(ひと部屋ごとに番号がふられている。たしか地図を持ってて、出口のある部屋の番号はわかってる)ただし、ランダムなシャッフルではなく法則性があるので、それを考慮すると、現在の出口の位置は計算できる。


「シャッフルされる前の一時間以内に出口まで行かないと、出口の位置が変わったら、ルートがリセットされてしまうんだ!」


 絶望的になるメンバー。一人、また一人と脱落していく。このころにはおばあちゃんいなかったかも。最後のほうは、主役、少年、少女の三人だったかなぁ? で、少女もついに脱落して、少年と二人に。ちなみにシャッフルされたせいで、前にはぐれたメンバーと再会したりもしてた。若い男のうち一方かな? 落下したけど、しぶとく生きてた。もしかしたら、少女とはここで再会したのかも?


 絶望的になったあと、このあたりでシャッフルに法則があるとわかったような気がする。

「一時間に一回、部屋がそれぞれ右回転左回転したら、夜明けの何時には出口の位置は……ここだ! Aの11(てきとう。詳細は記憶にない)に来る! 一時間でここまで行けないなら、次のシャッフルで回転するのを待って、逆方向のドアからAの11に行けばいい!」みたいな。


 回転を利用して出口へたどりつく方法を試みる。

 最後にたどりついた部屋は、なんと、最初に閉じこめられていた部屋だった。最初の部屋でおとなしく待っていれば、数時間後には出口が勝手にシャッフルされて現れたのだ。ただし、そこで待ってた人はいなくなってたので、途中の回転にまきこまれて死んだのかな? うん。たしか、天地逆転したときに落下して死んでた。


 しかもこの法則がわかったものの、そのときには主役も大怪我をしてたかなんかで、もう出口まではたどりつけなかった。最後に残った少年に、「いいかい? 何時になったらこのドアの鍵を計算であけるんだ。そうすれば外へ出られる。君だけでも行ってくれ」と言い残して別れる。あるいは息絶える。

 ラスト、ただ一人、明るい朝の景色のなかへ出ていく少年——


 という、なかなかに見どころの多い映画でした。すごく子どものころに一回見たきりなのに、わりと鮮明におぼえてるし、ラストシーンがやけに印象的だった。誰がなんのためにそんなことしたのか、けっきょく謎だったけど。途中で、政府が実験のために作ったなんとかかんとかって言ってた気もする。


 この映画を子どものころに見たのは、僕のなかで確実に大きな肥やしになっている。デスゲームとか、クローズドサークルのミステリーを書きたいと思うのは、この映画のせいかも。

 たぶん、今見ても充分、面白いと思います。どなたかタイトル知ってたら、マジで教えてほしい。


 さて、僕の記憶に残ってる作品はだいたいこのくらいで網羅できたかなぁと思います。ほかにも忘れてるだけで、なんかの拍子に思いだす映画もあるんだろうけど。

 次回、最終回だけど、それはミニ版と同じ内容なので、実質は今日で終わり。ミニ版はそのうち非公開にするときに、こっちでそのエピソード公開にします。

(ちなみに、ミニはこちら。今のところは、ミニでしか読めない。https://kakuyomu.jp/works/16817330667804660679


 僕は流行りものをわざとさける傾向があるので、大流行した映画にかぎって見てなかったり、近年になってテレビ放映でやっと見たりもあるんですよ。タイタニックとか。やっぱりヒット作にはそれだけの理由がありますね。抜群に面白い。

 でも、さほどヒットしなかったマニアックな映画にも、それはそれでよさがある。記憶の底でゆれるそれら。ふだんは意識の暗闇にまどろんでいて、ふとしたはずみで、すっと目の前に立ちのぼってくる。美しかったり、おぞましかったり、笑えたり。人生の糧であることは間違いない。


 みなさんも映画ライフ、楽しんでくださいね。

(と言いつつ、何か思いだして書きたくなったりして。その場合は完結設定のまま、ひそかに更新するかもです)

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