第30話 BL黎明期の書店

 小鳥あるみのBL担当者との思い出です。


 当時、書店で働いていた時はBLは隠すもの的な風潮でした。

いやらしい本というレッテルを張られていて、担当者も熟練の書店員が担当していました。以前、経験の浅い書店員に担当させたところ、すぐに退職してしまったそうです。カルチャーショックだったのだとか…まじか。


 あるみも、その書店でどっぷりとBLを知っていくことになります。

初めて見た時は、こんなにたくさんあるんだ!と驚きました。少女漫画に出てきそうなイケメン同士の秘め事。うん、全然アレルギー起きません。禁書扱いに納得いかないw

BL担当者について、色々と勉強させてもらいました。


 BLの帯のセンスとか、見習うことしかありません。

 極道、熱砂、眼鏡、フェチごとに作品を並べるのは至福の時間です。

時にあらすじや、帯の文をバックヤードで音読していました。声に出したい文章が一番いいものだと知りました。POPの文言も必ず声に出してみるということをやるようになりました。声に出して読みたい日本語。


 新人たちもどんどん入ってきましたが、BLを当然のものとして扱うことで、みんなもBLを前向きに受け入れてくれました。BL好きを公言する書店員も続々登場します。

 そんなBL好き書店員たちと、BLのPCゲームや同人誌を買ったこともあります。はじめて、池袋のとらの×なに行った時のわくわくは忘れていません。

テンションあがりまくって、これもある!あれもある!なにこれめっちゃ楽しい!とおのぼりさんしました。楽しいものに囲まれるって、こんなに至福なのだとw


 今だと想像できないくらい、BLを愛でているのを隠さないといけなかった時代。しかし、BLの売上は右肩上がり、出版数も増えて、棚もどんどん拡充されていきました。

テレビの取材も入り、BL担当者がインタビューに答えていました。時代がBLに追いついたなぁ~と実感した瞬間です。


 月末にBLの新刊は多く出るのですが、親子でBLを大量買いするお客様もいました。カゴいっぱいに、母のフェチと娘のフェチが詰め込まれていました。

凄く仲がいい親子なんだなぁ。好きなものを好きと、お互いに認めてこんなにさらけ出せるってなかなかありません。

あるみの本棚には、表向きの作品しか入っていませんもの。他者に見られる可能性があるので、ちょい恥ずかしい作品は別の場所に保管しています。普通、そうですよね。

 そして親子といえど、好きな作家さんや作品の傾向は違うというのもフフフポイントでした。


 BLだろうがTLだろうが18禁であろうが、面白い作品は面白いです。分別ついた大人として、楽しみたいと思っています。

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