第9話

 使用人から器を借りてさっそく裏庭にきた。ポーションを作るというとコップのような器を借してもらった。

 とりあえず井戸から水を器に入れる。5歳児の体だが魔力の影響か前世と比べると成長が早い。それに無属性の身体強化もあって楽に水を汲めた。


 さて、準備ができたところでポーションのレシピを見てみる。

 最初のほうには傷を癒す治療ポーションや使ったら傷が治り続ける再生ポーション、病気や状態異常を治す快気ポーションが載っていた。

 状態異常を起こす毒ポーション、麻痺ポーションがあった。しかも治療ポーションが効かない出血ポーションがあった。これで傷を負うと快気ポーションを使ってからでないと治せないようだ。

 次々とみていくとなんと若返りポーションがあった!


「え!!!」


 思わず大声をあげてしまったがしょうがない。こんなあっけなく不老の夢がかなえられるなんて。と思ったら肌が若返ったように見えたり動けるようになるポーションだった。ぬか喜びだった。

 でも若返るというのも一つの手だ。本当に若返りポーションを目指すのも一つの手なのかもしれない。


 続きを見ていこう。えっと避妊するポーションに精力増強ポーション、感度増幅ポーション……見なかったことにしよう。

 しばらくめくっていくとようやく大人向けポーションから変わった。子供に見せるか普通。まあたぶん忘れてたんだろうな。


 ここからが力を上げるポーション、固くなるポーションなどの一時的に強くなるポーション類だ。効果時間はだいたい相性が悪くても1時間と続くようだ。

 相性なんてあるのか。読んでいくと魔力量が少ない人ほど硬化時間が長くなるようだ。


 そうしてお待ちかねの永続的に強くなるポーションだ。といってもダンジョン産のとは比べるべくもないほど劣化しているうえに、陰属性の人にしか効果が無い。陽属性だと分類上は毒薬になるため勝手にレジストしてしまう。

 しかも材料は貴重だ。今のところ大樹の周りでしか育てることができないため、1日1本しか作れない。

 そして何よりも不味い。もうひたすら不味い、吐いたら効果がなくなる上飲むことでしか効果が無いみたいだ。

 混ぜ物をすると効果がなくなるのでしないようにとも書かれていた。怖いけど一先ず作ってみよう。


 ちなみに『ビター・ドリンク』が作られた理由はこれを飲むためになれるように作ったらしい。




 できた。作り方は簡単でどれも『薬液抽出』の魔法を使うだけで、できるようだ。まあ抽出する順番を間違えたりすると効果がなくなるのと、これ用に調整した植物だからという理由もある。


「……黒いな」


 色はブラックコーヒーよりも黒いと思う。ちなみに量は少ない、一口分より少ないくらいだと思う。

 さて、


「覚悟を決めるか」


 そうして飲んでみた。

 まず初めにきたのは甘く感じた。次に酸っぱい、苦い、辛いといろいろな味覚が混ざり合ってきた。

 貴族生活で舌が肥えている(植物魔法や生物魔法によって品種改良が進んで食べ物がかなり美味しい)せいもあって普通なら吐くだろう。だが前世を持っている僕なら!


「うえ……」


 無理、だめ、吐きそう


 そのまま1時間近く吐き気をこらえた。結果だけでいうなら吐かなかったとだけ言っておこう。

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