第24話 AMONデビルマン黙示録



 こちら、正確には映画ではありません。OVAですね。ネットで調べると、2000年5月24日に発売されたそうです。


 このエッセイのなかでは、あえて邦画や誰でも知る有名な映画、とくにアニメ作品などについては書かないようにしてました。

 あはは、うふふと楽しめる作品と、記憶の底にたゆたう作品は何か違うなぁと思うので。


 なので、迷ったんですが、そういえば、かなり芸術性も高かったし(暴力性もめっちゃ高かった)日本アニメで誰もが知ってるビッグタイトルだけど、これは書いてもいいかなと。これもまた、おっそろしくダークな作品ですが。

 これと、ベルセルク三部作の第三部がどっちがより残酷かなぁ? ってくらい、鬱です。これとベルセルクは確実に今の僕の創作に影を響かせてます。はい、影響ですね。血まみれの作品を書くときの役に立ってるかな?


 前に紹介した『クロウ飛翔伝説』がこの系統。そのアニメ版ですね。


 さて、作品の内容は……。

 原作マンガの設定を基盤にしつつ、オリジナルのストーリーで進みます。


 古いアニメ版の設定は、ほとんどのかたがご存じかと。不動明は魔界の悪魔。だけど、人間の少女、牧村美樹に心惹かれ、仲間を裏切り、人間のために戦う……的な。以上、かなーりザックリしたアニメ版デビルマンでした。


 原作マンガには飛鳥了という明の親友がいて、コイツがわりとストーリーの肝になる人物です。白人と日本人のハーフなので美少年。

 じつは、こいつ、男の見ためをしてるけど、両性具有なんです。女性として明を愛している。途中まで本人も自分が両性具有と気づいてない。


 今回のOVAでは、この設定が活かされてました。

 とにかく、ビックリするぐらい暴力的なので、そういうのが見れない人はさけたほうがいいです。


 この世界ではすでに悪魔が人間界に攻めこんでいて、秩序は半壊してる感じから始まります。自警団が作られ、人間のなかにひそむ悪魔狩りが横行している。弱者はただひたすら、なぐられ、殺される。


 どういう展開だったかちょっと忘れたんですが(毎度のごとく、ネットでかるく調べはするものの、あらすじはほぼ読まない。読むと思い出ではなくなってしまうから)、明は冒頭まだ人間です。なんか、この話のなかでは父親? みたいな博士がいて、変な実験に使われてたような?


 実験の場面がさきだったのか、あとだったのか忘れましたが、まず最初に印象的だったのは、バーみたいなところで、明が難癖つけられて、ただひたすら、なぐられ続ける場面。もうボッコボコです。正直、死ぬよ……レベル。相手は人間。

 そのときの描写がスゴイ。どうスゴイかって、暴力表現でしかないのに、人間ってこんなとき、こうなるのかもなぁっていう心理面が見えるとこですよね。

 最初は恐れ、痛みに泣き叫び、そのうち意識がとんで、しまいにゲラゲラ笑いだす。なぐられながら笑うんです。狂ったみたいに。

 この場面見て、ふるえがつきました。こんなの、僕にはまだ表現できてない……。


 で、そのとき? そのあと? うーん、そのときだったかなぁ? テレビ放映されてる最中に、明は恐怖のあまり、デビルマンの本性に覚醒してしまいます。これが、アモンという悪魔。タイトルのAMONですね。これはネットでちょろっと読んだ。


 で、さっきまでなぐってた連中を今度は大虐殺ですよ。立場逆転。この作品、基本、残酷な場面しかない。とにかく、画面がつねに血であふれてるイメージ。


(ちょっとpixivで『cry baby』について読んでたら、どうもバーのようだと僕が記憶してたのはサバトだったみたい。明がなぐられてる最中に悪魔が出現して、殺戮が始まったようだ)


 さて、同居人の明が悪魔だとバレてしまったため、牧村家に自警団が押し入ります。ここからまた、残酷場面。ここもスゴイ。殺人がリアルすぎる。ああ、人間って死ぬとき、こうなるのかもね……っていう描写がね。


 ほかの家族がどうなったかよく覚えてないんだけど、美樹が殺されるとこは目にこびりついてる。

 家に押し入ってきた男たちにひきずりだされ、杭みたいなものを胸に刺されるんですが、壁にシルエットが写ったり、刺された瞬間に足がバタバタ、けいれんするんですよね。血が噴水のようにふきだすし。リアル。とにかくリアル……。


 ちなみに、2017年くらいから、Netflixのみで配信されてる『デビルマンcrybaby』というやつも、ストーリーとか、残虐さとか、これに近い出来みたいですね。残念ながら絵柄が今風になってしまってる。うーん、やっぱりデビルマンは永井豪さんの絵じゃないとデビルマンじゃない。ただ、ヒロインの濡れ場がなんとかかんとかとpixivに書いてあったので、殺されるときにやられちゃうんじゃないか? それか、明とですかねぇ? 原作やアニメがコンプライアンス的理由で描ききれなかった部分としてあげられてたから、たぶん、やられた。こっちも見てみたいなぁ。全十話。


 アモンのほうでは、短いこともあり、エロはいっさいない。残酷なだけ。


 牧村家に帰ってきた明だが、美樹はすでにバラバラにされ、生首を串刺しにされていた。ちなみにまだ小学生くらいの弟も同じときに自警団に追いまわされて惨殺されてたはず。


 怒り狂い、悲しみに沈む明。

 えーと、このあと、どうなっていくんだったかなぁ?

 自警団に復讐?

 細かいとこはよく覚えてないですが、デーモン軍団との戦いになっていく。そのへんも壮絶。悪魔対悪魔だから、人間同士とは戦いかたが違う。

 その途上で、自分の正体に気づき、デーモン族側の王になった飛鳥了と再会。最終戦前の話しあいののち、決別。次に会うのは、どちらかが死ぬときだ。じゃあな——みたいな。


 そこで終わりでした。

 絵も原作に近く、残酷描写は多かったけど、最後の別れの場面とか、決戦への決意とか、二人の立場の違いとか、失ったものへの悲しみとかが、ギュッとつまっていて切ない後味になってました。うん。僕が好きなラスト。


 原作を知ってるからこその後味だったのかもしれません。デビルマン、昔のアニメでは最後どうなってたかわからないんですが、原作では、デーモン族との戦いのすえ、明は死ぬんですよ。主役が死ぬラスト。体半分にちぎれて洋上に浮いてる。人類の命運も明が一人でしょってたので、当然、滅亡。悲しいけど、なんかやりきった感もある、ギューッとなるこの感じ。


 それがわかっているだけに、決別の場面での終わり「ああ、このあと、明は……」というのを匂わせて物悲しかったです。

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