第4話 ガタカ



 SF映画には傑作がたくさんありますね。僕が好きなのは、スターウォーズとかじゃなく、もっと本格的なSFですが。


 ガタカはタイトルが短かったのでおぼえてた。しかも、この映画は二回見たし。テレビでw

 基本的にほかの映画は一度ずつしか見ていません。だから、あんまり覚えてない。内容もうろおぼえのとこがあって、細かいとこは違うだろうし、ストーリーについても、僕が薄れた記憶を勝手に脚色してる可能性もある。


 ガタカはアメリカの映画。ネットで調べると監督や出演者の名前もわかりました。アンドリュー・ニコル監督だそうです。ヒューゴー賞とか、いろいろ賞もとってますね。


 個人の評価が遺伝子によって決まってしまう世界。優秀な遺伝子を持つ人間だけが優遇され、評価の低い人間はいい仕事につくことができない。


 主役は一般的な家庭に生まれた兄。ただし、先天的に心臓が弱く(手術するほどではない)、遺伝子評価は低い。対するに、弟は優秀遺伝子。いい教育を受け、いい職業につくことが約束されている。


 序盤、しばしば出てくるのは遠泳の場面。優秀な弟に負けて、何度も悔しい思いをする。今日こそは勝つと決心したものの、ムリをしすぎて溺れてしまった。そんな思い出。遺伝的に劣る自分は、どうやっても、あの弟に勝てない……。


 だが、主役には夢があった。宇宙飛行士になるという夢だ。劣性遺伝子の彼は絶対になれない職業なのだけれど。


 大人になった主役(イーサン・ホーク)は、家を出て、夢を叶えるために行動する。ふつうに試験を受けても、遺伝子評価で落とされるだけだ。クリアするためには、評価をごまかさなければならない。


 そこで、主役は今で言う闇サイトのようなもので、優秀な遺伝子を持ちながら、そのIDを売りたい人物を探す。そして、見つけたのが、A(ジュード・ロウ)だ。


 Aは優秀な親から生まれ、将来エリートになることを嘱望されていた人物だ。姿がよく、身長も高く、丈夫な心臓と高い運動能力、頭脳を持ち、完璧な経歴の持ちぬし。だが、事故がもとで下半身麻痺になってしまった。現在は車椅子生活。両足はまったく動かない。治る見込みもない。プライドの高いAはそんな自分がゆるせない。自分の名前を他人に貸してでも、優秀な職業につき、成功したと世間にアピールしたい。


 どんな手を使ってでも夢を叶えたい主役と利害が一致。二人はAの豪邸で同居し、二人一役として暮らすことになる。主役は表向きAとして宇宙飛行士の養成所の試験を受け、見事、合格する。


 その養成所の職員として働く女性Bに惹かれる主役。しだいに打ちとけていく。

 だが、ほんとの身分がバレてはいけない主役には、日常のいろんな場面でアクシデントが待ち受けている。心臓の弱い彼には負担の強い過度な運動で、測定器に警告されたり、彼が留守中の自宅(Aの豪邸)に、とつぜん、Bがたずねてきて、Aと鉢合わせしそうになったり。


 このときのジュード・ロウの演技が迫真だった。彼女がチャイムを鳴らす。職員として何かを届けに来たはずなので、「いないの? 入るわよ」と、やや強引。


 一人で食事かなんかしてたAは彼女が入ってくる前に車椅子に乗って隠れなければならない。動かない足を腕で持ちあげ、椅子からおりる。ころぶ。腕の力だけで車椅子にはいあがり……ドキドキの場面だった。


 なんとか急場をしのぐものの、親密になっていくBに隠しとおすことができず、彼女は主役が本物のAではないと気づいてしまった。


 そのころ、いよいよ宇宙船に乗ることが決まった主役。「行かないで。だって、あなたはほんとは〇〇(主役の本名)なんでしょ? あなたの心臓は宇宙船の発射時のGに耐えられない。死んでしまうわ」というBに、「命をかける価値があるんだ。このために僕は生まれてきた」と言いきり、宇宙へ飛びたつ決意を示す。


 彼を死なせたくない彼女の口から、Aの秘密がバレることを恐れたんだったかなぁ? 周辺に疑われてる感触があったんだったか?


 バレるのか、バレないのか、このへんもハラハラしながら、ロケットに乗りこむ主役のようすを見守っていた記憶がある。


 主役の心臓は耐えられるのか? もしかして死ぬんじゃないか?


 その間、Aは自身の名前が自身につながる可能性のあるすべての証拠を、自宅の焼却炉で燃やし、最後に自分も永久の眠りにつく。自分の存在を主役に完全に任せて逝けることに満足しながら。


 同時進行で発射するロケット。打ちあげは成功した。主役はついに宇宙へとびだした。


 ラストシーンは主役のモノローグがナレーションで入っていた。

 夢は叶う的なことを言い、幼いころ、弟と泳いだ海で、つい最近、競争し勝利——というところで終わっていたように思う。


 こういうタイトルおぼえてる映画は、ネットで調べれば、ちゃんとしたストーリーもわかるんだけど、それを丸写しするんじゃ、これを書く意味がないので。


 僕の記憶のなかでは、こういうストーリーとして残ってる、という形。


 二話めに書いた『お父さんは革命家』のお話とは逆に、ガタカは出だし、暗かった。この話、ずっと弟に勝てないんじゃないかな? 犯罪に手を染めて身分を偽って、どんどん悪いほうへころがっていくんじゃないか? という、クライムサスペンスのような展開をしていきながら、最後は急にすべての呪縛から解き放たれ、明るい宇宙空間、青い地球、きらめく海——そんなイメージでキラキラと終わる。


 運命を自分の力で切りひらく。努力の崇高さを教えてくれる作品です。

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