240 気分は最高のカラオケ
それから2人で最高の回転寿司を味わい、4000円分ほど食べてから僕らはホテルに戻ることになった。
腹ごなしも兼ねてホテルまでの15分ほどの道のりを再び歩き、もうすぐホテルが見えてくるという所で、
「……!!」
壬生川さんは何かに気づいて今治街道の向かい側を見つめ、僕もそちらに視線をやった。
「何かあったの?」
「あのビル、英語でカラオケって……」
彼女の視線の先にあったのは「COMIC」「BILLIARDS」「DARTS」そして「KARAOKE」といった横文字の大きな看板が掲示された巨大ビルで、6階建てぐらいに見えるそのビルに壬生川さんは興味を惹かれていた。
「あのビル行ったことないけど、もしかするとカラオケがあるのかも!! まだ19時前だし行ってみていい?」
「うん、全然いいよ。どんな感じなんだろう……」
確かに今すぐホテルに帰るには早い時間帯だったので僕はありがとう! と嬉しそうに答えた壬生川さんに付いていった。
そのビルは今治街道沿いに昨年できたばかりの複合娯楽施設「ジラフス」で、ゲームセンターがない点を除いては全国展開されているチェーン店の「スクエア・ワン」とよく似た施設だった。
漫画喫茶やビリヤード、ダーツにカラオケボックスといった様々な娯楽施設が入っておりクリスマスだけあって店内には若いカップル客の姿が多かった。
「ご来店頂きありがとうございます。当店は会員制となっておりまして、会員証は1人200円でお作りできます」
「2人分お願いします! カラオケの機種って何があります?」
「ライジングDとサウンドホープのそれぞれ最新機種が入っております。今はどちらも
「じゃあ、ライジングDの最新機種で!!」
壬生川さんは恐るべきハイテンションで2人分の会員証を発行して貰い、それから2人でドリンクバーで飲み物を取ると1階の部屋に入った。
「ジラフス」の無料ドリンクバーコーナーでは飲み物だけでなくスムージーやソフトクリーム、ポップコーンに各種スープといった様々な食べ物を取っていけるようになっており、これほどサービスの良い店は都会には中々ないと思われた。
それから2人でソフトクリームやポップコーンを部屋まで持っていき、回転寿司で一杯のはずのお腹でデザートを食べてカラオケを楽しみつつ今ここに至っていた。
「そろそろ22時だけど、ホテル帰る?」
「そうね、明日も7時には起きたいし。このお店すごく気に入ったからまた行きたいわ」
僕と行きたいという意味だろうと好意的に解釈しつつ僕は利用料を払うと壬生川さんと一緒にビルを出た。
「ジラフス」のカラオケルームは時間を決めて利用するのではなく滞在した時間に応じてお金を支払うシステムだが、あれほどサービスが良いのに30分の利用料は100円と怖ろしいほど安かった。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます