第4話 宿泊学習
とある怪談系YouTuberさんが
「少年自然の家には必ず心霊話がある!」
と言っている動画を見たので、今回は私がとある少年自然の家で体験した話。
どの学校も1〜2泊する宿泊学習があるんではないかと思う。
宿泊施設については学校それぞれで違うと思うが、私が通っていた学校は少年自然の家での1泊2日の宿泊学習だった。
ウォークラリーやカヌー体験、肝試しなど、いつもは夕方5時でバイバイする友達と1日中一緒にいれる嬉しさを感じながら宿泊学習のプログラムを楽しんでいた。
宿泊する部屋は一クラス全員が同室で、大きな2段ベッドが通路を挟んで左右にある感じの造りの部屋だった。
その大きな2段ベッドに布団を並べて上の段に女子が、下の段に男子が寝るようになっていて、上の段には150cmの身長でも胸の高さくらいまでの高めの柵があり、立ち上がっても安全に作られていた。
その出来事や次の日の予定についてワイワイ話しているとあっという間に消灯期間。
消灯後もヒソヒソ話を続けていたが、慣れないことへの疲労が大きく比較的早くみんな眠りについてしまった。
疲れていたはずなのに夜中に何故か目が覚めた。
「今何時だろう」と半身を起こし対面のベッドに目をやると誰かが立っていた。
「誰だろう?何やってるんだろう?」
宿泊学習のしおりを熟読して、クラスメイトの寝る位置を全て記憶していた私は端から布団の中で眠る頭を確認していった。
おかしい。
みんな布団の中で眠っている。
今度は反対側から確認する。
やっぱり全員眠ってる。
あれは誰?
暗い部屋の中、顔を確認しようと対面のベッドを見つめていると、違和感に気づく。
とても長いウェーブがかっているのか乱れているのか分からないその髪が、閉め切った風のない室内でなびいている。
そもそも腰の辺りまで髪の長いクラスメイトはいない。
その人は両手で高い柵を掴みベッドの下の段を覗き込むように下を向いている。
顔は見えない。
誰?
誰?
誰か分からないけど、声かけてみようかな
どうしたの?
寝れないの?
って聞いてみた方がいいかな?
でもみんな寝てるんだよね。
どういうこと?
と頭の中で色んな考えがグルグルしていたその時
ガチャッ
扉が開く音がして部屋の真ん中に光が差し込む。
「え?
お前誰や!?」
トイレに行っていたクラスメイトの男の子が帰ってきたのだ。
私はきっと彼が部屋を出る物音で目が覚めたのだろう。
私は大きな声を出した男の子をベッドの上から覗いた。
彼はもう一度
「お前誰なん!?」
と叫び、慌てて電気を点けた。
急に明るくなる室内。
慣れない明るさに目を細めながら、対面のベッドを確認すると、さっきまでそこに立って下を向いていた人はいなくなっていた。
彼の声と急に明るくなった部屋にクラスメイトが起きだす。
「なに?」
「どうしたん?」
と言うクラスメイトに彼は幽霊を見たと状況を説明していた。
横に寝ていた友達が、
「ねぇ、Aが幽霊見たって!」
と私に言うので、
「私も見た。そこに立ってたよね?でもみんな寝てるからおかしいと思って」
と言うと、対面のベッドの子たちが騒ぎ出す。
騒ぎ声を聞いたのか、担任が部屋に入ってきた。
「何やってる!早く布団に入りなさい!」
と叱られた私たちはとりあえず布団に戻り、ヒソヒソと話し続けたりしていたが、私は布団の中に潜り込んだ。
でもなかなか眠れない。
時間が経ち、ヒソヒソ話をする人がいなくなり幽霊騒動はひと段落ついたのだろうが、眠れない。
また部屋が静まり返りクラスメイトの寝息が聞こえ始める。
私の布団は一番端。
右隣には友達がいるが、左隣は何もない空間が少し続いた先に予備の布団が重ねてある。
何もないはずなのに、何かがあるような感じがずっとしていて眠れない。
布団から顔を出した時にそこに誰かいたら?
布団の隙間から覗いて見た時に何かも布団の隙間を覗き込んでいたら?
怖くて怖くて、蒸し暑い布団の中でじっとり汗をかいていくのを感じながら、時間が過ぎ去るのを待った。
気づいたら朝だった。
あんなに怖かったのに、眠ってしまっていたのだろう。
起床時間を迎えた宿泊部屋は、夜中の話題で盛り上がっていた。
二人で同じ物を見たことから、見間違いではなく、間違いなくそこには誰かがいた。
その少年自然の家のすぐ近くには、社会の教科書に必ず出てくる有名な戦が行われた地がある。
それが関係しているのか、それとも別の事の影響なのか。
年齢的にもう少年自然の家という場所に行くことはないだろうが、もし「無料で泊まっていいよ」と言われてもお断りしようと思っている。
怪談系YouTuberさんの言う
「少年自然の家には必ず心霊話がある!」
が本当なら、全国にたくさんある少年自然の家の心霊話を聞いてみたい。
私と同じような体験された方
いらっしゃいませんか?
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