第5話 ルームシェアは突然に
「えっ、じゃあさっちゃん、私とルームシェアしない?」
「ヤミ子と二人暮らし……ってこと?」
夏休みが始まり、久々にヤミ子の実家に遊びに行っていた私は彼女からの提案に驚いていた。
タイミングの問題からヤミ子には下宿を始める計画についてこれまで話せておらず今日になってようやく打ち明けたのだが、彼女は話を聞いた瞬間に驚くべき提案を口にしたのだった。
「私もそろそろ下宿したかったんだけど、家賃は月7万円が限度だって親に言われたからワンルームマンションしかないと思ってたんだよね。でもさっちゃんとルームシェアすれば家賃月12万とか13万でも問題ないでしょ?」
「確かに、そうすれば広いマンションにも住めそうだけど。……でも一緒に暮らすって話したらヤミ子のご両親は変に思わない?」
「全然大丈夫、私もうさっちゃんと付き合ってるの親にも弟にも話してあるから。別に誰も反対してないし」
「そ、そうなんだ……」
コロナ禍が始まってからは2人でどこかに遊びに行くのは感染予防上も世間体的にも難しくお互いの実家でデートすることが多くなっていたけど、ヤミ子の家族にはただの友達という態度で通していた。
私たちがヤミ子の実家でそういうことをする時はご両親と弟さんは事前に外出してくれていたけど、あれはヤミ子が何か理由を付けて追い出していたのではなくご家族も全てを把握した上での配慮だったらしい。
それからはとんとん拍子で話が進んでお互いの親同士による話し合いの結果、私とヤミ子は大学近くのマンションで同棲することになった。
家賃は管理費込みで月12万円~14万円の範囲内で物件を探して、家賃・水道代・光熱費・通信料などはお互いの実家が
家賃が半額で済むおかげで大学近くのワンルームでないマンションに下宿できることはもちろん嬉しかったけど、私はそれ以上に大学生のうちからヤミ子と同棲できることに至上の喜びを感じていた。
物件のリサーチから見学、そして契約に入居といった各種手続きは夏休みの間に全て完了し、私とヤミ子は8月下旬からの試験期間の少し前までに現在住んでいるマンションで一緒に暮らせるようになっていた。
お互い下宿生活は人生で初めてで最初のうちは家事やごみ出しなど戸惑うことも多かったけど、日常生活で何かトラブルがあっても二人で支え合えるのはルームシェアの利点だった。
付き合いが長いので同居を始めてからヤミ子との関係に問題が生じることもなく、私は最愛の人と二人で暮らす幸せな生活を満喫していた。
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