第2話
「はぁ、はぁ、はぁ、朝か……」
ベッドからぐっしょりと濡れた体を起こして周りを見てみる。そこには見慣れたはずなのに見慣れない僕の部屋があった。
前世の記憶をしっかりと思い出すことができたからか、見慣れない感覚がある。
「これからどうしよう」
前世の記憶を思い出すことができたがこれをどうするか。両親に打ち明けるかそれとも秘匿するか。
「秘匿したほうがいいか」
もしも教えて悪魔がついてるとか言われて殺されたら嫌だ。
「―――あんな思いはもう嫌だ」
あの少しづつ削られていくような感覚はもうしたくない。
コンコンコンッ
「お坊ちゃま、失礼します。もう起きてらっしゃいましたか」
「うん、起きてるよ」
どうやらメイドが起こしにきたようだ。そしてそのまま着替えさせられていく。ぼろを出さないように恥ずかしがらないようにしないと……
そのあと、両親と会話をしながら食事をしたら、本を読むために書斎に引っ込む。前の僕もこういう風にしていたから違和感はないはずだ。
メイドが一人ついてくるが問題ない。流石に三歳児を一人にはできないのだろう。
「何の本読もうかな?」
絵本の類は読んだんだよな。やっぱりここは前世との決定的な違い、魔法について書かれている本を読もうかな。そうと決まれば幼児向けの本を抜き取って読んでみた。
「ふむふむ」
要約すれば、生まれつき使える魔法の属性が決まってる、魔法を使うには魔力がいる、魔力は修練などで増えることが長ったらしく書かれている。
「お坊ちゃまそろそろお昼です」
「わかった」
どうやらお昼のようだ。僕が使える属性は何なのかわからなかったがそれは両親に聞いてみればわかるか。
そんな訳で昼食を食べ終わった後両親に聞いてみた。
「ねえ、僕ってどんな魔法が使えるの?」
「どうしたのいきなり?」
「いや、さっき魔法の本読んでみてどんな属性の魔法を使えるのかなって……」
「レイフォンも魔法に興味が湧く年になったか。私達の一族は草木に関する属性の魔法を使うのだ」
「あ、知ってる。絵本に出てきた人が使ってた魔法だ」
「うむ、実はその人は私達の祖先なのだ」
「へえ、そうなんだ! すごいね!」
絵本では確か邪悪な王を倒すっていうお話だったはず。実在したかもしれないのか。
「お父さん、僕魔法使いたい!」
「む、しかし」
「いいではないですか、あなた。それにレイフォンなら大丈夫でしょう」
「そうか? そうだな。レイフォン、むやみに魔法を使わないって約束できるか?」
「うん、できるよ!」
「そうか。では魔法について詳しい本を渡すから待っていなさい」
そういってお父さんは席を立った。
「いいレイフォン魔法は危険なの。制御を誤れば自分を傷つけるから注意して使うようにね」
「うん」
「ほらこの本だ、レイフォン」
お母さんから魔法についての注意を聞いている間に戻ってきたお父さんから本を受け取った。
「意外と薄いんだね」
「魔法を使うだけなら意外と少ないんだよ。それと魔法を使うなら裏庭を使いなさい」
「わかった!」
そう言って僕は裏庭に向かった。
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